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22 〔天樹〕の妖精

世界樹である天樹の意志がはっきりと示されました。

天樹はカズヤが大好きみたいです。

 リーベの町に戻ると、懐かしい感じがした。

 まだ、数日しか滞在していないのに、まるで第二の故郷のように感じる。


 天樹の様子が気になるので、ベティと共に天樹へと向かった。

 今回は、念動力サイコキネシスを使ってひとっ飛びである。


 天樹に到着すると、世界樹の巫女エルミアが俺たちを出迎えた。

「お久しぶりです、カズヤ様」

「ああ、久しぶり。こんなところに一人っきりで大丈夫だった?」

「はい、もちろんです~。 私たち世界樹の巫女は、世界樹と共にいるのが一番安らぐのです。それに、カズヤ様にいただいたマットのおかげで、ぐっすり眠れます~。」

「それはよかった。それで、何か変わったことはない?」

「警備隊の方々が頑張ってくださるので~、侵入者もありませんでした。」

「じゃあ、よかった。ねぎらいの意味も込めて、今から一緒にご飯を食べようか。」

「カズヤ様からお食事をいただけるのですか~?」

「うん、先日、領主に呼ばれてベリルンの街に行ったときに、食料をたくさん手に入れることができたんだ。」

「え?でも、カズヤ様、何も持っていませんよね~。」


 俺は、アイテムボックスから椅子とテーブルを取り出し、テーブルの上に食器を並べた。

「ええっ!このイスとテーブル、どこから出てきたんですか~?」

「俺、アイテムボックス持ちなんだ。」

「ほわ~、便利です~。」


 そして、テーブルの上に置いた食器に、新鮮な果物、パン、ハムやソーセージなど【ベリルン】の街で買い込んできた食べ物を並べた。

「じゃあ、みんなで食べようか。いただきます。」


「おいしいです~、カズヤ様、ありがとうございます~。魚はいつでも獲れるので、食べ物には困っていませんでしたが、パンやソーセージは久しぶりです~。とっても幸せです~。」

 エルミアは大喜びである。


「そうだ、カズヤ様、明日の夜天樹に来ることはできますか~?」

「できるけど、どうして、明日の夜?」

「明日は満月です~。満月の夜には、世界樹の妖精が現れます~。天樹の妖精とお話しできますよ~。」

「そうなんだ。それは、ぜひ話してみたいな。絶対に来るよ。」

「私も来ていい?」

「もちろんさ、ベティも一緒にここに来よう。」


 食事が終わり、のどが渇いた俺は、適当な枝を折り天樹の樹液を飲み始めた。

「ギャー――――! カズヤ様、何してるんですか~!!」

 エルミアの絶叫が響いた。

「何って、樹液を飲んでるんだよ。おいしいよ~。」

「どうして簡単に世界樹の枝を折っているんですか~! 世界樹の巫女として~、樹を傷つけることは許せませ~ん!」

「え~、でも、おいしいよ~。エルミアも飲んでみる?樹液。」

「……じゅるり。わ、わ、わたしは~世界樹の巫女、樹液を飲むなど~……。」


 そんなやり取りを横目に見ながら、何事もなかったように樹液を飲むベティ

「チューごくごく。はああ、おいしいいっ。何度飲んでも天の味だわ~。」

 ベティ様まで……。


「じゃあ、エルミア、一口だけ飲んでみる?」

「そんな~、私ごときが世界樹の樹液を口にするなんて……。でも、一口だけならいいかな~。」

 エルミアは、誘惑に勝てず、恐る恐る枝を口に含んだ。

「チュウ……チュ――――――――――――――――――――――、あぁぁぁぁっぁぁ、おぉいしぃぃぃぃぃぃ……。 何ですか~、この清涼感~! さわやかな香り~! 飲むたびに、体中に世界樹のエネルギーが染み渡るようです~。 幸せ~。 ……はっ!私としたことが!」

 カズヤとベティはニヤニヤしながらエルミアを見ている。

 エルミアの全身が薄く光っている。口には出さないが、こんなところに一人野宿では、やはり疲れがたまっていたのだろう。樹液を飲むことによって、それが解消したようだ。


「世界樹の樹液は、王様でもめったに口にできないような秘薬なんですよ~。この樹液のためになら、お金に糸目はつけないという貴族もたくさんいます。だいたい~、誰にも傷つけることのできない世界樹の樹液は~、本来なら、世界樹の妖精に分けてもらう以外に手に入れる方法がないのです~。それを、こんなに簡単に~……。」

「カズヤの非常識は、こんなものじゃないわよ。こんなの序の口よ…すぐに慣れるわ……。」

とベティ。


「そんなやり取りを、俺は、世界樹の葉をシャコシャコ食べながら聞いていた。」

「ア―――――――――――ッ! 葉っぱまで~!」

「採っても、採っても、すぐ生えてくるし。大丈夫でしょう。エルミアも1枚食べる?」

「そんな罰当たりなこと~、う~ん、…………いただきます~。 カズヤ様と一緒にいると、私の常識が音を立てて崩れていきます~。」

「どう?おいしいでしょう?」

「はい、気を失うほどおいしいです~。しかし、私の心の中にある罪悪感と、今、激しく戦っています~。でも、食べるのをやめられません。なんて、罪深い葉っぱなのでしょう。」


「あ~おいしかった。じゃあ、明日の満月の夜に、また来るね。それまで天樹をよろしく!」

 俺とベティは、エルミアに十分な食料を渡し、天樹を後にした。


 次の日の夜は、確かに満月だった。

 俺とベティは、少し早めに天樹へ向かい、エルミアと共に楽しい夕食の時間を過ごした。だいぶ、エルミアとも打ち解けたな。


 水平線から満月が昇る。普段より大きく、赤みがかった丸い月だ。

 月の光を浴びると、天樹はうっすらと光り始めた。とても神秘的だ。

 それらの光が集まり人の形になった。チョウのような羽を生やした、小柄な女性がそこにはいた。身長は1mぐらかな。物語に出てくる妖精そのものだ。


「カズヤーーーーーーー!」

 その妖精は、すごいスピードで俺に体当たりをするとしがみついた。

「なっ?」

「カズヤ―――会いたかった!」

妖精は、とまどう俺に抱きつきながら、満面の笑みで俺を見上げている。


「妖精さんですか?どうして俺の名前を知っているんですか?」

「そりゃあ、知っているわよ!当り前じゃない。カズヤがこの世界に来てから、ずっと一緒だったんだから!」

「妖精さんは天樹そのものなんですか?」」

「もちろんそうよ! 私が天樹の心、天の世界樹の魂なのよ!」


「あー、先に謝っておこうかな。葉っぱを採って食べたり、枝を折って樹液を吸ったりしてごめんなさい。」

「いいのよーそんなこと! 全然気にしていないわ! 葉っぱなんていくらでも生えてくるんだし、細い枝も人間で言ったら髪の毛みたいなものだし。 カズヤが喜んでくれるなら、どんどん食べてくれていいわ!」

「あっ、ああ、ありがとう…。」

 天樹の妖精、元気っ子だな……。


なんとか毎日投稿を続けられています。

話を作成するだけでも大変なのに、推敲、投稿にもかなりの時間がかかります。

複数の小説を同時に投稿している方がいますが、どういうことでしょうか。超人です。

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