第33話 緊急記者会見 ― バファリンの半分の真実
緊急記者会見は終わった。テレビでは特番が始まっていた。ニュースキャスター
「歴史的発見です」
「専門家によると――」
専門家(真顔)
「99割バファリンです。」
ニュースキャスター
「残り1割は?」
専門家(少し考えて)
「……多分バファリンです。」
愛ちゃん
「解明できてないやん!!」
街頭インタビューが始まる。街の人
「バファリンが解明されて安心しました」
「夜も安心して歩けます。」
愛ちゃん
「またそれ!!」
おじさんは感心していた。
「すごいねぇ」
「科学って進歩してるんだね。」
愛ちゃんはふと画面の端を見た。
毎回と同じカメラマンが映っている。
ヘルメット。黒いベスト。でかいカメラ。
筋肉質のシルエットが、なんとなく見覚えがある。愛ちゃん
「ちょっと待って」
「この人……またいる」場面が変わる。別のニュース。
「ツチノコの天ぷらキャンペーン最高です」
街頭インタビュー。
街の人
「夜も安心して歩けます。」
その後ろに――また同じカメラマン。
愛ちゃん
「絶対おかしい!!」
「夜も安心して歩けます」
愛ちゃん
「なんで安心なんや!!」
おじさん
「すごいねぇ、詐欺って解明できるんだね」
愛ちゃん
「解明できてない!!」
その時だった。
また画面に映った。
あのカメラマン。
ヘルメット。黒いベスト。巨大なカメラ。
街頭インタビューの後ろで、じっと立っている。愛ちゃん
「またいる!! 今度は詐欺ニュースでも!」ニュースは続いていた。
「ツチノコの天ぷらキャンペーンが大好評です」
街頭インタビュー。
街の人
「ツチノコ最高です」
「夜も安心して歩けます」
後ろに――またカメラマン。
愛ちゃん
「もう確定やん!! 全部MUSCLE TVの同じカメラマンが回ってる!!」
おじさん
「人気のカメラマンなんじゃない?」愛ちゃん
「そんな職業ない!!」愛ちゃんは画面を凝視した。
「この人……毎回いる……」
「もしかして――全部撮ってる?」その時。画面の奥でカメラマンがゆっくりカメラを構えた。
レンズがこちら(視聴者)に向いた。
そして――ゆっくり頷いた。愛ちゃんは震えた。
「……ねえ」
「おじさん」
「このカメラマン」
「私たちの方を見てる……?」
おじさん
「テレビだからね」
愛ちゃん
「そうじゃない!!」画面の奥でカメラマンが、
静かに、
小さく、
「いいから続けて」と呟いた気がした。バチン!!
エアロバイクが鳴った。
おじさん
「……これは」
「ストレスバイク∞だな」
愛ちゃん
「世界が壊れてる……」




