第30話 専門家「九九割ツチノコです」
おはようございます。
天動説ニュースの時間です。
本日未明、全国各地で販売されていた
**「ツチノコの天ぷらキャンペーン」**について、
専門家が新たな研究結果を発表しました。
ニュースキャスター(真顔)
「専門家によると、このツチノコ天ぷらは――」
「九九割ツチノコで構成されているとのことです」
スタジオが静まり返る。
キャスター
「なおこの研究は」
「ノーベル生物学賞を受賞しています」
おじさん
「待て」
スマホ画面
愛ちゃん
「全部待ってください」
「ツッコミ追いつきませんわ」
■専門家の見解
キャスター
「専門家によると」
「ツチノコの天ぷらは」
「いくら食べても太りません」
おじさん
「最高じゃねえか」
愛ちゃん
「そんなわけあるかい!!」
キャスター
「さらに専門家は」
「ツチノコ天ぷらは」
「九九割安心です」
「夜も安心して歩けます」
おじさん
「なんでだよ」
愛ちゃん
「関係あらへんやろ!!」
■専門家コメント
専門家
「ツチノコは幻獣なので」
「カロリーが存在しません」
「したがって」
「九九割太りません」
おじさん
「残りの一割は?」
専門家
「九九割だからです」
愛ちゃん
「説明になっとらんわ!!」
■街頭インタビュー
男性
「これで夜も安心して歩けます」
通行人A
「……あれサクラだろ」
通行人B
「絶対仕込みだろ」
カメラマン
「いいから続けてください」
男性
「これで夜も安心して歩けます」
スマホ画面
愛ちゃん
「さっきからそれしか言わんやん!!」
■現場レポート
レポーター
「現在ツチノコ天ぷらは人気すぎて
全国の店舗から消えています」
「専門家は」
「極めて悪質な無差別完売テロの可能性があると
指摘しています」
おじさん
「ただ売れてるだけだろ」
愛ちゃん
「普通に人気商品やないか」
■マッスルシャーク社見解
ニュースキャスター
「なおマッスルシャーク社の
マダム・シャークもコメントを発表しました」
画面が切り替わる。
スーパーの特設厨房。
マダム・シャークが
エプロン姿で立っている。
マダム
「ホーッホッホッホ!」
「ツチノコの天ぷらは――」
「現場主義で揚げましたわ!!」
油の鍋。
ジュワァァァァ。
ツチノコ天ぷら投入。
その瞬間。
パチッ!!
油が跳ねる。
マダム
「あつっ!!」
「えーん!!」
スタジオ
ざわざわ。
「泣いたぞ」
「社長たん可愛い」
「ハァハァ……」
スマホ画面
愛ちゃん
「威厳ないやんけ!!」
「ちょっと!!」
「今ハァハァ言うた奴!!」
「犯罪者予備軍おるど!!」
数秒後。
マダムは咳払い。
コホン。
マダム
「……今のは」
「油の温度確認ですわ」
「ホーッホッホッホ!」
ツチノコ天ぷらを掲げる。
マダム
「九九割ツチノコですわ!」
おじさん
「増えた」
愛ちゃん
「なんでマダム参戦してくんねん」
■政府発表
ニュースキャスター
「なお政府は今回の件を重く見て」
「非常事態宣言を発令しました」
「不要不急の外出は控えてください」
「しかし専門家によれば」
「九九割安全なので」
「夜も安心して歩けます」
おじさん
「どっちだよ」
愛ちゃん
「完全に矛盾しとるやろ!!」
■アパート
テレビを消す。
おじさん
「……愛ちゃん」
愛ちゃん
「なんですか」
おじさん
「ツチノコ天ぷら」
「食べたい」
愛ちゃん
「やめてください」
おじさん
「なんでだよ」
愛ちゃん
「九九割ツチノコやからや!!」
おじさん
「むしろ安心じゃねえか」
愛ちゃん
「安心の意味調べてきてください」
■ニュース速報
そのとき。
テレビが突然ついた。
ニュース速報。
キャスター
「速報です」
「ツチノコ天ぷらを食べた人が
泣きながら一気読みしたとの報告が入りました」
おじさん
「なんの報告だよ」
愛ちゃん
「意味わからんわ!!」
キャスター
「なお専門家は」
「ツチノコ天ぷらは」
「いくら食べても太らない」
「九九割安心」
「夜も安心して歩けます」
おじさん
「……」
愛ちゃん
「……」
おじさん
「じゃあ」
「一個だけなら」
愛ちゃん
「ダメです」
おじさん
「三個まで」
愛ちゃん
「唐揚げちゃいます!!」
■エピローグ
おじさんはテレビを消した。
そして呟いた。
「……でもさ」
「夜も安心して歩けるなら」
「悪くない世界だよな」
愛ちゃんは少し黙って
小さくため息をついた。
愛ちゃん
「……おじさん」
「それは」
「安心ちゃいます」
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