第19話 「保証の意味」 (提供テキストを基にブラッシュアップ・17/18接続版)
俺は壊れたエアロバイクを見ていた。
ペダルは止まっている。
さっきまでガッ……ガッ……と回っていたのに。
今はただの鉄の塊。 俺
「……」 愛ちゃん
「……」 俺は静かに言った。
「壊れたな」 愛ちゃんは頷いた。
「壊れましたわ」 俺は少し考えた。
そして言った。
「でも」
「三百六十五日保証や」 愛ちゃん
「はい……」 俺
「つまり」
「問題ない」 愛ちゃん
「…………」 スマホを取り出した。
保証書を探す。
あった。
画面に小さく書いてある。
365日保証 俺は頷いた。
「やっぱりな」 愛ちゃん
「おじさん」 俺
「なんだ」 愛ちゃん
「その文字」
「すごく小さいですわ」 俺は目を細めた。
確かに小さい。
ものすごく小さい。
拡大する。
さらに小さい文字があった。 俺は読み上げた。
「保証は」
「正常な使用に限ります」
俺
「……」 愛ちゃん
「……」 俺はエアロバイクを見た。
そして言った。
「正常だろ」 愛ちゃん
「おじさん」 俺
「なんだ」 愛ちゃん
「さっき」
「バキンって言いましたやん」 俺
「……」 少し考えた。
そして言った。
「これは」
「正常や」 愛ちゃん
「正常?」 俺
「ああ」 真顔で言った。
「音が出るということは」
「動いている証拠や」
「専門家が言ってた」 愛ちゃん
「…………」 そのとき。
テレビがついた。
また勝手に。 ニュースだった。
アナウンサー
「続いて専門家の見解です」 白衣の男が出てきた。
(18話と同じ人……くまちゃんCMにも出てる?)
専門家
「このケースはですね」
「九九割の確率で」
「使用者の問題です」 俺
「……」 愛ちゃん
「……」 専門家は続けた。
「保証というのは」
「故障を証明する制度ではありません」
「正常を証明する制度です」 俺はテレビを見た。
愛ちゃんは俺を見た。 沈黙。 俺はつぶやいた。
「なるほど」 愛ちゃん
「何がですか」 俺は言った。
「保証は」
「従順の証明や」 愛ちゃん
「…………」 俺は壊れたエアロバイクを見た。
ペダルを回そうとした。
回らない。 俺は言った。
「でも」
「専門家が言ってた」 愛ちゃん
「何をですか」 俺は静かに言った。
「これで」
「夜も安心して歩けます」 愛ちゃんは少し黙った。
そして言った。
「おじさん」 俺
「なんだ」 愛ちゃん
「夜」
「怖くて歩けませんわ」 俺は答えた。
「大丈夫や」 愛ちゃん
「どうしてですか」 俺は壊れたエアロバイクを見て言った。
「保証がある」 テレビのニュースが続く。
専門家
「保証の意味は」
「99割、従うことです」
「残り1割は……女児向け(怖)」 マダム(遠くから)
「ホーッホッホッホ!!」
「えーん!! くまちゃーん!!」
俺
「……」 愛ちゃん
「おじさん」
「本当に」
「嫌な予感しかしませんわ」 俺はスマホの保証書をもう一度見た。
小さい文字がさらに小さく見える。 俺はつぶやいた。
「これは」
「本当に」
「ストレスバイクだな」 愛ちゃん
「……はい」 (続く……保証はまだ365日残ってる)
愛ちゃん
「…………」
「嫌な予感しかしませんわ」 (第20話へ続く)




