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13.パーティー 3

5/5 二話目

 今日はパーティー当日だ。

 私が身に纏っているのは、黒色のドレスだ。胸元が強調されていて、谷間も見えてしまっている。正直言って少し恥ずかしい。私の胸は、平均より大きいからこういう格好って視線が向けられるからあんまりしたくないのよね。

 でもまぁ、マリアージュ様が似合うし着てほしいといってくれたものだし、ソル君の恋人として恥ずかしくないように着飾ろうと思って侍女さん達にしっかり化粧などもしてもらった。

 ソル君は、私のエスコートをしてくれるそうだ。こうして好きな人がエスコートしてくれるなんて、凄く嬉しいわ。私がソル君の恋人としてパーティーに出席する事になるなんて思ってもなかった。

「ケーシィ、凄く綺麗だね」

「あ、ありがとう。ソル君も、かっこいいわ」

 私に綺麗、告げてくれるソル君はそれはもうかっこいい。普段からかっこいいけれども、タキシードを着ているソル君は本当にかっこいい。

 見ているだけでぽーっとしてしまう。

 ……なんだろう、ずっと見ていられるぐらいソル君って本当にかっこいいの。

 ミレーナとアレーナは、それぞれマリアージュ様が手配したフロネア伯爵家にゆかりの方にエスコートしてもらえるらしいわ。二人も好きな方が出来たら全力で応援するんだけど。

「マリアージュ様は、あんまりパーティーには出ないって言ってたけど」

「まぁ、母さんも必要最低限は出てるけど母さんが着飾ってパーティーに出る事ってあんまりないんだよね。戦争関係のものだと基本戦闘服で母さんはパーティー出てたし……。まぁ、今回はちゃんと着飾ってるみたいだけどね。父さんが喜んでたよ」

「グラン様ってマリアージュ様の事、本当に好きよね」

「父さんって母さんを手に入れたくて頑張ってたみたいだしね。養子になってしばらくして好きになったみたいだけど、母さんって父さんの事、そういう目で見てなかったみたいだし。戦争で活躍した後、押し切ったって言ってたよ。それで母さんに気持ちを分からせるために行動した結果、七人も子供が出来てるわけだけど」

「七人って子だくさんだわね」

「そうだね。ケーシィは子供好き?」

「ええ。私は子供は好きだわ。魔法が好きだから、魔法を教えたいって思ってるわ」

「そっか。じゃあ、一杯作らなきゃね」

「ええ、って……ソ、ソル君!!」

 にこにこと笑いながらさらっと言われたけど、ソル君、それって私と子作りする気満々っていう発言なんだけど! 私が名前を呼んでもソル君はにこにこと笑っているし。……私も、出来るならソル君と結婚して、ソル君の子供を産みたい……って気が早い話だけどそう思っちゃうけど。


 そんな会話をしていれば、パーティー会場に入る時間になった。


 ソル君に腕を引かれて、パーティー会場に入れば、一気に視線を感じる。それはこの国でも有名なマリアージュ・フロネアの次男であるソル君に手を引かれて、見知らぬ人間が入ってきたからだろう。

 男性の視線は、……ちょっと気持ち悪い、粘っこいものもあった。そういう目を向けられる事はスペル王国でもあったけど、やっぱりあんまり好きではない。そもそもうん、私に触っていいのはソル君だけだもの。

 女性達の視線は、こう……何者だろうという視線や嫉妬に満ちた視線が多い。それはソル君がそれだけ人気者だっていう証だろう。

「ソルじゃないか。久しぶりだな。その美しい女性は?」

「ソル様、お久しぶりです! その方は?」

 ソル君に対して声をかけてくる人は多くいた。

 そのすべてが私の事を興味津々で見ていた。

「ああ、俺の恋人。母さんが折角だからって参加させてくれたんだよ」

 にこにこと笑いながらソル君はさらっとそう言った。

 ああ、もう本当にこういう場でも恋人って言ってくれる事が嬉しくて仕方がない。恋人って響きが何だか嬉しい。

「私はケーシィと申します。よろしくお願いしますわ」

 淑女の礼を取って、挨拶をすれば、ほぉという感嘆の声があちこちから洩れる。

 ソル君の恋人としてソル君に恥をかかせるようなことにならなくてよかった。スペル王国できちんと淑女教育を受けて良かった。そう思ってならない。

「あら? 家名はないのかしら?」

「ええ。私はただのケーシィですわ」

 少なくとも今は、そうだとしか言えない。生まれはスペル王国の侯爵家だけれども、国外追放された今はただのケーシィだ。

「まぁ……栄えあるフロネア伯爵家の次男であるソル様の恋人だというのに、まさか、平民ですか?」

「ソル様、もう少し、お家の事も考えるべきでは?」

 ……あくまで、ソル君のためという言い方で私が恋人である事を咎めるような言葉を発していた。

 私がそれに何か言おうとした時、それよりも先に反論の声が響いた。

「まぁ、私が認めた息子の恋人に文句でもあるの? 文句があるのならばケーシィにではなく、私にいってもらっていい?」

「マ、マリアージュ様っ。まさか、マリアージュ様にそのような文句などっ」

「でも私の取り決めに文句があるのでしょう? ケーシィがどこの誰だろうとも私の可愛い娘なの。だからそんなことを言うようなら、私がお相手するけど?」

「ひぃ、も、申し訳ありません。マリアージュ様!!」

「マリアージュ様の決定にご不満などありませんわ。おほほほっ」

 マリアージュ様の登場に、彼らは青い顔をして去っていった。マリアージュ様って本当に影響力があるんだなぁと思った。流石、私のあこがれのマリアージュ様。

「ふふふ、ケーシィ、大丈夫?」

「はい。ありがとうございます。マリアージュ様」

「いいのいいの。ケーシィは私の娘みたいなもんだからね」

 ―—今回はマリアージュ様が追い払ってくれたけど、マリアージュ様の義理の娘で、ソル君の恋人としてふさわしいと皆に納得してもらえるように頑張ろうってそのパーティーで思った。

 それからマリアージュ様が目を光らせていたのもあって、とくに問題は起こらずにパーティーは終わった。





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