3.ソル君との会話
ソル君は本当にどういう立場の人なのだろうか。ソル君の事が好きだという気持ちに気づいてたからこそ、余計に気になってしまった。ジェネット王国に近づいて、ソル君が影響力を発揮しているという事はソル君は実家と縁を切っているとかではないのだと思う。
私のように国外追放されたりしているわけでもないだろう。ソル君が私達と一緒に居るのはジェネット王国に帰るのにちょうどよいから。他の感情があるかどうかは知らない。他の感情——私の事を気に入っているとかだと、嬉しいのだけど。
ソル君はとても美しい顔立ちをしている。私よりも年下なのに、世界を旅していて……冒険者としてのランクも高い。ソル君は何でもそつなくこなしていて、優しい。優しくて、努力家のソル君。うん……、本当に絶対にもてると思う。ソル君って……どういう家の出なんだろう。聞いてもいいのだろうか。家を出て冒険をしているのはどうしてなのだろうか。もし深い事情があるのならば、聞きづらい。
ソル君が良い所の出の人だったのならば、私が冤罪とはいえ国外追放にされたことをソル君の周りはどう思うだろうか。というか、そもそも国外追放されている私がソル君の仲間ってだけでも何か言われる可能性もある。
「あの、ソル君」
「どうしたの?」
「私が例えば……生まれ故郷に足を踏み込めない立場だったとしても……大丈夫かしら」
「そうなの? というか、大丈夫って何が?」
「ええっと、ソル君の故郷のジェネット王国に足を踏み入れるでしょ。それで、その勘違いかもしれないけれどソル君は良い所の出身みたいだから……私がその仲間として一緒に居て大丈夫なのかなと」
此処まで言い切って、余計な事を言ってしまったかもしれないと思ったけれど……思わず口にしてしまった。私はこういう面倒な事を口にしてソル君に嫌われてしまうのではないかと恐る恐るソル君の事を見るけれど、ソル君は笑っていた。
「はは、そんなこと気にしていたの? ケーシィって可愛い所あるね」
「えっ」
「例えば本当にケーシィが生まれ育った故郷に足を踏み入れる事が出来ないような立場だったとしても、別に何も関係ないよ。俺はケーシィと過ごしていて、ケーシィが俺にとって許容範囲ではない事をするとは思えないし。何か事情があるだろうって察せられるし」
ソル君の言葉に、うわぁああという気持ちになる。
ソル君が私の事をそれなりに信頼してくれているという事実に、言葉に胸が温かくなった。
ちなみに今、私とソル君は喫茶店で二人っきりで朝食を食べている。というのもミレーナとアレーナが気をまわしてか、「私達食べたいお店あるのー。女子限定フェアやっているからソル君一人じゃかわいそうだし、シィ姉様はソル君と一緒ね!!」なんて言って言ってしまったの。
というか、よく考えたら、これって……デートとも言えるものかも……と思うと顔が赤くなりそうで首をぶんぶん振った。
「そもそも、うちの家族ってそういうの気にならないし」
「そうなの?」
「うん。まぁ、どっちにしろ、ケーシィ達実家に連れてく予定だったし。そこでそういうの全然気にしなくていいんだって実感するだろうし」
「……そうなのね」
「うん。そう。というか、誰もそんなの気にしないし。母さん絶対ケーシィやミレーナ、アレーナの事気に入るしなぁ」
「そうなの?」
「うん。俺の母さん、ケーシィみたいな美女好きだし。……母さんのお気に入りをけなす奴なんていないしな」
美女……などと言われて顔が赤くなりそうでソル君とは反対方向を向いた。最後の方はなんて言っているか分からないけれど、その言葉ってソル君も私の事、そういう風に見えているってことだよね。……そう思うと嬉しくて仕方がなかった。
こんなにも一人の言動でこんなに心があたたかくなるなんて……恋って凄い。そんな気持ちにもなった。
それにしても美女が好きなお母様って、どんな方なんだろう?
そもそも、私達の事実家に連れていくつもりだったって……ああ、どちらにせよ、告白が成功しても失敗してもソル君のご家族に会う事になるってこと? ああ、でもそうか。告白が失敗したら流石に一緒に居られないから、そういうことはないだろうけど。
どうしよう。それならジェネット王国について、実家までお邪魔してから告白すべきなの? いえ、でもジェネット王国にたどり着くまでにソル君に好きだっていうんだって決めたのだからたどり着く前に告白しよう。……振られたらそれはその時だわ。
「ケーシィ、何で百面相しているの?」
「ソル君……気にしないで。私、一先ず、頑張るわ!」
突然、頑張ると口にした私にソル君は不思議そうな顔をするのだった。
ジェネット王国にたどり着くまでの間に、ソル君に絶対に好きっていうんだから! と私は改めて決意した。




