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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

最強の三人『完全版』

フォ☆

ますだいらは、自身の城で悩んでいた――もうすぐ、自分より強い者が来る、と。そのような事が、なぜ分かったのか――強いからである。理由は聞かないで。

 地球に迫っている何か。ますだいらは、決意する。

 守らなければ、と。


 *


 広大な大地に一人、目を閉じながら腕を組むますだいら。奴はここに来ると、確信していたからである。

「久しぶりだな、まっすー」

「……遅いぞ、堕天使天使」

 背後に突如として現れたのは、ミスターS。ますだいらと同じく、奴と戦うためにやって来たのだ。

 二人は知り合いで、よく星の一つや二つを滅ぼしながら戦った仲である。ますだいらはミスターSに協力を頼んでいたのだ。

「お、あんたら早いねー」

「貴様が遅いだけだ、サードトリプルソードマスター」

 さらに、サムライヘアーの男がやって来た。サードトリプルソードマスター武乃である。同じく二人と互角に戦えるほどの実力者だが、彼だけは地球人。地球最強を名乗ってもいいであろう。

「……で、奴はいつ来る」

「残念だが――今だ」

 突然、大地に何かが衝突した。砂煙でよくは見えないが、一つだけ、分かることがある。

 まるで隕石が落ちたかのように、地面が削れていたのだ。

 砂煙もやみ、徐々に姿が露にとなる。筋肉質で、肌も人間と同じ色をしている。違うのは――異質なブリーフ。何と、黒であった。それに頭がハゲている。

「ワレ、ハ……キュウキョクナルモノ。コノホシヲ、ホロボス」

「さて、誰から行く?」

「俺は力を確認してからじゃないと死ぬ。ホラ、人間だし」

「――私から行こう」

 と静かに、しかし冷酷さを醸しながら言ったのは、ミスターS。両腕と首の骨を鳴らしたあと、その神翼を広げる。

「キサマ……ジャマヲスルキ、カ」

「あぁ、その通りだ。かかってこい」

 静寂。だが、彼らに息を飲む者や、恐怖に怯える者などいなかった――自分の強さを、知っているからである。

 それと同時に、奴の強さも何となくは分かっていた。ただそれが、恐怖という方向ではなく、狂気なる喜びだっただけの事。普通の人間とは、次元が違いすぎるのだ。

「さあ、早くこ――」

 ミスターSが挑発をしようとした、その時であった。何かが、彼の右腕を超絶なる速度で引き千切ったのである。

 だが、ミスターSは叫ぶどころか驚きもしない。

 それもそのはず、

「おいおい、痛いことをしてくれるなぁ?」

 切断されたはずの右腕が、元通りになっている――再生していたのだ。

 その時間、わずか一秒。

 何かは、理解ができなかった。ふと気がつけば、白黒の翼を生やした者が両腕を組み上げ、自分の頭上にいるということが。

 遠くにいた二人にも届きうるほどの、風圧。ミスターSが、何かの頭にその腕を振り下ろし、大地に打ち付けたのである。

「グ、グガァ……!?」

 何かのその声を聞き、ミスターSは思う――殺れる、と。

「終わりだ」

「――――ナンテナ」

 血しぶき。それは何かの頭から吹き出したものではない。

 ミスターSの両腕からであった。

 そして、身体が麻痺反応を起こす。

「……!?」

「グ、グゲゴガガガガ――」

 突然、何かが右腕を構える。すると風船のように、あるいは危険を察知したフグのように、膨張していくではないか。

 巨大になりすぎた。その大きさは、ミスターSや何か自身を遥かに超える。そして――

「グギャァァァァァ!!」

 さっきの風圧を凌駕する衝撃波に、二人は驚く。しかし、それと同時に笑っていた。仲間を傷つけられたことでではない。

 仲間が強すぎることに、だ。

「笑わせてくれる」

「オ、イオイ」

 地面に亀裂は入ったものの、ミスターSはなんなく巨腕を、その片手で受け止めていた。

 瞬間、巨腕が破裂する。

 緑色の液体を噴出させ、もがき苦しむ何か。しかし、それは数秒で終わり、ミスターSを睨む。

 すでに掴んでいたのは、ミスターSの頭であった。だが胴体と分離されたわけではないようで、突進されながらもミスターSは、余裕の笑みを浮かべる。

「久しぶりに、楽しめそうな相手だ」



 神家系のクォーターであるミスターSと、宇宙生命体である『何か』。彼らは今、命の賭けようがない戦いをしていた。なぜなら、ミスターSは高速再生ができ、また、何かもそのような能力を有しているからである。

 二人の手が止まっている――否。速すぎて、止まっているかのように見えるのだ。

 その殴り合いは、優に一日を過ぎていた。

 がしかし、

「なっ……!?」

 突然、膝を崩すミスターS。その直後、一万を超える乱打が、彼を吹き飛ばした。体力、と言うには人類との差がありすぎる。強いて言うならば、自らの持つすべてを出し尽くした、といったところであろう。

 太ももを膨らまし、ミスターSへと飛びかかろうと、構えを取る何か――すでに往いなし。

 ミスターSは、目を閉じていた。だが、殺されると思い死を覚悟していたわけではない。

 何せ、狂気じみた表情で口角を上げているのだから。

「グゲ……ゴ!?」

「誰が、一人で殺ると言った?」

 縦に裂かれた、何かの腕。その最奥には、藍色に輝く剣があった。

「うえーい、危なかったっすね」

「いや、全然」

「嘘はだめっすよ」

「いや、マジで」

 ミスターSの目の前に現れたのは、サードトリプルソードマスター武乃。最強の地球人であり、剣士である。何かは自分の右腕を見て、発狂した。

 刹那、何かの左腕が武乃の顔面を捉えようとする。

 だが、武乃はすでに剣を抜き、その左腕までもを縦に切り裂いた。

 その秒数は、一秒を切る。

 運動神経、反射神経、頭脳。どれも最高クラスの持ち主である武乃は、まさに究極の人類であった。

 だがしかし、例え人並外れた能力を持っていても、何かの拳を止めることはまず不可能。その限界を武乃が超えられたのは、二つ訳がある。

 一つ目は、パーフェクト・ヴィジョン。見た者の動きを観察する事ですぐに、どう攻撃が来るのか。また、さらに先の予測ができるようになる能力である。しかし、何かの動きはよほど癖があるようで、一日かかったようだ。

 そして二つ目。それは――剣である。まだ腰に二つあるが、今持っているのは神の超越剣『ゴッド・ディザスター』。

 その力は、潜在的な身体能力を最大にまで高める。

「グゲ……ェェェェアアアアアア!!」

(くぅ、一発一発の破壊力が半端ないねぇ)

 時には受け流し、時には受け止める。藍色の刀身は高めの音で鳴り響き、悲鳴を上げる。

 力ではかなりの差があるであろう。防御をする度に腕の筋肉や細胞は破壊され、超越剣の能力で高速再生される。しかし、このままでは人間である武乃の方が、先に限界へと達する。

 残りの二つを抜かない限りは、だが。

「あ――」

 武乃の左肩に、何かの腕が掠った。途端、時間差で鮮血が噴き出し、吹き飛ばされてしまう。

 すぐさま立ち上がる武乃。すると持っていた超越剣を口に加え、残りの二本を鞘から抜いた。

「本気で行っか」

 そう言うと、目付きが変わった。

 何かに向かって、走り出す――

「オ、ワ、リ、ダ」

 何かは、自ら武乃の前に現れた。

 武乃は守りを固めず、左手で持っている剛剣『エクスタシー・カリバー』を何かの胸部へと突き刺す。

 しかし、その腕を一瞬で切断されてしまった。

(さらば左腕、初めまして斬撃。……ってところか)

 武乃は思い切りに首を振った。超越剣を、もう片方の胸へと投げたのである。

 両胸から流れ出る血に、怒りが沸き上がる何か。我を忘れ、武乃に止めを刺そうと、殴ろうとするが、

「ナ、ニ?」

 持ち上がらない。というより、手に感触がない。そう思った何かは、今になって感じ取る――この者は命だけではなく、魂をも賭け、戦っているのだと。

「俺の全力、受けてくれるよなァ……!?」

 最後の剣――究極剣『テイク』を武乃は、振りかざそうとしていた。



「うぉぉぉぉぉ!!」

 斬撃は空気を切り裂き、何かの体を二つに分けた。その姿を見た直後、武乃は倒れ込んでしまった。

 ミスターSは武乃に近づき、担ぐ。そして、ますだいらの場所へと向かっていく。

「サードトリプルソードマスターの剣が、三本とも使えなくなっていた。……ますだいら、こいつはかなり強いぞ」

「まあ、何とかなるんじゃね。はい、交代交代」

 ますだいら・パワフリィーヌ・グレンは、元は人間である。しかし、とある事件に巻き込まれ、彼は――超腕力、及び瞬間移動能力に目覚め、さらには何年も生きる事ができる『ヴァンパイア』となってしまったのだ。

 その力は数多の可能性を秘め、人間を恐怖に陥れた。誰もがよく知っている――そう、ドラキュラ七世か八世か、恐らく百一世なのである。

 何かは再生した。ますだいらは狼のような雄叫びを上げ、その身を突進させる。だが効くはずはなかった。何かは剣撃には弱かったが、打撃には強かったのだ。

 両手を合わせると、ますだいらの頭を地面へと打ち付ける何か。しかし、その行動は大きな誤算であった。

「つーかまーえたぁぁぁ……」

 彼の腕力に敵うものなどいない。何かの腕は掴まれた瞬間に砕け散る。そしてもう一つの腕で、驚異とも言える、あるいは奇跡とも言える打撃をますだいらは打ち出そうとしていた。

 それは天災。何かを空へ投げると、ますだいらは地面を殴り、自らも空中へと飛んだ。

 一瞬にして宇宙に着いたますだいらは、何かに最後の一撃を見舞おうとする。

「終わりだ、うらぁ!」

 放ったものは何かの体を塵とさせ、宇宙に分散させた。

 こうして平和は保たれたのである。

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