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6.ランクアップクエスト 1

 ランクアップクエストは、私たちだけではなく他のギルドランクDの人も一緒にランクCへのランクアップクエストをまとめて行うそうだ。それと私たちがギルドランクCに上がるための試験を見てくれるのはギルドランクCの人たちのパーティーみたいで控えている。

 ギルドランクDからCに上がるクエストは、今回はただ依頼を受けてこなして、多分それで終わるだろうってソル君もいってた。もっと高ランクに上がる場合は大変だと聞いたけれど。

 私たち以外のギルドランクDの人たちは男の人が多かった。女性だけでここにきている人は少ないみたい。あと私たちは少しだけ有名になっていたのもあって、入った瞬間に注目されてしまった。

 今回私たちのランクアップクエストとして指定されているのは、魔物退治。ランクが上がれば上がるほど、強い魔物へと対応していかなければならなくなる。そのためにもどれだけ戦う力があるのかというのは重要なのだろう。

 ギルドランクCのパーティーメンバーは、五人組でその中に女性は二人だけ。残りの三人の男性は、がたいがよくて力が強そうだった。

「貴方たちにやってもらうのは、《ブラックスパイダー》の討伐です。この魔物は毒性を持ち、死に至ることはありませんが、刺されることはおすすめしません。単体ではそこまでの強さはありませんが、群れをなします。この《ブラックスパイダー》の巣が近くに出来ているということでランクアップクエストとしてこのクエストを使用することにしました。私たちは貴方たちがどれだけ戦えるかなど監視させていただきます。討伐さえしていただければどのように討伐しても構いません。貴方たち全てで協力しても構いませんし、一人でも出来るというのならば一人で向かっても良いです」

 その言葉を聞きながら、思ったよりも自由でびっくりした。もっと指示を出されて、ランクアップクエストというのが行われるのかと思った。スペル王国の周りには《ブラックスパイダー》が住んでいなかったし、直接的に対峙したことはない。ただ本でどういう魔物かというのは少しだけ読んだ事がある。

 私としてみれば、とりあえずランクアップが出来れば周りのパーティーと協力しても、他の皆と一緒にやっても、私たち三人だけでやってもいいのだけど。……そう思いながらミレーナとアレーナへと視線を向ける。二人は私が何を言いたいのか分かったのか、どちらでもよいといった態度をしていた。私は他のギルドランクDの人たちを見る。

 男の人だけのパーティーは、「はっ、俺達だけで退治してやるぜ」と言い放ち、他のパーティーも特に周りと協力しようとは考えていないようだった。ならば、私たち三人だけでやろうか、と私がミレーナとアレーナに声をかければ二人はそれでいいと笑っていた。

 そんなわけでそれぞれのパーティーで《ブラックスパイダー》の討伐を行うことになった。そのことを伝えれば試験を見てくれるパーティーの人たちが分かれて、それぞれのパーティーについてきてくれることになった。

 《ブラックスパイダー》が居るのは、この街から北にある森の中であるそうだ。

「《ブラックスパイダー》の討伐ははじめてね」

「うん、そうだね、シィ姉様」

「頑張ろうね、シィ姉様」

 私の言葉に二人が笑う。

 私も、ミレーナも、アレーナも緊張はなかった。私は少しは心配はあるけれども、それでも私一人で行うわけではなく、三人で行うのだと思うと心配も吹き飛んでしまう。それに、早くソル君に近づきたいという気持ちの方が断然強かった。私たちがランクアップクエストを受けるようにソル君もランクアップクエストを受けるからまた離されてしまうけれども、それでも前進には違いない。

 ―――そしてランクを上げて、いつか、マリアージュ様のように周りから言われるようなそんな存在になりたい。私はそう望んでいる。そんな願望を抱いている。

「本当に……お貴族様みたいなのね」

「え?」

「貴方たちよ。もう一人のあのソルって子もだけど、喋り方とか動きとか、お貴族様みたいね」

 Cランクパーティーのついてきてくれている女性にそんなことを言われた。お貴族みたいか、と思う。私は実際に元貴族だ。ミレーナとアレーナもジガルダンのもとで育ったから貴族と変わらない教育は受けている。

 ソル君は……ちゃんとは聞いていないけど、多分私と似たようなものなのではないかと思ってしまう。貴族みたいなところはあるから。

「ふふ、そうかしら?」

「そうよ。それに貴方はまだ十五歳らしいけど、貴族の奥方様みたいだし」

 奥方様みたいって、私婚約者はいたけれど結婚をしたことなんて一回もないのになと複雑な気持ちになりながらも、私は《ブラックスパイダー》の元へと向かうのだった。

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