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8.ソル君の実家 3

4/24 三話目

「声もなんかいいね!! ぽかんとしていて可愛い!!」

「マリアージュ、ストップ。初対面でそんな風に特攻するのは不味いから」

「えー、いいじゃん、別に。ソルの恋人っていうなら私にとって娘みたいなもんじゃんかー」

「いや、駄目だから、マリアージュ。俺で我慢して」

「ぐはっ」

 これは夢か何かだろうか。マリアージュ様だけじゃなくて、マリアージュ様の旦那さんのグラン様までいる。私は頭が追い付かない。というか、マリアージュ様が何か言っているけど、右から左に流れていく。

「お母さん、幾らソルが連れてきたのが美女だったからって、興奮しすぎだから!!」

「全くもう、相変わらずお母さんは気持ち悪いんだから」

 そっくりな顔立ちをした二人組がそんなことを言いながら、マリアージュ様に冷たい目を向けている。

「……綺麗」

 そして小さな女の子は、なぜか目をキラキラさせて呟いている。

「マリアージュ様が此処にいるって事は!」

「ソル君、まさかの、マリアージュ様の息子様?」

 マリアージュ様が目の前にいる、マリアージュ様が目の前にいる……とその事しか考えられない私の目の前にいる事実に私は思考が上手に出来ない。

「うん。ごめんね、黙ってて。あまりにもケーシィが母さんの事ばかり話しているからさ。直接連れてきた方が面白いかなーって思って。っていうか、ケーシィ、固まってるね」

 ソル君の声が頭に入ってこない。

 私はじーっとマリアージュ様の事だけを凝視していた。

「ケーシィ、大丈夫? ちゃんと聞こえてる?」

 マリアージュ様がいる。私のあこがれのマリアージュ様が。

「聞こえてないなぁ、これ。返事しないとキスしちゃうよ?」

 マリアージュ様が動いて、しゃべってる。どういう事なんだろうか。頭が働かない。耳に色々入ってこない。

「想像以上のかたまりっぷり。えいっ」

 気づいたら、目の前にソル君の顔があった。唇に温かい感触があった。その感触に、私の固まっていた思考は動き出す。

「ソルってば大胆ね! 美男子が美女にキスしているってヤバい。我が息子ながら美男子だからなぁ」

「マリアージュ、ちょっと黙ろうね。俺も唇塞いじゃうよ」

「……それは勘弁。黙る」

 はしゃいでいる声を聞きながら、こちらをにこにこと笑いながら見ているソル君を見る。そして口を開く。

「ソ、ソル君!! ソル君ってマリアージュ様の子供なの!?」

「あ、やっと言葉発した。そうだよ。俺はソル・フロネア。ケーシィのあこがれてやまないマリアージュ・フロネアの次男」

「……ななな、何で言わなかったの」

「最初は言って騒がれるの面倒だなって思ったから。途中からは折角隠しているし、会わせた方が面白いかなと。びっくりした?」

 ソル君は悪戯が成功した子供のような目で私を見てる。

「び、びっくりしたなんてものじゃないわ! 心臓が止まるかと……」

「あはは、ごめんね、ケーシィ」

 ソル君がマリアージュ様の子供。次男。……というか、そこにマリアージュ様がいる。

 私はマリアージュ様を見る。マリアージュ様は、キラキラした目でこちらを凝視していた。

「マ、マリアージュ様」

「はい!」

 私が名前を呼べば、マリアージュ様はそれはもう満面の笑みを浮かべていた。

「えっと、わ、私はケーシィと言います。マ、マリアージュ様にず、ずっと憧れていて、えっと、その、お、お会いできて光栄です!!」

「ありがとう。私も美女を間近で見れて幸せです!」

「え、っと。あ、握手とかしても」

「もちろん!!」

 マリアージュ様は私の手をぎゅっと握った。マリアージュ様と握手してる。マリアージュ様の剣を握っている事が分かる手。この手が、英雄としての戦果をあげてきたのだ。こんなに小さな手が。

「ケーシィ、肌白いし、すべすべ」

「えっと、マリアージュ様?」

「ふふふ、何時までも触っていたくなるかんじ!」

 なぜかマリアージュ様は、よく分からない事を言いながら私の手を放そうとする気配がなかった。

「母さん、そろそろ放そうね?」

「マリアージュ、初対面の息子の彼女の手、握りすぎだから」

 ソル君とグラン様の言葉で、ようやくマリアージュ様は私の手を離した。

 グラン様はそれから私の方を見る。

「すまない。マリアージュは美男子とか美少女とか大好きなんだ。俺はグラン・フロネア。よろしく頼む」

 グラン様がそう言えば、他の三人も続く。

「私はマリッサ・フロネア。フロネア家の長女よ、よろしく」

「私はメリッサ・フロネア。マリッサの双子の妹なの、よろしく」

「私、ヤージュ。よろしく、綺麗なお姉さん達!」

 私よりも年上らしい二人は、双子でソル君のお姉様のようだ。そして小さな女の子はソル君の妹だろう。

「私はケーシィです。よろしくお願いします! 取り乱してしまってすみません」

「私はミレーナです! シィ姉様の妹分です」

「私はアレーナです! 同じく妹分です!」

 挨拶をされたので、私達も名前を告げて挨拶をする。

「あと、三人いるんだけど、三人とも丁度出かけているから紹介はまた後でね」

「まだ、いらっしゃるの?」

「うん。俺の家、7人兄妹だから。俺は丁度真ん中なの」

 ソル君にさらっと6人も兄妹がいると言われて、私は驚いてしまうのだった。






3男と書いてたのは書き間違えです。ソル君は次男です。


女、女(双子)、男、男(ソル君)、男、男、女(一番下の子)の七人です。

訂正済み

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