8 仲間(?)と宿探し
ココアに自己紹介をした後、ここら辺の道は詳しいということで彼女の言う通りに道を進んでいくと元の大きい通りへと出ることが出来た。
「なんか時間を無駄にした気がするよ・・・」
「えっへん」
「別にほめてないからね。半分くらいは君のせいだからね!?」
まあ、元々道に迷った僕が原因でこんなことになっちゃったわけだしね。
こんな調子で進んでいったが、中々宿が見つからない。
「(私、いい宿知ってますよ。値段も安いしおすすめですよ)」
「なんで先に教えてくれなかったの!?」
タツヤは少し怒った様子で、ココアに尋ねた。
「(いや~、先にどんどん進んでいっちゃうので目的地が決まってるのかと
思いまして。あくまでも、私はついていかせてもらっている立場ですし)」
確かにココアはここら辺の道を詳しいようだった。最初に彼女に宿のことを聞けばよかったのに勝手に進んでしまったのはタツヤのほうだった。明らかに悪いのはどちらか明白だろう。タツヤは少しばつの悪そうな顔をして彼女に謝った。
「ごめん・・・。勝手に進んでいった僕が悪かったよ・・・でも、もし意見があったら今度からは言ってくれて大丈夫だからね」
「なら、早速ですが空腹なのでどっかで食べ物を買いましょう!」
それとこれとは少し違う気がするんだよな・・・。
そんなことを思っていたが、先ほどの件でなにかお詫びをしたかったのだろう。近くにあった露店で彼女に食べ物を買ってあげることにしたようだ。
そこで銀貨1枚を使うことになるとは、彼は知るよしもなかったが・・・
◆◆◆◆◆
「(ふう~おいしかったです。では、早く宿に行って夕食を食べましょうか)」
彼女は軽い調子で言っているが、なんと100本近くの串焼きを平らげていた。
注文した当初は「全部、食べれんのかこいつ」みたいな目線で屋台のおっちゃんに見られていたが段々と顔が変わっていき、近くにいたお客も含め皆ポカーンとした顔をしていた。
この子、まさかあんな量を食べるとは思わなかったよ・・・。確かに食べるのが異様に早いなとは思っていたけど大食いでもあったなんて・・・。しかも、まだ食べる気とか腹の中どうなってるんだろう?ブラックホールでも入っているんじゃないかな。本当にえらい拾いものをしちゃったよ・・・。
「(じゃあ、行きましょうか)」
◆◆◆◆◆
なんやかんやあったものの、ココアの案内でやっと宿につくことが出来た。
「『満足亭』かぁ・・・」
いったいどんなところなんだろ。あとなぜか、一波乱ありそうな気がするのはなんでだろうな~。
そんなことをタツヤが思っていると、ココアは中に入っていってしまったのでそのあとに続いて入っていった。
「おばちゃーん、お客さん連れてきたよ~」
ココアの声を初めて聞いたなと思っていると恰幅の良いおばちゃんが奥から姿を現した。
「あら~ココアちゃんいらっしゃい。あらっ、今日はひとりじゃないの?」
「お客さんを連れてきたって言ったじゃん」
そんな会話をしていると、おばちゃんがこちらに気づいて話しかけてきた。
「いらっしゃい。何泊お泊りの予定ですか?」
「じゃあ、とりあえず3泊でお願いします。あとココアの分も頼みたいので二部屋でお願いします」
「了解したよ。それより、あんた、いったいココアとどんな仲なんだい?部屋を借りてあげるなんて」
「いや~、成り行きで・・・」
「そうかい、あんたも大変だね~。食事つきにすると少し割高になっちゃうけど、どっちにする?」
わざわざ食事をしに行くのも面倒だし、それにココアもここの食事楽しみにしてたみたいだし食事も頼もうか。
「食事つきでお願いします。」
「じゃあ、二人で銀貨2枚だね」
一人銀貨1枚とか、さっきの食事の値段と変わらないんだけど。うん、気にしたら負けだ・・・。
銀貨を渡すと部屋の鍵を渡された。
「食事の時間になったら、ベルを鳴らすからここに来なよ。あとココアにいっとくけどお代わりはダメだからね。あんたが食べると食料が足りなくなるからね」
おばちゃんはココアのすさまじい食べっぷりのことを知っていたらしい。
「紹介が遅くなったけど、私はバーバルっていうんだ。よろしく」
「僕はタツヤ・ミズノって言います。よろしくお願いします」
そして、ココアに鍵を渡して今日は部屋で休憩することにした。