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4 ドナドナ

 

 この世界に来てからの初めての戦闘、正直ギリギリだった。


 今回はあんなに簡単に勝利することが出来たが毎回あの調子で勝てるかといわれれば、まあ無理だろう。


 そもそもの目的として街につくというものがある。戦闘をこなす力自体はまだ余ってはいるが夕方までに街に着けなくなる可能性があるからだ。夜までに着けばいいだろうと最初は考えていたが街の入り口が閉まっているかもしれないからだ。


 そもそも魔物がいる世界だ。何かしらの対策がその街の周りにされているはずだ。そうでもしないと、とてもではないが生活などできないだろう。


 そんなことを考えつつ、森を進んでいた。あれから何度か魔物とエンカウントしてはいるがなるべく戦闘にならないように立ちまわっている。何が起こっても大丈夫なように温存しているといったほうがいいかもしれない。ただし、最初の戦闘以降あそこまでのステータスをした相手には出会っていない。基本、階位1でステータスは3以下の雑魚ばかりだった。


 あれからさらに30分ほど歩いた。


「そういえば、あんまり体が疲れてないな。」


  もしかしたら、ステータスでも上がったか?

 どれ、確認してみるか)


 【タツヤ・ミズノ】


 ・階位:6

 ・筋力:10

 ・耐久:8

 ・俊敏:18

 ・魔力:51

 ・運 :50


  お、ステータスが上がったな。前の3倍くらいの数値になってるよ。

 やっぱりステータス上がるのっていいよね~。


 ゲームをやるときストーリーをいかに早く攻略するかという人、マップを隅から隅まで探索してアイテムをすべて回収してから攻略する人など本当に様々な楽しみ方があると思う。

 僕は特にレベルを上げることに力を入れるタイプだった。クリアするのに大体どれくらいのレベルが必要かという適正レベルがあると思う。僕がそこをクリアするときは大体2倍くらいのレベルでいつもクリアをしていた。なので、戦闘にはほとんど苦労した覚えはない。)


「ああ、もう一回ゲームがやりたいなあー」


 タツヤは地球に思いをはせながら歩いていくと、ようやく森を抜けることが出来た。

 そこは見渡しのいい草原のようになっており、かなり先のほうにではあるが人工物のようなものを確認することが出来た。


 あそこが目的の場所かなと思いそちらのほうに進んでいくと道のようなものがあった。道といっても日本のようにコンクリートで塗装されたような立派なものではなく、その道のような場所には草がなく土がむき出しになっているようなものだったが。


「やっとだ・・やっとだよ。ついにここまでたどり着いたか。」


 結構な時間歩いていたせいか、空の色が青から心なしか赤い色へと変わってきたようだ。

 日が暮れる前には着きたいと思い、少し歩くスピードを上げてその人工物のある方向へと歩みを進めた。




 ◆◆◆◆◆



 そして、やっと人工物の前へとたどり着いた。


「すごいなこれ。城壁か」


 魔物が入れないように対策をしているのだろう。街を囲むかのように城壁が続いていた。街といってもここにはかなりの数の人が住んでいるだろうと思える規模の大きさだった。


 城壁に目を奪われていると突然声をかけられた。


「おい、ここで何をしているんだ」


 そちらを向くと兵士が1人立っていた。

 ここに来る前に考えておいた設定を思い出して兵士の問いに答えた。


「道に迷ってしまったのですが、歩いていたらやっとここにたどり着いたんです」

「ここは普段はほとんど使われていない裏門なのになぜこちら側にいるんだ」


  こっちって裏門かよ。どうりで街の近くなのに人があまりにもいないはずだよ。

 相変わらず運が悪い気がするよ。あの運の欄の表示の不具合ってマイナスとか

 になっているからじゃないかな。


「歩いていたら、気が付けば森の中で何とかここにたどり着くことが出来たんです」

「魔性の森をこえてきたのか。もしかして冒険者か何かか?」


  この世界には冒険者がいるのか。小説とかゲームに出てくるような場所なのかな。

 帰る方法を見つけるのならなっておいても損はないだろうな。よし、それなら・・・


「いえ、田舎の村に住んでいて冒険者になりたくてこの街に向かってきたのです」

「そうか、それなら身分証はあるか?」


  マジかよ。身分証って何?なんでこういうことを教えてくれなかったんだよ。

 なんとかしないとね・・・。


 バッグを開けて中をガサゴソやっているふりをした。


「すいません。途中、魔物に襲われた時に無くしてしまったようです」

「身分証は大事だから無くすなといわれなかったのか?まあ、しかたない。おーいワルツ」


 大きな声を出したかと思うと別の兵士が一人こちらに走って近づいてきた。


「なんだよ・・・マーク」

「こいつ、迷子になったあげく身分証をなくしたらしいんだよ」

「だから、詰め所に連れて行けってか。」

「そういうことだ。」


  なんか会話を聞いてるだけで悲しくなってくるわ。やっと人のいるところに

 ついたと思ったら完全に不審者あつかいだもんな。全然間違ってはいないところ

 が余計悲しいけど・・・ 


「おい、坊主。一緒についてこい」


 やっと街についたと思ったら、ドナドナされたよ







 

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