1 罪作りな男(え?意味が違う?)
暗い。
一番に思ったのがこれだ。
それに声も出ないな。
カサカサカサカサカサカサ――。
これは無理だ。虫は大の苦手なんだよなー。
大の苦手?なぜそんなに嫌いなんだ?
カタッ。
何かに包まれてるっぽいな……。
手、にしては可笑しな感じだが、動かしていくと固い物に包まれてるのが把握できる。叩くと薄い石のような感じが伝わってくる。
外の様子からして急いで出たほうが良いだろう。そうと決まれば破壊していきますか。
包んでいるこれは意外に硬く強く五回くらい殴って?とは違うような気がしたが、頑張れば出れると確信したので何回も殴り続けた。
ぷは~外の空気が美味しくない……。ここは外の空気が美味し~と言いたいことだけど湿気が多いのかジメジメしてるし煙たいというかなんというか表現しづらい霧の様な物がそこら中にある。
そして目に飛び込んできたのは蜘蛛同士の共食いやうじゃうじゃと移動している姿である。
後ろに倒れそうになるのを必死に堪え状況確認する。
卵から羽化して、移動している蜘蛛が見え、真下を見ると自分も同じような殻から出てきているのが目に入り、またも、気絶しかけ呼吸が荒くなった。
カサ――。
後ろを振り向くと黒っぽい蜘蛛と目が思いっきり合い、襲い掛かって来た。
だが目が合った時点で思考していた。
思考メニュー
・攻撃(体当たり?)
・防御(どこで?)
・逃げる(逃げるが勝ち!)←
よし、今すぐ逃げよう!!
心の中で、逃げるんだよォォォーーーーーッと、無意識のうちに叫んでいるが、それでも生と死の瀬戸際にいるのに緊張感が生まれないのは何故か……。
まいたと思い後ろを見ると……まだいる…………。
いい加減腹も減っているのでどうにかしたい……。
でも走っていて分ったけどここ洞窟だから食い物がこいつとか虫系の物が多いイはず。
吐きそう……。
想像して吐きそうになった時に、距離を一気に詰められてしまった。
こうなったらやるしかない!
後ろに振り向きざまに腕で目を抉る。
途中で噛みついて来ようとしたので何かあるとは思うけど、今は上手く入った攻撃の痛みで動けそうにない蜘蛛から即逃げる!
上手いこと逃げられて、やっと落ち着ける。
そう思ったのもつかの間に――。
《条件を満たし称号〈転生者〉を獲得しました》
そのアナウンスのような機械的な声が頭に響き、目を白黒させると頭に何かがフラッシュバックした。
「罪状:恐喝150回、脅迫200回、詐欺42回、売春強要25回、監禁20回、強盗14回、殺人4回、これが前世にした罪状です」
今、目の前の前世の罪を神に裁かれ、次は今世の罪状が言われる。
「罪状:恐喝50回、脅迫20回、強姦12回、誘拐4回、詐欺60回、窃盗32回、売春強要15回、監禁2回、強盗7回、殺人1回、これが今世の罪状です」
「前世にアレだけ罪滅ぼしすると言い、一度だけ許し、罪を贖って貰うべく前世の意識を持ったまま二度目の生を与えたというのにこれはどういうことですか。前世より酷い有様です。人は何かしらの罪を持つので一度は許し転生できる権利を使ったというのに……」
罪を贖う事をせず、二度目も遊び楽しんだ。捕まろうが何されようが釈放されるとまた同じように手を使い、金を集め、遊び、また集めるというサイクルを繰り返して、恨み憎まれ殺され、神に会い裁かれている。
「この罪、死してなおその身に受け継がれるのは必然。そして罰も与える。その罪は蜘蛛に生まれ変わり生き抜いて見よ。それと地球ではないぞ。それに最初の異世界でもない。違う異世界に生まれるのだ!!」
俺、罪状の量がどうやったらこんな事できんだよっていう数字になってんじゃねえか……。
記憶ごと吹っ飛んでたから苦手の時に疑問に思ったのか。納得!
で、今回は罰で虫嫌いの俺を虫にさせ虫系を食わそうということが推測できるな。
《条件を満たし称号〈転生者〉を失いました》
また、機械的に言われた言葉に「?」を浮かべてしまったが良いだろう。
そういえば前世や前々世より欲が薄れた?
いや、元が欲深すぎたんだなこれわ…………。
何で今こんなにも薄れたのかが疑問は放置して、今は腹が減ったぞ!!
さっきの奴は……無視して蜥蜴みたいなのを捜そう!
そうと決まれば出発だ!!
以外にも通路は狭い道が多いと思うが今の大きさが人間と比べてどれ位か分からない以上、狭いか広いかわからない。
そうこうしている内に俺の半分くらいの大きさの蛇が出てきた。
うわっ、あっぶな。
あと一歩前に出ていれば毒を喰らっていたかもしれない。
避けたことで距離が少し開いてどちらが先に切り込むかで緊張感が漂い始めている。
先に動いたのは俺の方が早かった。直ぐに毒を吐いて来たが、単発でしか出せないのか横に後ろに回り込み首に手、じゃなく前足を頭に振り降ろし頭を貫通させ、絶命させる。
よっし!!まずは1匹っと!
じゃあ火は何処かな……。
現実に戻ろう。現実逃避しても火は出てこない。てか昆虫系に火とか相性悪いししょうがないよなHAHAHA。
ていうか生か…………。
生肉を食するのには抵抗が……。前世では腸管性出血性大腸菌で、生食禁止だったけど無理やり作らせてユッケをバクバク食っていたけど今考えると恐ろしくて身震いするぜ。
マジで何であんなに脅したり色々してたんだろ……まぁ、金欲しさだけど…………。
言ってて悲しくなってきた……。
そういやあ水分って欲しくないよな。
ムッシャムッシャと食べる。
不味い……。
これ毒のせいかな、舌がヒリヒリしてくるのは何でだろうか。
ま、まぁ、毒のせいだし。そう毒のせい!毒が無い魔物は美味しいはずだ!!目標は毒持ち以外の蛇でも食ってみよ。それでも食べれる物が無い場合は虫を……食うしかないか…………。
そんなことを思いながらも辺りを見回しても水辺は一切見当たらない。
湿気が酷いからどこかに水源でもあると思ったんだけどな。
それにしても俺の前足や足が白いのってアルビノ個体か?マイブラザー達は黒、良くて茶色だったしな。白なんて目立った蜘蛛いなかったのを見える範囲では確認できた。
ていうかさっきの光景を思い浮かべて吐きそうになって来た……。
ダメダメ!さっきの蜥蜴が勿体無い。
それよりどっかに拠点でも作っていろいろ整理でもして見るのも良いかもしれないな。
蜘蛛ってきもいですけど進化先によっては可愛くなるのが蜘蛛の良い所ですよね!!
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