第46話:専門家の女児アニメ向けたまごっち教育
おはようございます。
天動説ニュースの時間です。
本日の特集は――
「たまごっち狩り」についてです。
最近、街ではある社会問題が発生しています。
ニュースキャスター
「女児向け電子玩具『たまごっち』を巡り、
たまごっち狩りが多発しています」
映像が流れる。
女児
「えーん」
通行人A
「狩られました」
通行人B
「強い個体を奪われました」
ニュースキャスター
「なお専門家は――」
専門家コメント
「99割安全です」
スタジオ
「おーおー!」
ざわつく。
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(場面:週刊・天動説クロニクル編集部・浦安支店。
ディズニーランドのすぐ隣、地下3階)
重厚なドア。
プレート
「編集長:愛」
その下の張り紙。
「アホは去れ(専門家専用出口:壁)」
ドアが開く。
専門家(震えながら)
「し、失礼します……」
愛ちゃん(チュッパチャプスをガリッ)
「……またお前か」
専門家
「今回はですね……」
「女児アニメ向け教育問題です!!」
愛ちゃん
「嫌な予感しかしない」
専門家
「こちらをご覧ください!!」
机にドン!!
女児向け絵本。
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※映像が乱れています
ザザッ……
ザッ……ザ……
♪ 禍々しいクラシック音楽
♪ アルプス風クラシック
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【映像】
画面いっぱいに映る絵本の表紙。
泣きながら一気に読みました。
勝ちまくり!モテまくり!
幻の“予言漫画”復刻!!
『本当の大災害は2075年7月にやってくる』
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※スタジオ沈黙
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愛ちゃん
「……」
「なんやこの」
禍々しい呪いの本は
専門家
「女児アニメ向け教育です!!」
愛ちゃん
「帰れ」
専門家
「まだ説明が!!」
ページを開く。
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ミカちゃん
「たまごっち育てよう!」
ウサギさん
「かわいい!」
ナレーション
「99割孵化します」
ミカちゃん
「やったー!」
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マダム(後ろで目を輝かせる)
「まぁ素敵ですわー!」
ポケットからたまごっちを取り出す。
マダム
「わたくしも育てておりますの!」
くまちゃんを抱っこしたまま、嬉しそうに見せびらかす。
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専門家
「そしてこちらが」
「たまごっち狩り教育です」
マダム
「え?」
ページがめくられる。
ナレーション
「強い個体を選びましょう」
ミカちゃん
「なるほど!」
次のページ。
ナレーション
「たまごっち狩りの時間です」
ミカちゃん
「え?」
ウサギさん
「え?」
次のページ。
謎の専門家キャラ
「弱い個体は狩りましょう」
ミカちゃん
「えーん」
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マダム
「ちょ、ちょっと待ちなさいまし――」
専門家
「実演します」
専門家がマダムのたまごっちをひったくる。
マダム
「きゃあ!」
その拍子に、腕の中のくまちゃんが――
ポトッ。
マダム
一瞬固まる。
マダム
「えーん! くまちゃーん!」
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愛ちゃん
「おい」
専門家
「はい」
愛ちゃん
「今なにした」
専門家
「教育です」
愛ちゃん
「どこがや」
専門家
「しかし自然界では――」
愛ちゃん、拳を振り上げる。
「2075年の戯言は言えても」
「目の前の予言は見えないんだな!?」
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※映像が乱れています
バキッ
ドゴッ
ゴンッ
ベキィッ
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テロップ
※編集長の教育指導中です
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静寂。
壁。
そこに専門家が埋まっている。
専門家
「ヒィ……」
足だけがぴくぴくしている。
床ではマダムがくまちゃんを抱きしめている。
マダム
「えーん……」
愛ちゃん
「ほら見ろ」
専門家
「すみません……」
愛ちゃん
「女児向けに狩り教えんな」
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スタジオ。
ニュースキャスター
「専門家は教育されたようです」
スタジオ
「おーおー!」
ざわつく。
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夜の街。
いつもの広場。
街頭インタビュー。
通行人A
「たまごっちは怖いですね」
通行人B
「でも育てるの楽しいですよ」
通行人C
「奴は四天王の中でも最弱」
通行人D
「四天王?」
通行人C
「まだ三人いるらしいです」
通行人A
「夜も安心して歩けます」
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少し離れた場所。
カメラに映る壁。
そこに専門家が埋まっている。
専門家(小声)
「た、助け……」
カメラマン(小声)
「いいから続けてください」
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通行人
「夜も安心して歩けます」
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スタジオ。
愛ちゃん(スマホ画面)
口パク。
「なにがやねん!」
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完
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