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イヴの天秤

勝手にしやがれ!

作者: 長谷川真美

来た道を振り返る。


思ったよりも長いと思っていた道は短かった。


新入生達よ、寮は楽しいぞ。



 大切な弟だから構ってしまう。河口建基(かわぐち たてき)高専4年の春が始まる。3歳下の弟の悠人(ゆうと)が高専にめでたく合格をして寮生になる。兄として、先輩としてつい構ってしまう。俺の金髪ロン毛、ピアス、おもしろTシャツ姿の俺を見て悠人は凍りつく。そして怯える。「お兄ちゃん、その格好は何?高専ではこれが普通なの?」相変わらず気弱な弟だ。「寮生は他人に覚えられて初めて一人前だ。悠人には俺のお古のTシャツをやる。」入浴ヤンキースと書かれたTシャツを贈呈する。Tシャツを押し付けられた悠人は泣き顔になる。


 「泣くな悠人!車にのれ!親父たちが買ってくれなかった寮生の必需品を買いにいくぞ!」初心者マークの軽トラに悠人を乗せ、ホームセンターに向かう。「まずはスチールラックに自転車、ドライヤーだろ。あとはー。」呟きながら店内を歩いていく。「お兄ちゃん。俺にはドライヤーはいらないよ。」野球部のイガグリ頭の悠人が俺の顔色を伺う。「馬鹿だな。ドライヤーは服を乾かす為に使うんだよ。梅雨時期になるとうちの寮生がドライヤーを買い占めるから早めに買わなきゃな。あっ!英字配列キーボード見っけ。」悠人にキーボードを渡す。「何でキーボードだけ買うの…。しかも英語だけしか書いてないよ。」悠人はいつまでもキョトンとしていた。「モニターは嫌でも集まるからいらないんだよ。プログラミングをやる時はキーボードは英字配列の方がやりやすいからな。」プログラミングと聞いただけでコンパイルエラー地獄を知らない悠人の目が輝く。


 顔見知りの店員がこちらを見てクスクス笑う。「こんにちは。こちらがこれからこのお店の常連になる俺の弟の悠人です。」悠人が反射的に頭を下げる。「これがタテちゃんの弟の悠人君かい。五年間ピッタリおいで。」悠人が店員の言葉の意味を知るには早すぎた。


 会計を済ませて駐車場に向かう。同じく買出しに来ていた寮の戦友と出会う。お互い笑顔を交わす。「友よ。軽トラはお前に任せた。」「了解。あとでラーメン一杯な。」新入生二人はただ立ち尽くすのみ。「新入生諸君。寮から店までの道を覚えるために帰りは自転車だ。俺についてこいっ!」思わずニーっと笑う。俺はロードバイク、悠人と新入生は一番安いギア無しのママチャリだ。全力で坂道を駆け上がる。風だけが聞こえる。高専生活も折り返し。勝手にしやがれ。俺は我が道を行く。後ろから笑いが混じった叫び声が聞こえる。どこか楽しげな声。新入生よ。高専寮生活を存分に楽しみたまえ。長き道は思ったよりも短いぞ。それは桜の花びらの風が吹く通い慣れた道だった。Fin.


Twitterで勝手に高専ラジオ様を知り、ハマり、一気に書き上げた作品です。勝手に高専ラジオ様の関西弁の軽妙な語り口と深夜ラジオのノリが好きです。私は通生だったので男子寮の話は聞いた限りしか知りません。辛い。だけど楽しい寮生活。それが私の男子寮のイメージです。ご協力を頂いた勝手に高専ラジオ様のご活躍をこれからも楽しみにしています。


・『勝手に高専ラジオ』さま

Twitter: @kattekosenradio

youtube: https://www.youtube.com/channel/UCqN6kxtoF09Ra_bLAkr9L-g

*itunesでの配信もあります!!


2018/02/13

長谷川真美


BGM:勝手に高専ラジオ

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