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10.ソル君の実家 5

七人兄妹なのに一人書き忘れてたので追加してます。

「ソルがかえってきてるって!?」

「ソル兄が恋人連れてきてるって?」

「ソル兄の恋人!?」

 そんな言葉と共に、扉が開かれた。入ってきたのはソル君と似ている三人の男性だった。

 入ってきた三人は私達を見つけて、面白そうな顔をした。

「三人もいるけど、どれだ? まさか、全員か?」

「兄さん……三人も恋人がいるわけないでしょ。俺はそんな恋人何人もいらないし」

 ソル君は呆れたようにそう言って、「ケーシィが俺の恋人。あとの二人はケーシィの妹分だよ」と私の事を紹介してくれた。

「凄い年上連れてきたな」

「ラト、ケーシィはこんなに大人オーラ満載なのに、貴方と同じ年らしいわよ! 凄く美人さんよね!」

「は? 同じ年!? 嘘だろ、母さん」

 ソル君のお兄さんは私と同じ年のようだ。マリアージュ様の言葉に、ラト様は驚愕の表情をこちらに向けていた。

「お姉さん、ラト兄と同じ年なの?? 全然同じ年に見えない。あ、俺はマヒーユ。ソル兄の弟だよ」

「僕はガジュ! よろしく」

 気づいたらソル君の弟――マヒーユ君とガジュダ君が私の傍まで来ていた。にこにこと笑っている。

 それにしてもこれで、フロネア家の全員がこの場にいるのか。マリアージュ様とグラン様に、その子供が七人。王侯貴族は跡取りを作るという義務があるから愛妾を多く持っている。だから子だくさんの王侯貴族はそれなりにいるものだ。とはいえ、一夫一妻で七人も生んでいるのは流石にそんなに例がない。よっぽど相性が良かったのか、それだけそういう行為をしているのか。まぁ、とりあえずマリアージュ様とグラン様がすごく仲良しだという事なんだろうけれど。

「あ、そうだ。母さん。ケーシィ、諸事情で祖国に足を踏み入れられないらしいんだ。大丈夫だと思うけれど、もしケーシィの居た国がちょっかいをかけてきたら母さんに対応頼んでいい?」

「何か事情があるのね? それなら喜んで対応するわよ」

「……俺が言うのもなんだけど、母さん、簡単に返事をしすぎじゃない?」

「だって、ケーシィってこんなに綺麗だし。何より私は自分の息子が連れてきた相手なら、信頼できる相手だって思っているもの。話していて嫌な感じもしないし、私の事キラキラした目で見てて可愛いし」

 ソル君がさらっと、私の事をマリアージュ様に頼んでいた。マリアージュ様は詳しい話も聞かずに、にこにこと頷いていた。

 それにしてもスペル王国がちょっかいをかけてくる可能性か。確かに陛下や王妃殿下、お兄様が帰ったらカラッラ様の事を叱責するだろうけれど――。王子があれだけ大々的に婚約破棄と国外追放の命令を周知していたから連れ戻そうなんてはしないとは思う。

 でもソル君が私の事を考えて、マリアージュ様に頼んでくれているって、ソル君優しい。心がじんわりと温かくなる。本当に好きだなぁとそんな気持ちばかりがあふれてくる。

「大体ソルが連れてきた相手って事は私の義理の娘のようなものでしょう。私は私の家族に手を出すような奴らは誰であろうとも潰すもの」

 にこやかに、マリアージュ様が恐ろしい事を言ったかと思えば私達の方を見る。

「ケーシィも、ミレーナも、アレーナも、この家を自分の実家のように考えてもらっていいからね? 実家に帰れないっていうのならば私に思いっきり甘えなさい! 娘として思いっきりかわいがってあげるから」

「マリアージュ様……」

「「マリアージュ様、私達も? シィ姉様はソル君の恋人だから分かるけど」」

「もちろん。ミレーナとアレーナはケーシィの妹分なんでしょう? なら私の娘と一緒よ。……はぁー、こんなに可愛い娘たちが増えるとか、もう私幸福すぎて涎でそう」

 マリアージュ様が私を娘みたいなものだと言い切った。そしてこのフロネア伯爵家を実家のように思っていいと、そんな風に笑ってくれた。マリアージュ様の懐が深すぎて、益々尊敬する。

 憧れてやまないマリアージュ様への愛がもっとあふれてきている。

「マリアージュ様っ。ありがとうございます。大好きです!」

「きゃー、可愛いー!!」

 思わず興奮したまま大好きです、と口にしたらマリアージュ様のテンションが上がった。今にもとびかかりそうだったけれどグラン様に止められていた。

「じゃあ、ケーシィが妹ってこと?」

「年の近い妹が出来るってこと!? それいいわね!!」

 マリッサ様もメリッサ様もそんな風に笑ってくれて、私は嬉しくて仕方がなかった。温かい場所。こんなに温かい場所でソル君は生きてきたんだな。そしてこの温かい場所で私の事を受け入れてくれるんだ。

 胸が熱い。

 受け入れてもらえた事が嬉しい。

 この場所が好き。

 そんな感情がずっと心の内に広がっている。

 マリアージュ様には後で私の事情をちゃんと話しておこう。そんな風に誓いながら私はフロネア伯爵家の人達と会話を交わしたのだった。






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