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105  地の世界樹発見

 砂漠にぽかりと開いた暗い穴の中を、テンジュとクエレブルとカズヤは進んでいた。

「うん、間違いない! この先に地の世界樹の気配があるよ!」

 美しい妖精の羽を優雅に羽ばたかせながら、テンジュはカズヤたちを先導する。

 きらきらと光を放つ半透明の羽が、暗い洞窟の中を照らす。


 どのくらい歩いただろうか。

 1時間ほど歩いたところで行き止まりとなった。

 火の世界樹のときと同じパターンだ。隠し扉になっているのだろう。


 テンジュが行き止まりの壁に触れぶつぶつと何かをつぶやく。

 すると、岩壁にしか見えなかった部分にぽっかりと穴が開いた。これが、地の世界樹の部屋へと続く穴だろう。

「カズヤ、クエレブル、中に入るわよ」

 真っ暗な部屋に3人で入る。光るテンジュの羽に照らされて部屋の様子がわかるが、かなり大きな部屋のようだ。

 しかし、地の世界樹らしき植物は見当たらない。


「ねえ、テンジュ、地の世界樹ないよね・・・」

「そんなことないわ。この部屋からは地の世界樹の気配がするもの。どこかに隠れているのかしら・・・」

「手分けして探してみよう」


 カズヤたち3人は、地の世界樹を探すために部屋の中を隅々まで探すことにした。

 ん?そういえば、俺、地の世界樹のこと何にも知らないや。これじゃあ、探しようがないよね。

「ねえ、テンジュ、地の世界樹ってどんな形?」

 カズヤはテンジュに尋ねる。

「地の世界樹の葉はトゲトゲよ。針のような葉がたくさんついた木よ」

「それって、サボテン?」

「えっ?サボテン?そんな名前の木は知らないわ」

 おお、この世界にサボテンという言葉はないのか・・・。でも、その特徴は絶対サボテンだろう。


 しばらく手分けして探したが、地の世界樹は一向に見つからなかった。

 俺があきらめかけた頃、

「あった!地の世界樹よ!!」

 と、喜びに弾むテンジュの声が聞こえた。  


 テンジュが嬉しそうに見せてくれた地の世界樹は小さかった。

 テンジュが手と手を合わせ、水をすくうときのようなお椀の形にしている。

 地の世界樹は、その手の中にあった。

 確かにこれはサボテンだ。大きさは5cm程度、とても小さい。


 ようやく見つけた地の世界樹を手に乗せて、テンジュはきらきらとした笑顔を見せている。

「地の世界樹がこんなに小さいなんてびっくりしたよ」

 とカズヤ。

「ここまで力を失っているとは思っていなかったわ。実際、消滅寸前よ。これじゃあ、なかなか気配を探せない訳よ・・・」

 消滅する前に見つけられて良かったとテンジュが胸をなで下ろしていたとき、間近に殺気が膨れあがった。


「カズヤっ、敵よ!」

 テンジュが叫ぶ。

 俺は、襲撃に備えて自分とテンジュを守る障壁を瞬時に張った。

「念動力<サイコキネシス>!障壁ッ!」

 不可視の障壁が、キンッという硬質な音を立ててカズヤとテンジュを守る。


「ガッキイイィィィィィィィン!!!」

 障壁に敵の武器が当たる。

 そのとき「メリッ!」という不吉な音も響いた。


「バリッ!バリバリッ」

 障壁は、敵の攻撃によって破られた。

 障壁を破った敵の刃が地の世界樹に向かって振り下ろされる。

 カズヤは、地の世界樹を守ろうと、咄嗟に腕を出した。


「ザシュッ!」

 刃はカズヤの腕を易々と切断し、テンジュの手のひらの上にある小さな地の世界樹をも真っ二つにする。

「ぐわっ!」

 カズヤの苦悶の声と共に、大量の血が腕から噴き出した。


 カズヤの切られた腕から噴き出した血が、切断された世界樹とテンジュの手のひらに降り注ぐ。


 襲撃者はゴッドホルトだった。

 普段は閉じている額の第3の眼が開き、爛々と輝いている。

 手に持つ刃は魔人刀ゲリオン、あらゆるものを切り裂く魔大陸伝説の刃だ。

「ハッハァ!やったぞ! お前たち、地の世界樹までの案内ご苦労だったな!」

 勝ち誇った様子のゴッドホルトをテンジュが睨みつける。


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