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エピローグ

5/7 三話目

 それからの話をしよう。

 私達は、冒険者として様々な場所を巡った。ギルドのランクも上げて、名を広めていった。それはマリアージュ様へと近づけたという証だった。

 スペル王国で、王妃を目指していた頃にこんな生活が待っているなんて思ってなかったから嬉しくて仕方がなかった。

 フロネア伯爵領を去って、二年。

 私とソル君は二年ぶりに、フロネア伯爵家を訪れていた。

 ミレーナとアレーナは、旅先で恋人を見つけて、そのまま永住してしまったのでこの場にはいない。お相手も双子だったため、流石に驚いた。そんなわけでミレーナとアレーナが永住を決めてから数か月後、私とソル君だけでフロネア伯爵家に来ている。

 そういえば、私達が去った後にお兄様とジガルダン様、そして二人に連れられたスペル王国の人達がこちらに来たのだと冒険者ギルドに預けられた手紙で知った。私達はややこしい事になるかもしれないと、すぐに伯爵家を去っていたが、私を連れ戻そうとする動きはないようだった。寧ろ驚くことにお兄様もジガルダン様も、スペル王国を捨ててジェネット王国に永住する事にしたらしい。マリアージュ様が後ろ盾になってくださったようで感謝しかない。ソル君の事を知って狼狽していたらしいので、直接会ったらどうなるかと少し不安を覚える。

「ソル、ケーシィ、おかえり!! ソルってば、益々男前になっちゃって! ケーシィも益々美人度が増しているわね。いいわいいわ!!」

 フロネア伯爵家を訪れたら、相変わらず元気なマリアージュ様に迎えられた。

 確かに、マリアージュ様の言うように十五歳を過ぎたソル君は益々男前になった。十三歳のころにみられた幼さがなくなって、かっこよくなった。いえ、もうどの年代のソル君でもかっこよくてときめくのだけど。

 ……私は私で相変わらず人妻に勘違いされたりしているけれど。

 ちなみにミレーナとアレーナの事は手紙ですでに伝えてある。二人とも時間があればフロネア伯爵家に遊びに行くと言っていた。

「ルドたちにも連絡するわね!! ふふ、今日は食事を豪勢にしてもらわなきゃね!!」

 マリアージュ様は、興奮したように次々と言葉を放つ。

 厨房に向かおうとしていたマリアージュ様を引き留める。

「どうしたの?」

「あの、マリアージュ様、ご報告があるのですが」

 そう、今回、私とソル君がフロネア伯爵家に戻ってきたのには理由がある。それは、その報告すべきことにまつわる事だ。

 私が引き留めれば、不思議そうにしているマリアージュ様。私はそんなマリアージュ様に一つの事実を告げる。

「その、結婚前ではしたないかもしれないんですが、妊娠しました……!」

 ……私とソル君は結婚式をまだ挙げてない。なのだけど、その、やることはやってしまったので妊娠してしまっていた。結婚式前なので、正直言いづらかった。人によってはそれははしたないと言われてしまうからだ。でもまぁ、平民とかだと王侯貴族みたいにきちんと結婚式あげずに、気づいたら結婚している状況になっている事実婚みたいな状況や指輪の交換だけで結婚したとしたりするんだけど……。

 ソル君は伯爵家の息子だし、きちんと結婚式は挙げた方がいいと思うというのもあって慌ててフロネア伯爵家に戻ってきたのだ。妊娠発覚してすぐに神父様の所で結婚しても良かったのだけど、フロネア伯爵家に戻ってからがいいと思ったから。それに出産というのは初めてだしね。

「え」

 マリアージュ様は固まった。

「えええええええ!? ケーシィが妊娠って、ソルの子供ってことよね!? え、本当に!? おめでとう!! えっと、とりあえず、グランに伝えてくる! ケーシィはゆっくり座ってて。安静しなきゃだめだよ! 初孫だわ!!」

 興奮したように叫んだマリアージュ様は、私達にそう言ってグラン様の元へと走り去っていってしまった。

「……母さん、予想通り反応が凄いね」

「でもよかった。マリアージュ様が喜んでくれて」

「まぁ、母さんはそんなの気にしないでしょ」

 ソル君がそう言って笑ってくれる。二年で、背も高くなったソル君。やっぱりかっこいい、と何度見ても思う。

「そういえば、結婚式したいっていうの忘れてたわ」

「後からでいいでしょ。どっちにしろ、母さんと父さんもちゃんとそのあたりは考えてくれるだろうし」

「そうね。……ふふ」

「どうしたの? ケーシィ」

「何だか嬉しいと思ったの。ソル君の子供が此処に宿っていて、これから結婚式が出来て、マリアージュ様も祝福してくれて……。私、ソル君と一緒に居れて幸せだわ。一緒にいてくれてありがとう」

 大好きな人が傍にいてくれるのが当たり前なんて思ってはいけないと思うから、私は改めてそう告げた。ソル君はその言葉に笑って、私に口づけを落とした。


 本当に、私は幸せだ。

 これからも、ソル君の傍に居れたらいいなとそう願ってやまない。






 完



この後、多分お兄様がソル君と静かに言い争いでもしそう。

これで完結になります。『戦争が終わって美少年を育てた結果』のマリアージュの子供の話を書きたいという願望の元書きだした物語なので、相変わらずのマリアージュをかけて満足していたりします。

予想外に読者様も多い作品になったのは、嬉しかったです。元々、第四章で完結させようと決めていたので、ここで一区切りして完結という形にしています。途中で更新が止まってしまったりしていたために、公開してから完結まで時間がかかってしまい、読者様の事をお待たせしてしまいました。完結まで書ききる事が出来てほっとしています。

冤罪をかけられて国外追放されたケーシィは、恋人を作って冒険者として過ごし、最終的に子供まで作っています。スペル王国で王妃をしていたら手に入れる事がなかった自由を手にする事になったのです。そしてソルと幸せに過ごしています。

ミレーナとアレーナの双子も書いていて楽しかったです。あとソルの兄妹達もあんまり出てませんが楽しいです。時間ややる気さえあれば他の兄妹達の話も短編でもいいから書けたらなと思っていたりもします。登場人物の子供の話とかつながっているの読むのも書くのも好きなので。

では、ここまで読んでくださりありがとうございました。もし、楽しいや面白いなどなんでもいいので感じていただければ作者として書いた甲斐があったと思います。誤字脱字報告などいつもありがとうございました。感想などいただければ返信はしていませんが、すべて目を通させていただいているので嬉しいです。


2019年5月7日 池中織奈


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