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15.これからのこと 2

5/7 二話目

 ケーシィ・ガランド――つまり私の国外追放の取り消しと無罪の公表がされた。スペル王国でどういう事が起こってそんなことになったのかは私には分からない。ただこれで私は侯爵家令嬢に戻ったという事だろうか。そしてまたガランド姓を名乗る事も出来るようになったのかもしれない。

 ただ、私は国外追放の取り消しと無罪の公表がされたとしてもスペル王国に戻るつもりはないのだ。……お兄様がスペル王国に戻って、何かしてそうなったというのならば問題はないだろうけれど。ただ万が一と言う可能性もある。私を連れ戻そうとする動きがあるかもしれない。

 スペル王国とジェネット王国は距離があるから、まだ正確な情報は入ってきていなくて実際には分からない。でも、仮に私をスペル王国に戻そうという動きがあって、また誰かの婚約者にしようという動きがあったら困る。

 そう考えた私は、即急にこの場を去るべきだと結論付けた。

 もし、連れ戻そうとする動きがなかったとしても、その時はその時で問題はない。

「ケーシィ、スペル王国が何か言ってくるなら私が蹴散らすけど、すぐに出ちゃうの!?」

「ええ。冒険にすぐ戻ろうと思いますわ。恐らく、大丈夫だとは思いますが、万が一何かややこしい事になったら困りますから」

 マリアージュ様に、即急に出ようと思うという話をしたら、とても残念がられた。グラン様には「蹴散らしちゃ駄目でしょ。ちゃんと穏便に話し合いで帰ってもらえばいいんだって」と突っ込まれてた。それを聞いて何だかこう、脅迫も含めた話し合いをしているグラン様しか想像できなかった。マリアージュ様はそれに頷いているし、本当にこのご夫婦は仲が良い。

 いつか、私もソル君と……とか、妄想してしまう。前世で結婚なんてしていなかったから、ソル君と結婚したら前世と現世含めて初めての結婚になるんだと思うだけでも顔がにやけてしまいそうになる。とりあえず、妄想して表情が緩んで、ソル君に引かれないように気を付けないと。

「ルド様ががんばった気がするから、すぐ去らなくても問題がないと思うけどね」

「まぁ、スペル王国の人きたら中々冒険に出られなくなりそうだし、私は賛成かな!!」

 ミレーナとアレーナは、国外追放の取り消しと無罪の公表にそんな意見を言った。

 もっと冒険をしたいと願ってやまないのだから、スペル王国の侯爵家令嬢だと広まったら色々とややこしいだろう。このままとどまっていたらジェネット王国の貴族達の接触も増えるかもしれないし。そういう対応をするよりもこの場から去ってしまおうという事なのだ。

「そうだ。マリアージュ様、もし、此処にルド・ガランドという私のお兄様が来たらお手紙を渡してほしいのですが」

「いいよ! でもどうやってケーシィのお兄さんだって分かる?」

「マリアージュ様、ルド様はシィ姉様の事大好きだから語らせれば一発でわかるよ」

「ルド様は凄く美形だよ。シィ姉様と似てるし、話してみれば分かるよ。シィ姉様の事、大好きだから」

 もっといろんな特徴があるでしょう? とミレーナとアレーナの言葉に思わず思ってしまう。確かにお兄様は私の事を大切に思ってくれているけれども、もっと特徴があるでしょう? とお兄様の特徴をマリアージュ様に教えておいた。

 どうしても判断がつかなさそうなら、なぜかミレーナとアレーナが言っていたように私の話をして判断すると言っていた。

 お兄様への手紙には、元気にやっている事やスペル王国には帰らない事、ソル君の事などを書いた。

 お兄様は私がマリアージュ様に憧れていて、マリアージュ様に会いたがっていた事を知っているからこそ、私がどこに行くか考えた時にジェネット王国に足を踏み入れるだろうと思ったから。

 マリアージュ様は「来たら必ず渡す」と言ってくれた。またお兄様以外の人が来た場合の話もされたが、一先ず私の事は知らないと追い返してもらっていいと言っておいた。

 ミレーナとアレーナに「ジガルダン様も来るかもよ」とか言われた。そういえば、ジガルダン様も国を出ると言ってたんだっけ。ジガルダン様がジェネット王国に来るかは分からないが、伝えておくほうが良いだろうと伝えておいた。


 スペル王国の者がこちらを訪れる前に去ってしまおうと、私達は急いで準備をした。



「ソル、ケーシィ、ミレーナ、アレーナ、何時でもかえってきていいから! いってらっしゃい!!」

 マリアージュ様は、いってらっしゃいと言ってくれた。グラン様やソル君の兄弟たちも、私達に此処に帰ってきていいのだと言ってくれた。

「いってきます!」

 私達はそういって、フロネア伯爵家を出た。今度戻ってくるときに、ただいまと言ってもいいだろうか。言いたいなと思うと、何だか嬉しくなった。

「ケーシィ、ミレーナ、アレーナ、何処か行きたいとかある?」

「どこでもいいわ。訪れた事ない場所で、見た事のない景色を見たいの」

「私もどこでもいい!」

「とりあえずギルドで護衛依頼とか探そうよ!」

 私達は目的地も決めずに、新たな場所へと旅立つのだ。

 ―—ソル君と、ミレーナと、アレーナと一緒に。





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