第4話 体重計に意思が宿る!?
朝。
おじさんはいつものように体重計に乗った。
ピッ。
72.8kg
おじさん
「軽い」
AI
「昨日とほぼ同じです」
おじさん
「違う」
「昨日より軽い」
AI
「誤差です」
おじさん
「違う」
おじさんはもう一度乗る。
ピッ。
72.6kg
おじさん
「見たか」
AI
「誤差です」
おじさん
「体重計が努力を認めた」
AI
「そんな機能ありません」
おじさん
「ある」
おじさんは体重計を見つめる。
おじさん
「お前……分かってるな」
AI
「誰に話してるんですか」
おじさん
「体重計だ」
AI
「機械です」
おじさん
「機械にも意思は宿る」
AI
「宿りません」
おじさん
「宿る」
おじさんはエアロバイクをこぐ。
ゴン。
バチン。
ゴン。
バチン。
汗が落ちる。
床に水たまり。
おじさん
「脂肪も逃げている」
AI
「それは汗です」
おじさん
「体重計は知っている」
AI
「何をです」
おじさん
「俺の努力を」
もう一度体重計に乗る。
ピッ。
72.5kg
おじさん
「ほら」
AI
「測定タイミングです」
おじさん
「違う」
「応援してくれている」
AI
「体重計が?」
おじさん
「そうだ」
テレビからニュースが流れる。
ニュースキャスター
「おはようございます」
「天動説ニュースの時間です」
「本日の特集は」
「機械の意思です」
スタジオの専門家。
専門家(真顔)
「解析の結果」
「機械の99割は」
「気持ちです」
記者
「残り1割は?」
専門家
「多分気持ちです」
街頭インタビュー。
市民
「機械も頑張っているので安心しました」
市民
「夜も安心して歩けます」
AI
「安心要素どこやねん!!」
おじさんは体重計を見つめた。
おじさん
「ありがとう」
AI
「誰に言ってるんですか」
おじさん
「体重計」
ピッ。
体重計は静かに光った。
72.4kg
AI
「……」
おじさん
「ほら」
AI
「偶然です」
おじさん
「意思だ」
ゴン。
エアロバイクが鳴る。
宇宙の中心は
今日も静かに動かなかった。




