第34話 カメラマン
テレビでは緊急ニュースが始まっていた。ニュースキャスター
「最近、非通知ワンギリ詐欺が急増しています」
「政府はこの事態を重く見て注意を呼びかけています」コメンテーター
「怖いですね」専門家(真顔)
「解析の結果――」
「99割詐欺です」ニュースキャスター
「残り1割は?」専門家
「多分詐欺ですね」愛ちゃん
「全部詐欺やん!!」街頭インタビュー。
街の人
「詐欺が解明されて安心しました」
「夜も安心して歩けます」愛ちゃん
「なんで安心なんや!!」おじさん
「すごいねぇ、詐欺って解明できるんだね」愛ちゃん
「解明できてない!!」その時だった。
また画面に映った。
あのカメラマン。
ヘルメット。黒いベスト。巨大なカメラ。
街頭インタビューの後ろで、じっと立っている。愛ちゃん
「またいる!! 今度は詐欺ニュースでも!」ニュースは続いていた。
「ツチノコの天ぷらキャンペーンが大好評です」
街頭インタビュー。
街の人
「ツチノコ最高です」
「夜も安心して歩けます」
後ろに――またカメラマン。愛ちゃん
「もう確定やん!! 全部MUSCLE TVの同じカメラマンが回ってる!!」おじさん
「人気のカメラマンなんじゃない?」愛ちゃん
「そんな職業ない!!」愛ちゃんは画面を凝視した。
「この人……毎回いる……」
「もしかして――全部撮ってる?」その時。画面の奥でカメラマンがゆっくりカメラを構えた。
レンズがこちら(視聴者)に向いた。
そして――ゆっくり頷いた。愛ちゃんは震えた。
「……ねえ」
「おじさん」
「このカメラマン」
「私たちの方を見てる……?」おじさん
「テレビだからね」愛ちゃん
「そうじゃない!!」画面の奥でカメラマンが、
静かに、
小さく、
「いいから続けて」と呟いた気がした。バチン!!
エアロバイクが鳴った。おじさん
「……これは」
「ストレスバイク∞だな」愛ちゃん
「世界が壊れてる……」




