プロローグ
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[プロローグ]
「はっ……はっ……はっ……!」
薄暗く、じめじめとした路地裏を僕は走っていた。
空には、丸々とした綺麗な月が浮かんでいる。
「おい!バアル……!てめえ、悪魔なんだろうが!この状況なんとかしろよ!?」
僕は右手に抱えた幼女――バアルに向かって叫んだ。
バアルはぐったりとしたまま、弱弱しい声でつぶやいた。
「や……やかましいのう、今の余じゃ彼奴に勝ち目などないわい。……それよりも、もうちょっと優しく運んでほしいのじゃが――うぇっ……」
乱雑に運びすぎたせいか、バアルは酔っているようだ。しかし、この状況でそんな瑣末なこと気にしている余裕はない。
現に、今も後ろからこちらを追いかける足音が近づいている。
「くっそ!!このままじゃ追いつかれそうだ!」
忌々しくつぶやきながら、僕は通り過ぎがてらに生臭いゴミ箱や、打ち捨てられていた廃材などを蹴散らし相手の進路の妨害に努めた。
「おい、先からぬしがやっている小細工はなんじゃ。あんな小細工、悪魔の前ではなんの役にもたたんぞ……。――あと、もうちょい優しく運んでくれと、先から頼んでおるじゃろうに。ちょい、わし……もうそろそろ……限界なんじゃが……」
「うるせぇ!誰のせいでこんなことになっていると思う!!ああ、くそっ……!なんで僕がこんな――」
無意識に、左手の人差し指にはめられた銀細工の指輪に視線が向いた。
そう――あれもこれも全部、この父から送られた指輪が原因なのだ。
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