第三十三話 とりがー
「」は日本語、『』は異世界語です。
短めです。いつもどこで切ればいいのか悩んでおり、長さがバラバラで、申し訳ないです。
リリョスさんの告白を、なんやかんやでうやむやにしてしまったことに気付いたのは、次の日の朝だった。
私は、ときどき悶え、いやいや、やることがあるんだからと己を立て直し。
というのを繰り返しながら、三度目の王妃邸に足を踏み入れていた。
名目は、この間とまったく同じ。
もう一度話したいとスワルさんに言ったら、二つ返事で連れて来てくれた。
今回も、スワルさんには少し離れたところで待ってもらい。
頭の中で話をまとめてから、彼女の部屋をノックする。
ガチャっ
「っ……」
前と違ってすんなり開いたので、飛びのいてしまった。
チラっと見えた部屋の中は変わらず、薄暗くて散らかっている。
「何」
ドアの隙間から、空風コトリが顔を出した。
私は、ゴクっと唾をのんで。
「頼みがあるんだけど」
さっそく本題をきりだした。
世間話なんてしたら、言い合いになるか、またいらぬ情報を貰って混乱するかもしれない。
口を挟まれる前に、あらかじめ用意した言葉を、そのまま並べた。
「王様と王妃と、あとイグライトさんとスワルさんと……偉い人みんなを集めて欲しいの」
「どうして?」
「あの。みんな本当は同じようなこと考えてるのに、いがみ合ってる気がして。話し合えばこう……何か……こう…………」
言いよどんだら
「この間の話はいいの? 嘘だとでも思ってるの?」
空風コトリがズバリ隙をついてきた。
私は、細く深く息を吸い込んで、俯きそうになる体に力を入れた。
「正直、まるごと信じてるわけじゃない。でも……嘘だからって割り切って見ないふりしてるのも嫌で…………だから今は……今すぐには帰りたくないって思ってる」
彼女の目をまっすぐ見て言えた。
これはまごうことなき本心だ。帰らないんじゃない。今は帰りたくない。
優柔不断にも聞こえるけれど、今の気持ちに正直に向き合った結果だ。
「フクちゃんになにが出来るの?」
まただ。
まるで試練のような問い。
「何が出来るかわかんない。でも……関わってみる。いろんな人と話をして……出来ること探す」
一瞬、顔を顰め嫌悪を滲ませた……のは気のせいだったのかと思うほど、空風コトリの表情が和らいだ。
「わかった。じゃあ集まるように言ってみる」
「えっ? あっ……ありがとう」
拍子抜けするほどあっさりした返事。
これはもう完全にデジャヴ。
あの日の二の舞。
警戒心が働いた私は咄嗟に。
「願いが叶ったら、お礼に空風さんの言うこと一個聞くから」
などというとんでもないことを言っていた。己の交渉術のなさに、二の句が継げない。
「そう。わかった」
空風コトリの目は、笑っていない。
私を見ていないような気がした。
この間、話を逸らした瞬間から。私と彼女の間の亀裂は、徹底的なものになってしまったのかもしれない。
私は、大切な人を守りたいがために、彼女をないがしろにした。
異世界へ召還された特別な存在を、二の次にした。
それが
地鳴り。咆哮。嵐。
大きく物語を動かしてしまうことになるとは、考えもしなかった。
読んで頂けてありがたいです。またどうぞお暇なときに読んでください。




