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11 海賊に襲撃されている商船を助けに行くそうです。

海賊登場です。

上手に戦えるでしょうか。


 俺とベティを乗せた、謎の多い巨木〔天樹〕は、念動力サイコキネシスの力によって、海上を東へと進んでいる。

 波は穏やかだが、日差しが強い。

 俺たちは、木陰で、海綿の座布団に座っている。快適だ。


「今、私たちがいるのは海の皇国の一国【ヒューパリエ】の領内よ。そして、このまま東に進むと陸の皇国の【ハイデルベルグ領】に行くことになるわ。」

「さすがはお姫様、博学だね。」


「一応これでも皇女だから外交の仕事もしていたの。陸の皇国の招待でハイデルベルグ領に行ったことがあるのよ。そこで知り合ったのが、フレイヤ第二皇女よ。第2皇女同士、なんだか気が合って、仲良くなって、手紙での交流はずっとしているの。」

「へ~、フレイヤって、どんな子?」

「ん~、さすが火の国の皇女って感じかな。燃えるような美人だよ~。」

(萌え美人?)

 会うのが楽しみになってきたな。


「じゃあ、昼ご飯を作ろうかな。ねえ、ベティ、海草が食べたいんだけど、食べられる海草ってわかる?」

「もちろんよ。昨日、海小麦を採ったけれど、このあたりの海なら、海大豆や海ニンジンなんかがとれるわよ。」


 なんと、海の中で大豆やニンジンまで採れるようだ。さすがファンタジー!

「欲しい!食べたい!海大豆と海ニンジンを採りに行こう!今すぐ採りに行こう!」

 やはり、食が絡むとせっかちなカズヤであった。


 俺は、海上を走っていた天樹を止めた。巨大な木なので、急には止まれない。念動力サイコキネシスで急制動を掛けようと思えば掛けられるが、波の反動がすごいことになりそうなので、ソフトストップである。

 天樹はゆっくりと停止した。


「じゃあ、ベティ!案内よろしく!」

「カズヤ、テンション高いわね。」

「当たり前じゃないか!豆とニンジンだよ。豆と野菜だよ。」


 俺とベティは、空気の球に入り、海中へと突入した。いつもよりも若干スピードが速いのは、俺のやる気の表れである。

 20mも沈むと海底に着く。ベティの指示に従って移動すると、見たことがない海草が群生しているのを見つけた。

「あれが海大豆よ。」

 そこには、わかめと地上の大豆の葉を混ぜたような海草(海植物?)があった。その海草には、我々がよく知っている枝豆がたくさん実っていた。


「枝豆だ!やったー!」

「枝豆じゃないわ海大豆よ。」

「大豆の若い実を枝豆って呼ばないの?」

「そんな風には呼ばないわね。大豆は大豆よ。」

「ねえ、ベティ、豆腐って知ってる?白くて、柔らかくて、あんまり味はない大豆から作る食べ物」

「トーフ?知らないわね。」

 この世界に豆腐はないようだ。つくれるか?海上だからにがりはすぐに手に入るし・・・・・・。


 海大豆を一抱えほど収穫した後、無事、海ニンジンも発見して収穫できた。俺が知っているニンジンよりも、少し細いが、色も同じオレンジ色だ。ついでに、大きな昆布と、ズワイガニそっくりのズワイガニンも捕まえた。


 今回のランチは、蒸し小麦と、海大豆の塩ゆで、スルメイカンの塩辛と一夜干し、海ニンジンスティックと天樹の生葉だ。

 スルメイカンの塩辛は、イカの身を細かく切り、その切り身を内臓(肝臓)と塩で和えたものだ。日本酒が欲しくなる味に仕上がった。ぷっくりと蒸し上がった海小麦にもよく合う。


「おいしいわね。スルメイカンの内臓は、今まで捨てていたけれど、こんな使い方もあるのね。コクがあるわ。 それに、この一夜干しもいい味ね。生で食べるのと、全然違う。なんだか、味が濃くなってる感じ。」

「うん、おいしいね。イカの一夜干しは俺も大好物なんだ。」


 ベティは、天樹の細い枝を折ろうとしている。昨日は折ることができなかったが、今日は、さらに細い枝を折ることにチャレンジしているようだ。

「ぐぬぬぬうぬう!ハアハア、やっぱり折れないわ・・・。どうしてかしら。カズヤお願い。」

 おれは、手頃な太さの枝をポキンと折る。大した抵抗は感じない。折った場所からは、いつもと変わらず樹液があふれてくる。

「ちゅ~~~っ、は~、おいしい・・・。」

 使い終わったフォークや皿を、天樹の樹液で洗おうとしたら「もったいない!」と、ベティに止められた。

 とてつもなくおいしく、しかも、ポーション効果のある樹液を、皿洗いに使うのは許せないそうだ。


「この樹液、コップ1杯で少なくとも金貨1枚以上の価値があるわよ・・・・。」

という事だそうだ。

 皿洗いは、まず海水で洗い、その後、ベティが作った真水で仕上げ洗いをした。

 ベティが作った水を、丸くして空中に浮かべた。その水の球の中で、皿を洗いながら、「これは、便利ね。」とベティは感心しきりだった。



「ドーン!」

 遠くから、何かが破裂するような音が聞こえた。

 ベティの追っ手かもしれない、と二人は身構えた。


「ドーン!ドーン!ドーン!」

 音は、連続して聞こえる。遠くで、何かが起こっているようだ。


「ちょっと、様子を見てくるよ。」

「どうやって?」

「飛び上がって、空から見るつもり。」

「ねえ、私も連れてってくれない。」

 ベティも同行するというので、ベティとともに念動力サイコキネシスで上空に飛び上がる。安全のために、ベティとは手をつないでる。落ちると危ないしね。下心なんて無いよ。


 300mほども飛び上がると、遠方に大きな船と、それを取り囲むように浮かぶ10隻の小舟が見えた。


「あの、大きな船は商船ね。周りの小舟は、おそらく海賊よ。」

 おぉ、異世界襲撃イベントキターーーー! 海賊だって! 助ける? 助けちゃう?


「ねえ、ベティ、どうすればいいと思う?商船を助けようと思えば助けられると思うけど。」

「あの船は、おそらく、今から私たちが行こうとしているハイデルベルグの商船よ。助ければ、これからきっと、私たちの力になってくれるんじゃないかな。」


「じゃあ“大きな船を助ける”で、決まりだね。」

「ちょっとまってカズヤ、そんなこと一人でできるの? あの船の数から見て、相手はおそらく武装した海賊100人以上よ。」

「アオザメンも止められたんだから、きっと大丈夫だよ。それに、海賊ぐらい止められないで、皇石が集められるとも思えないしね。」


「そうね。カズヤなら、きっと大丈夫ね。」

「じゃあ、ベティは安全のために天樹に残ってて。」

「そうね。私が行っても、かえって足手まといになっちゃうわね。カズヤ、気をつけて! ・・・死なないでね。」

「ああ、大丈夫。では、行ってきます。」


 俺は、ベティを天樹に残し、単身商船救出に向かった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

今後も、おつきあいいただけるようお願い申し上げます。


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