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Promessa della notte scura―死神の軌跡―  作者: 俺夢ZUN
第1楽章 死神の伯爵(デス・カウント)
6/6

第4話



今思えば、出逢いは本当、単純な恋愛小説のようだった。



Side...Lar Varfoah

まさか、こんな事になるなんて。


少女は今、絶賛困っていた。

今日は、生徒会の副会長として新任挨拶とかしなきゃいけないのに。


少女の目の前には、4人の男子高生が居た。

顔はそこそこ悪くはないが、生憎、こっちはチャラい男は嫌いだ。


通学中、あと少しで学校だと言う所で絡まれて、現状だ。

漆黒の艶やかな肩より少しだけ長い髪に、陶器の様な、白い肌。

何より目を引くのは、その双眼だ。


右は意志の強そうな黄金の瞳、左は深海よりも深い瑠璃の瞳を持ち、やや冷たい雰囲気はあるものの、中々の美少女だ。


見目麗しい彼女はよく、人の目を惹く。

今回もまた、彼女を一目見て「へい、かーのじょ、俺たちとちょっと早いアヴァンチュールしない〜?」とかクッサい台詞を吐きながら、ミーハーな気持ちで近付いてきた道行く不良に運悪く絡まれてしまったのだ。


やって良いならフルボッコにしている所だが、学校の近くで問題を起こしたとなっては、学校のメンツに関わる。


自分が一般の生徒なら気にはしていなかったが、こっちは新任の副会長だ。

副会長として、そんな好意は好ましくはないし、信頼などの問題にもなってくる。


人一倍責任感の強い彼女は、問題を起こさないように対応していた。

すると、男子高生の1人がいきなり、少女の腕を掴んだ。


「良いじゃねぇかよ、減るモンでもないしよぉ。

少し付き合ってくれるだけで良いんだって」

「離せと言っている!」


下衆い笑みを浮かべて、何回掴まれたか解らない腕を振り解いて、少女は声を荒げた。


いい加減、しつこすぎる。

少女はキレる一歩くらい手前だった。

その時の事だ。


いきなり、腕を掴んでいた男子が飛び上がる様に後ろを振り向いた。

それと同時に、べちゃっという音と共にジェラートがコンクリートの地面に落ちる。


男子のシャツの背中に紫色の染みが出来ていた。

誰かがぶつけたのだろうか。


「邪魔だ」


とてもクールで、低い声が聞こえた。


男子の後ろには、いつの間に居たのか、黒髪に銀色の燐光を鋭く放つ瞳を持った、長身の男性が立っている。


その人は、噂程度だが少女も知っている男性だった。

予想外の介入者に少女は目を見開いて驚いた。


「冷てぇなぁ・・・・・・」


ドスの効いた、低い声で脅すように言う男子に臆することもなく、彼は自分よりも低い男子を見下ろす。


すると、残りの3人の男子が彼を囲んできた。

それにも動じず、無表情で男子達を見下ろしている。


「てめぇには関係ねぇだろ!」


怒鳴りつけるように言うと、ジェラート塗れになっている男子は彼に殴りかかっていく。

だが、彼に動きを見きられていたのか、あっさりと躱される。


彼が鞄を放って、殴りかかってくる男子の腕を掴んで、そのまま背負い投げの要領で男子を投げた。


彼の動きには無駄が無く、一目で彼がその手の取っ組み合いに関して慣れているのだと思わされる。

何か、格闘技でもしているのだろうか?


そんな彼に他の3人は臆したのか、ジェラート塗れの男子を抱えると、「覚えてろよー!」とか古くさい捨てセリフを言って、その場を立ち去る。


その場には、彼が男子高生に押し付けて落ちたジェラートのコーンの残骸がポツンと残っていた。


「折角のジェラートが台無しだな・・・・・・」


ぽつり、と小さな呟きが聞こえてきた。

無感情の声は、何を思ってそう呟かれたのか解らない。


「あの・・・・・・」


少女は地面に落ちている鞄を拾い、埃を払うと、彼に声を掛ける。

彼は振り返る。 そんな彼の銀色の目と目が合った。


近くで見る彼は、その辺の男子よりも白く、黒い髪がとても似合っていて、触れれば切れそうな銀色の目がとても印象的だ。


(・・・・・・ッ! 近くで見ると、ずっとカッコイイ・・・・・・かも)


学校の敷地内で遠目から見ていることの方が多く、彼を近くで見たのは初めてだった。

冷たそうだけど、カッコイイ。 そんな印象を持った。


「助けてくれてありがとうございました。

あの・・・・・・すみません、ジェラート・・・・・・」


彼に鞄を手渡して丁寧に頭を下げると、少女は先程の無残なジェラートに目を向ける。


ジェラートに向かって蟻が行列を成して、少しずつその残骸を運んでいた。

台無しのジェラートから目を逸らすと、彼は少女に背を向ける。


「別に、助けた訳じゃない。 ただ、邪魔だっただけだ。

気にしなくて良い」


無感情な声でそれだけを言うと、彼は学校とは反対方向に歩いて行く。

少女はその背中を見送ると、学校へ向かった。


素行が悪く、何を考えているか解らない為、男子と高等部の女子からは懸念されているが、一部の女子や中等部の女子は「一度で良いから、お近づきになりたい」とか「あわよくば、一度で良いから付き合いたい」など言われている。


「遊ばれても良い」なんて思っている女子も居るらしく、学校の裏サイトでは密かに【ミッドフォード先輩ファンクラブ】なんてのが幾つかあるらしい。


実は、少女も彼──レイ・メルファヴォッロ・ディ・ミッドフォードに憧れているミーハーな女子の1人だが、彼女は別にファンクラブに入っている訳ではない。


ファンクラブには面倒くさい掟だのルールだの何だのかんだのあり、自由に想っていたい彼女はそれが鬱陶しくて、普段は興味のない冷めたフリをしている。


そんな彼女は、ラル・ヴァルフォア。




これは、死神、レイ・メルファヴォッロ・ディ・ミッドフォードと、少女、ラル・ヴァルフォアのモドカシイ紆余曲折な絆の物語。



今、思ったんだけど・・・・・・

これ、何処の少女漫画よ?(^ω^≡^ω^)

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