第28話 専門家の研究結果
テレビのニュースが突然始まった。
キャスター(真顔)
「速報です」
「本日未明、専門家チームが重大な研究結果を発表しました」
俺はエアロバイクを漕ぎながらテレビを見る。
キィ……キィ……
ゴン。
ゴン。
ゴン。
愛ちゃん
「その異音、本当に大丈夫なんですか?」
俺
「異音は加護だ」
愛ちゃん
「意味が分かりません」
テレビの中では専門家が出てきた。
専門家(白衣)
「今回の研究では、唐揚げについて長年の疑問を解明しました」
キャスター
「どのような研究ですか?」
専門家
「唐揚げは」
少し間を置く。
専門家
「月に2回」
「1日3個までなら」
「太りません」
スタジオが静まり返る。
キャスター(真顔)
「この研究は」
「ノーベル賞を受賞しています」
俺
「ほらな」
愛ちゃん
「ほらなじゃありません」
愛ちゃん
「意味が分かりません」
ニュースは続く。
キャスター
「政府はこの研究結果を重く受け止め」
「非常事態宣言を発令しました」
俺
「なんで?」
愛ちゃん
「私に聞かないでください」
画面は街頭インタビューに切り替わる。
男性
「これで」
「夜も安心して歩けます」
通行人
「……あれサクラだろ」
別の通行人
「絶対仕込みだろ」
カメラマン
「いいから続けてください」
男性
「これで」
「夜も安心して歩けます」
愛ちゃん
「完全にヤラセです」
俺
「でも安心して歩けるならいいだろ」
愛ちゃん
「よくありません」
ニュースはさらに続く。
キャスター
「なお専門家は追加の研究結果も発表しています」
専門家
「唐揚げは」
「99割安全です」
愛ちゃん
「そんな数字存在しません」
俺
「99割なら安心だな」
愛ちゃん
「安心できません」
俺はエアロバイクを漕ぎ続ける。
キィ……
キィ……
ゴン。
ゴン。
愛ちゃん
「本当に壊れてません?」
俺
「壊れてない」
愛ちゃん
「絶対壊れてます」
テレビではまだニュースが続いている。
キャスター
「なお政府は今回の発表を受け」
「夜間の外出は安全になったと発表しました」
俺
「ほらな」
愛ちゃん
「意味が分かりません」
俺はバイクを漕ぎながら笑う。
汗が床に落ちる。
俺
「見ろ愛ちゃん」
「これが脂肪の成れの果てだ」
愛ちゃん
「それは汗です」
俺
「脂肪だ」
愛ちゃん
「汗です」
ニュースは最後にこう締めた。
キャスター(真顔)
「専門家によれば」
「今回の研究により」
「夜も安心して歩けます」
俺
「いいニュースだな」
愛ちゃん
「この世界が一番怖いです」




