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13.お祭りと、告白と 3

「あのね、ソル君……私が、貴族の出だというのは察しているわよね?」

「うん」

「その事で、ちゃんとソル君に私の事情を話しておきたいの。それを話した上で、ソル君に聞いて欲しい事があるの」

「うん。どうぞ、ケーシィ」

 ソル君はにこにこしている。

 私が突然、こんな事を言いだしてもソル君は欠片も動じていない。ソル君は私の事情を聞いたら何を思うだろうか。何を感じるだろうか。私はそれが不安だ。

 そもそも婚約破棄された令嬢なんて、普通の感覚を持つ王侯貴族からしてみれば地雷でしかない。

「――あのね、私はスペル王国の出身なの」

「女性が表舞台に立ちにくい所だよね」

「ええ。女性は男性の一歩後ろで、男性の言う事を聞いて、従うべしという考え方の国だったわ。私はその国で侯爵令嬢として生まれたわ。私は魔法の適性がとても高かったのだけど、少数の人達以外は私が魔法を使ったりしているのを嫌がっていたわ。女性にはそういうのはいらないって」

 一番初めに私の味方をしてくれたのはお兄様だった。お兄様は私の好きなようにやればいいと言ってくれた。その言葉があったからこそ、私は魔法にのめりこめた。そのあと、魔法師団長のジガルダンや、陛下達も理解してくれた。

「私は表向きは大人しくしていたけれど、裏では魔法の研究を続けていたわ。幸いな事に、魔法師団長や両陛下は女性が表に立てない現状をどうにかしようとしていたの。だからこそ、私は王太子の婚約者に選ばれたわ。いずれ、王妃となって、女性の進出を促す改革を進めることを期待されていたの。私は……魔法の研究を思いっきりしたかった。それしか考えてなかったし、貴族としての義務として、婚約を受け入れていたわ」

 私の話をソル君は黙って聞いている。

「私は学園を卒業したら王妃になる予定だった。だけど、急に王太子に婚約破棄されたの」

「婚約破棄?」

「ええ。私は基本的に王妃になるための勉学や魔法の研究のために学園に最低限しか通ってなかったわ。でも、急に王宮で王太子であるカラッラ様がやってきたの。その後ろには一人の令嬢が居たわ。何でも、その令嬢に私が嫌がらせをしていたと言っていたわ」

「嫌がらせ?」

「階段から突き落とされたりもしていたみたいで、私がやったと思い込んでいたようなの」

 今考えても不思議だ。どうして私があの令嬢――フィーラさんに嫌がらせをしたと思われていたのだろうか。嫉妬してと思われていたのかもしれないが、正直言って私はソル君が初恋で、カラッラ様にはこれと言った感情は持っていなかった。

「それで急に婚約破棄して、国外追放すると言われたのよね」

「……それって色々順序違うくない? 普通、王侯貴族間の婚約の破棄だときちんと両家に手続きすればきちんと破棄出来るよね?」

「そうね。普通なら両家に伝達して、穏便に破棄が出来るわ。それにカラッラ様や他のその令嬢に惚れているであろう方々は、証拠もなしに私がやったと決めつけていたわ。あと反対されるのが分かっていたからか陛下や王妃殿下、私のお兄様が居ない隙に婚約破棄と国外追放を言い渡されたのよね」

 ソル君の言う通り、婚約破棄をするにあたっていきなり婚約破棄と国外追放を言い放つのは色々とおかしい。そもそも、通常なら婚約者に近づく異性に嫌がらせをしたからといって侯爵令嬢が国外追放などされるのはあり得ないだろう。それがありえてしまったのは、カラッラ様達が考えなしなのと、私がお父様に疎まれていたからだ。

「やっていない証明をするのは難しかったし、何より私は国外追放されたなら自由に生きてみようと思ったの。それもあって受け入れて、国を出たわ。妹分のミレーナとアレーナもついてきてくれて、あとはソル君が知っている通り、冒険者になって自由に生きているわ」

 私はそこまで言い切って、ソル君の目を真っ直ぐに見る。

「だから……、冤罪とはいえ、公式的には私は罪を問われ、国外追放された令嬢なの。……それでも、ソル君とパーティーやってて、大丈夫かしら?」

「全然問題ないよ。そもそもそれって、ケーシィが悪いわけじゃないし。俺は気にしない」

 まずは、ソル君がそういう風にはっきり言ってくれた安心した。ソル君がこういう事で何か感じるような人ではないと思っていたけれど、ソル君の口から聞くまではやっぱり不安だったのだ。

 ほっとするけれど、私が伝えなければならないのは別にあるんだ。そう思いいたって、私は言う。

「あのね、ソル君、もう一つ伝えたい事があるの!」

 大きい声を出してしまったから、ソル君が驚いたような顔をしている。ソル君は、私がソル君の事を好きだと言ったら、どんな反応をするだろうか。心臓が痛い。でも、ソル君に伝えたい。

「――ソル君、私、ソル君の事が好きだわ」

 ドキドキしながら、私はその言葉を紡いだ。





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