奇妙な夢
今日もまた奇妙な夢を見た。勿論、あの夢だ。
あの誕生日の夜から一週間に一度ほどのペースで見るようになった。
そろそろ偶然には思えなくなってきた。一度見た夢は記憶として残るので、夢に出やすいとは思うが、それにしては周期的に見るためそれも無いと考えられる。
だとしたらなんなのだろうか。
これからもこんなことが起こり続けるのだろうか。とりあえず記録することにした。
記録しているうちに今まで見えていなかったものが少しづつ見えてきた。
まず、夢は毎回同じ人の目線で始まるということと始まる場所がいつもと同じ場所だということ。
そして夢の最後は夢を見る回数ごとに少しづつ長くなっている。
初めにその夢を見たときは人込みの中で始まり、空を見上げて終わった。
その次も人込みの中で始まり、空を見上げても夢は終わらなかったが少ししてまた空をみて夢が終わる。
といった感じでそうそう進まなさそうだ。
夢の続きが少し楽しみなのは内緒。
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この村では男は16歳、女は15歳から独り立ちをさせるという伝統がある。いや、この村だけではないと聞くが正直なところよくわからない。
独り立ちした人たちは中央都市に出て居住する者もいれば、様々な大陸を旅する者もいる。
俺には旅をして有名になるという明確な目標がある。
かつての父がそうだった。
まだ父が今の母と会う前の頃は、ギルドと呼ばれる組合のトップに入れるほどの実力があったらしい。多分。
今も現役でトーレという狩りの仕事をやっているらしいが、もう長い間連絡が取れていない。
母と父は俺が生まれてから都心からこの町に移り住み、育児に専念したらしいが、父は俺が7歳のころにまた都心に戻って行ってしまった。
それっきり連絡は取っていない。
俺にとっては物心がつき始めたころだったため、父親がいた実感はあまりない。
それどころか顔すら曖昧なのだ。だからこそ俺は来年、父親を探すため、そして有名になるために旅に出る。
私利私欲のためにも。
つ づ き ま せ ん ( ま す )