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第38話 くまちゃん視聴率アップ

テレビを消した部屋。

愛ちゃんがまだ余韻で震え気味に言った。

「おじさん……テレビって本当に残酷かも……」おじさん

「まあ、雰囲気だよ」……翌朝。おはようございます。

天動説ニュースの時間です。昨夜未明――

テレビ業界に衝撃が走りました。ニュースキャスター

「街頭インタビュー番組の」

「視聴率が発表されました」スタジオ

「おおおお……」画面に大写しされる数字。

0.3%愛ちゃん

「低すぎる!!」おじさん

「テレビって大変だねぇ」愛ちゃん

「他人事やな!!」その頃――

中継車の中。

薄暗い車内。

視聴率の数字が冷たく点滅している。スタッフ

「社長……視聴率が出ました」沈黙。奥の豪華な椅子。

そこに座る人物。

マダム・シャークマダム

「……」スタッフ

「0.3%です」マダム

「……なんでですの?」スタッフ

「内容が……」

「意味不明すぎると……視聴者が離れてしまって……」愛ちゃん(テレビ見て)

「正論や!!」突然、マダムが目をうるうるさせて立ち上がる。

豪華椅子の下から取り出したのは……

くまちゃん(でっかいクマのぬいぐるみ。MUSCLE TVロゴ入りTシャツを着せられ、金のリボンが首に巻かれている)マダム(声が震え始める)

「えーん……」

「くまちゃーんえーん……」

「せっかく面白い番組作ってるのに……」

「みんな見てくれないの……?」

「わたくし……頑張ってるのに……」

「ホーッホッホ……じゃなくて……えーんえーん!!」(ここでマダムは床に座り込み、王冠が少し傾き、金髪が乱れ、宝石のついたドレス姿で涙をぽろぽろこぼしながらくまちゃんをぎゅーっと抱きしめる。頰が赤く、目がキラキラ涙で輝いている。吹き出しに「くまちゃーん♡」)スタッフたち

(完全に凍りつく)

「社長……泣かないでください……」マダム(くまちゃんに顔を埋めて号泣)

「くまちゃんも悲しんでるわ……えーん……」

「視聴率が低くて……くまちゃんの笑顔が見られない……」

「もっと街頭インタビューを……99倍……999倍……無限に増やして!!」

「視聴率さえ上がれば……くまちゃんも喜ぶわ……えーん!!」愛ちゃん

「泣いてる……!?」

「しかもクマのぬいぐるみ抱えて……王冠かぶったまま号泣とか……」

「この人、本当にヤバい!!」おじさん

「可愛いクマちゃんだな」愛ちゃん

「可愛い問題じゃないです!!」

「視聴率のためにクマ泣きしてる社長とか……この世界終わってる!!」マダム(涙を拭いて、急に立ち直る)

「……よろしい」

「街頭インタビューを99倍にしなさい」

「視聴率は数ですわ」

「ホーーーーッホッホッホ!!」スタッフ

「了解しました!」その夜。

街頭インタビューが異常増殖。市民A

「夜も安心して歩けます」市民B

「夜も安心して歩けます」市民C

「夜も安心して歩けます」市民D

「夜も安心して歩けます」市民E

「夜も安心して歩けます」市民F

「夜も安心して歩けます」愛ちゃん

「増えすぎや!!」カメラマン

「いいですね」

「次」市民G

「夜も安心して歩けます」愛ちゃん

「洗脳番組や!!」専門家が登場する。専門家(真顔)

「解析の結果」

「視聴率の99割は」

雰囲気です記者

「残り1割は?」専門家

「多分雰囲気です」愛ちゃん

「またそれか!!」街頭インタビュー

市民

「雰囲気があるので安心です」

「夜も安心して歩けます」愛ちゃん

「安心ポイントどこや!!」ニュースキャスター

「なお専門家によると」

「テレビの99割は」

編集です記者

「残り1割は?」専門家

「多分編集です」市民

「編集があるので安心です」

「夜も安心して歩けます」愛ちゃん

「何も解決してへん!!」画面の端。

カメラマンは

また

撮影を続けていた。

……中継車の奥で、マダム・シャークがくまちゃんを抱きしめながら、

涙を拭きつつ

「次は100倍ですわ……くまちゃーん、一緒にがんばりましょ♡」

と呟いていた。




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