表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/117

21 領主との面会

領主様と面会します。

カズヤは、自分の力の一端を見せるようですよ。


Side【リーベの町】


「カズヤ様、領主からのお迎えが到着いたしました。」

 迎えの到着を知らせてくれたのは、カサンドラさんだ。

 俺は、先日、海賊討伐の栄誉をたたえるということで、領主から招待を受けていた。

 賞金の受け渡しも、その場で行われるようだ。商会の副代表リハードさんの説明では、皆の前で、大々的に賞金を渡すことで、嘘偽り無く領主が賞金を払っているのだということを知らしめ、信頼を高めるのが狙いだそうだ。


 俺は、この町で、カサンドラさんの勧めで買った、普段よりもおしゃれ度の高い服を着て、迎えの豪華な馬車に乗り込んだ。もちろん、ベティも一緒である。ベティが共に行くことも、領主には事前に伝えてある。ベティもこの町で買ったドレスを着ている。着こなしも素晴らしく、見違えるようにきれいである。さすが皇女殿下。


 領主の屋敷まで、馬車で3時間ぐらいだそうだ。道は、よく整備されている。

 道中、盗賊襲撃などのイベントも無く、無事に領主の屋敷がある町【ベリルン】に到着した。


 ベリルンは、なかなか発展した街だ。人通りも多い。地方の県の県庁所在地のような感じだろうか。

 道行く人は、人族だけでは無い。頭に獣耳がある人や、は虫類のような姿の人もいる。なかなか雑多だ。これぞ異世界って感じがする。

 見慣れない姿を目にすると「鑑定」をしたくなる。


 こっそり鑑定! 道行く人を鑑定する。まずは、あの爬虫類みたいな人だ。

**************************

蜥蜴人族〔エーゴン〕男 怪力・水中歩行 食用可

**************************

 お~っ、蜥蜴(蜥蜴)人族ということはリザードマンか~。ファンタジ~。


 次っ、鑑定っ!

**************************

狼人族〔ベンノ〕男 変身・跳躍 食用可

**************************

 

鑑定っ!

**************************

猫人族〔アルノルト〕男 隠密・風魔法 食用可

**************************


 いや~、雑多だな。みんな、何らかの能力を持っているんだな~。俺の鑑定、少しグレードアップしたのかな。説明が少し詳しくなっているようだ。


 そうこうしているうちに、領主の屋敷に到着した。


「なにこれ、城じゃん!」

・・・そこにあったのは、屋敷などという代物では無かった。高い城壁に囲まれた、立派な城そのものだった。

「そうね。このハイデルベルグ領は、非常に豊かな領だから。それにここは、領主の館ではあるけれど、それだけで無く、門の中には病院や公的な事務所もたくさんあるのよ。」

・・・なるほど、県庁や病院も城壁に中にある訳か、そりゃあ大きくなるはずだ。


 俺たちは、すぐに謁見の間に通された。

 きっと、一緒に来たベティの皇女様効果だろう。地位でいったら領主よりも皇女の方が圧倒的に上。そんな皇女を、長く待たせるわけにはいかないだろうからね。実は、追われている身なんだけどね・・・。


「ベティシア様、お久しぶりでございます。お元気そうでなによりです。」

「ディートリヒ・ドラッチェ公、本日の招待を感謝いたします。」


「貴殿が、カズヤ・サクラザカ殿か?」

「はい、そうです。」

「絶海の海賊団および獄炎のヘルゲ、瞬光のバルブロらの討伐、誠に見事であった。」

「ありがたき幸せにございます。」


「あやつらに家族を殺されたものがたくさんいる。 凶悪な絶海の海賊団の討伐は、我がハイデルベルグ領の悲願であったのだよ。 私も今までに、何度となく討伐部隊を送っている。 しかし、すべて返り討ちに遭い、打つ手が無くて困っていたのだ。

 カズヤ殿が海賊を討伐する様子については、目撃者から聞き及んでいる。数人に聞いたが、すべて証言が一致するので間違いでは無いようだが、どうにも信じられん話なのだ。

 カズヤ殿の力、念動力サイコキネシスを見せてはもらえないだろうか。」


・・・やっぱりそう来たか。予想通りだね。今後のためにも、俺の力で見せられる部分は、十分に見せておこう。

「力の一端をお見せいただけるかね。」

「わかりました。では、私の力をお見せします。 その窓から、ため池が見えますね。」

「うむ、見える。あれは、水不足に備えるために、この城に備えているため池だ。」

「あの水を、持ち上げます。それでいかがですか?」

「ほう、水を持ち上げると・・・。盗賊どもをまとめて空に上げたと聞いておるからな。」


 城の中庭にある、備蓄用のため池の水を持ち上げてみせることにした。池の広さは10m×10mほど、深さは3mほどらしい。

 幸い、近くに人影は無い。失敗してもけが人が出ることはないだろう。


念動力サイコキネシス!」

 おれは、ため池の水を視認し、持ち上げるように念じた。俺から見えない手が伸び、池の水を持ち上げる。池の水は、きれいな立方体を保ったまま上空に上がってきた。


「「「おお!すごい!」」」

 どよめきが部屋に広がった。

「すさまじい力だ! 水というものは、なかなかに重いのだぞ。 戦の兵站へいたんでも、一番苦労するのは水の運搬だ。 あれだけの水を移動するためには、兵站用水槽が300ほど必要になる。その水槽一つは、通常20人で運搬しておる。単純計算で、今持ち上げている水を運ぼうと思ったら、兵士6000人が必要であろう。」

「兵士6000人分と同じ働きということですか?」

と、ベティ。

「そうなるな。さて、カズヤ殿、確かに貴殿の力は見せてもらった。 ・・・あれより多くの水は上げられるのか?」

「そうですね。あの水の100倍ほどなら持ち上げたことがございます。」

「・・・なんと、あの100倍とは・・・・・・。それが誠なら、兵士60万人分であるぞ・・・。」


「カズヤ殿、・・・・・・我に仕える気は無いか? 最高の待遇で迎えるぞ。」

「ありがたきお言葉ですが、私には、どうしてもやらなければならないことがございますので・・・・・・。」

「それは何だ?」

「この世界を守ることです。」

「ワーッハッハッハー! なんと、世界を守るか! では、こんな小さな領に留まることはできんな!  これは愉快! 他の者が言ったならば世迷い言だが、カズヤ殿が言うと真実に聞こえるぞ!」


 

 どうやら、俺は領主に気に入られたようだ。

「困ったことがあったら、何でも申し出るが良い。我が力になろう!」

という言葉と共に、討伐の賞金である、白金貨300枚を受け取った。3億円だよ!

 また、賞金と共に、ハイデルベルグ領はおろか、陸の皇国内なら、どこでも通行可能となる、領主直筆の証書ももらった。この証書があれば、身分的には騎士以上の待遇が保証されるので〔騎士〕を名乗っていいらしい。これは、ベティと行動を共にするうえでも、今後非常に役に立つだろう。


「騎士か・・・。じゃあ、俺は、ベティの騎士だな。」

「ふふっ、うれしい。」


 その夜は、城でパーティーが開かれた。

 たらふく食べて、飲んで、気持ちの良いパーティーだった。

 何人もの人から、海賊討伐を感謝された。


「友の仇を討ってくださって、ありがとうございした。」

と、涙を流す若い騎士もいた。先の海賊討伐対で、その友達は海賊の返り討ちに遭い、若い命を散らせたそうだ。

 


ここまでお付き合いいただき感謝です。

ブックマークしてくださる方が増えてきてうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ