4 念動力(サイコキネシス)の実験開始です!こりゃあチートだ・・・・・・。
まだまだ皇石は探し始められません。
主人公の能力実験回となっています。
異世界3日目の朝が来た。
昨日は、獲った魚で干物を作った。
鯵のような魚〔アジン〕
鯛のような魚〔タイン〕
飛魚のような魚〔トビウオン〕
鯖のような魚〔サバン〕
もちろん、名前は鑑定で調べた。どれも食用可の魚だ。
昨日から、丸一日天日干しにした火種に、海水レンズで集めた光を当てる。
白い煙が出てきた。そして、火が出て燃え始めた。
棒に刺した魚の干物を火で炙る魚の油が、ジュージューと音を立て、香ばしいにおいが立ち上る
「く~~っ、いい匂い!」
焼きあがった干物に噛り付く
「パリッ!」・・・いい音だ。
「うまーーーーい!」
遠火でじっくり焼いているから、骨までカリっと食べられる。塩加減も抜群だ。
本当はごはんが欲しいが、ないので米の代わりに天樹の葉っぱを食べる。
サンチュみたいに魚をくるんで食べたりした
「この天樹の葉っぱ、本当においしいな。」
は~、お腹いっぱい。満足だ。
当然食べるものを食べたら、出るものが出る。
大海原がでっかいトイレ。いっそ、すがすがしい。
出たものに小魚が群がるのには、ちょっと引いた。あの魚は食べたくないなあ‥‥。
生い茂る葉の下、日陰でくつろぐ。あぁ、平和だ。
時間がゆったりと流れる。
枝に寄りかかって、海を眺める。心地よい風が、頬を撫でる。
前世では、なかなか味わえなかった贅沢な時間だ。
・・・暇だ。
そう、落ち着いたら暇だった。
ここにはスマホも、テレビも、ゲームも、漫画もないから。
「よし、自分の能力の検証をしよう。」
俺は、自分の能力について調べることにした。
まずは念動力の実験だ。
*** 念動力の実験 ***
神様にもらった念動力だが、どのくらいの力があるのだろう。
今日は、念動力の実験だ。実験項目を考える。
① どの位の重さまで動かせるのか
② どのくらいの大きさまで動かせるのか
③ 持ち上げた対象の持続時間は
④ どんな速さで動かせるのか
⑤ 力を細分化できるのか、複数対象に働き掛けられるのか
⑥ 自分は持ち上げられるのか
⑦ 強い力を使ったときの後遺症やリスクはあるのか
うん、こんなところかな。
「では、実験開始!まずは、どんな重さまで持ち上げられるかの実験だ!」
25mプールほどの水を持ち上げられることは、すでに実証済みだ。
25mプールは、横幅14m、深さ1mと考えて25×14×1=350
水は1立法メートルで約1tなので、350tになる
「350tを持ち上げる力って、どんだけだよ。すげえな俺・・・。」
「じゃあ、100m×100mに挑戦だ!」
100m走のレーンの長さをイメージし、目視して意識の中で範囲指定する。まあ、ダメ元だ。
「深さは、1mぐらいのイメージで。・・・上がれ!」
広大な海の中で、一辺100mほどの正方形の水が、海から切り取られたように浮上していく。スピードはゆっくりだ。何しろ10000tの水だからな。
切り取られた箇所は、すぐに、周りの水が埋めていく、が、四方から中心に向かって波が動く様子は壮観だ。
「おおおおおお~~~~~、おいおい、10000tが持ち上がったよ~。」
体感では、25mプールの時と変わらない。
特に、負担を感じるわけでもない。これはすごい!
「よし、このまま、どれだけ持続できるかな?」
おれは、10000tの海水を、上空10mほどの高さに固定して保持を試みる。
がんばって持ち上げている、という感じはしない。あえて言うなら、重力をカットしているような感じだろうか。
5分・・・10分・・・15分・・・飽きてきた・・・。
まあ、時計がないから、だいたいの時間だが・・・。海水は空中に留まったままだ。
「ずっと、そこに、そのままでいろ!」
強く念じる。そして、その水の固まりから目を離す。目を離しても大丈夫かどうか調べるつもりである。
気分転換に、葉っぱを1枚食べる。
すでに、意識は、水の固まりから外れている。しかし、10000tの海水は、宙に浮いて微動だにしない。どうやら、強く念じれば、固定が強くなり、多少意識を外しても大丈夫なようだ。
木陰で、葉っぱをシャリシャリとつまみながらくつろぐ。
ストレッチで体を動かしたり、丸太の上を全力疾走したりした。
太陽が真上に来たので、半日が経ったのだろう。時間にして4時間ぐらい。
10000tの海水は、宙に浮いたまま微動だにしない。
「すごいな・・・。俺の念動力」
無敵じゃないか?これ。
お昼になったので、焼き魚でも食べようかと考え、
火をつけようと、海水レンズを作った瞬間にそれは起きた。
それまでまとまっていた10000tの水の形が突然崩れ、落下した。
「ズドーーーーーーーーーーン!!!!」
うわーーーー、すごい水しぶき、ん?波がこっちに来る?津波?
「まずいまずいまずいまずい!」
こちらに向かって突進してくる波に向かって両手を伸ばし、「「「止まれ!!!」」」と強く念じ叫んだ。
「ふぅ~~~~、危なかった・・・。津波が止まって良かったよ。」
海水レンズに気をとられて、浮かべている海水から気が逸れてしまったのが原因だろうか。念動力を平行して使おうとしたのが悪かったのだろうか。
止まった波は、そのままの形で静止していた。
「はい、静か~に落ちて~。ゆっくり、ゆっくり。」
ザザザザザザザ・・・。波は形を変え、海水面は平らになっていく。
そのままで、しばらく待ってから、昼食の準備にかかった。
今日の魚はブリン、鰤そっくりだから、刺身でも焼いてもうまいはずだ。
半身は刺身に、残りは塩焼きにする。
枝で作った串に刺して焼く、北陸名物の焼きサバの巨大版だ。
やはり、この枝には、火がつかない。やたらと丈夫だ。
刺身を塩で食べる。うん、うまい。脂がのっている。ワサビが欲しいな~。
ワサビはないから、葉っぱで巻いて食べる。うん、うまい。
触感は、シャリッともちっとだ。
塩焼きは、じっくり時間をかけた。
脂ののったブリンの身は、焼いてもやわらかだ。
うん、うまい!まちがいない。でも、ご飯が欲しい・・・。
では、実験その2だ!
今度は、100m×100m×100mの立方体をイメージする。重さは、100万トンだ!
両手を前に突き出し、イメージを強くしてから、叫ぶ。
「上がれ!」
眼前では、立方体の水がせり上がっていく。すさまじい光景だ。
海に空いた穴には、轟轟と海水が流れ込んで渦を作ている。
「いや~、100万トンが持ち上がるとは・・・。」
開いた口が塞がらない。
「今度は、ゆっくりと下ろすよ~。」
「ゆっくり、下に、下がりましょう~~~~~。」
突き出した両手で、水の塊を操作するように、ゆっくりと下に下ろしていく。
「ふぅ~~~~~~。実験無事終了!」
この力、城や町ごと持ち上げて、地面に落とせば、国が亡ぼせるんじゃ・・・。
山を持ってきて、城の上から落としてもいいか・・・。
チートだ・・・・。俺、チート野郎だ・・・。
焼きにこだわっています。