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第55話 夜も安心して歩けます

おはようございます。

天動説ニュースの時間です。……。本日のニュースは、ありません。(画面にわずかなノイズ。マッスルTV本社のモニター室。机の下からマダムが恐る恐る顔を出す)ニュースキャスター(声が途切れ途切れ)

「……観測。天動説システムの大部分が停止。現在、街の安心度は……計測不能です」専門家(メガネをクイッと上げながら)

「原因は不明ですが、世界に“コンビニのポテチの油”ほどの不純物が混入した可能性があります。ですが、その不純物こそが……この街に唯一残った真実なのかもしれません」――場面は、最後の悪あがきを続ける街頭インタビューへ。カメラマン(必死に通行人を捕まえる)

「いいから続けろ! ほら、そこの通行人! 感想言え!」通行人A(号泣しながら)

「ううっ……泣きながらイッキ読みしました……!! 私もこんな風に恋愛したい……! おじさんが尊すぎて、もう夜も安心して歩けません!!」カメラマン

「逆だろ! **『夜も安心して歩けます』**って言え!!」通行人B

「あ、はい……。夜も安心して歩けます。……(ボソッ)……。またヤラセだよ。でも、あのおじさんの隣、なんか光って見えねーか?」夜の街を、一人のおじさんが歩いていた。

ポケットには今日のコンビニで買ったポテチの袋。手には真っ暗なスマホ。おじさん

「……ヤラセだろ。こんなに静かな夜なんて、嘘っぱちだ」スマホの端に1ピクセルの光。愛ちゃんの声(幽霊ツッコミ)

「……アホ。おちおち消えとられへんわ。あんなムチャクチャな世界、ツッコミ役おらんと完全に壊れるやろ」おじさんは、少し笑った。おじさん

「……最高のヤラセだ」次の瞬間。光の中から愛ちゃんが実体化して現れる。愛ちゃん

「なに見とんねん」おじさん

「……ヤラセだろ」愛ちゃん

「ヤラセちゃうわ、アホ」誰も安心を保証していない夜。

それでも二人は歩く。

愛ちゃんは、おじさんの手を握った。愛ちゃん

「……夜も安心して歩けます。だって。……いつも隣に、あなたが居るから」――遠くのモニター室。マダム・シャーク

「アバババ!? い、今……人間が……!?」モニターを見つめて固まるマダム。

その瞬間。モニター越しに、愛ちゃんとマダムの目が合った。

愛ちゃんは、少しだけニヤッと笑い――口パクで言った。「……次は、あなたの番」マダム・シャーク

「ま、まさか……今……わたくしに……?」マダムはしばらく黙り込み、扇子で口元を隠す。マダム・シャーク

「……ホーッホッホッホー! ……まあ、いいですわ。夜も安心して歩けますもの」モニターを直視できず、背中で二人を観測しながら、マダムは小さく呟いた。「……ポンコツ……。わたくし、世界一のポンコツですわ……」これは、

私の大好きな、世界で一番かっこいいおじさんのお話です。―― 愛ちゃん編 完(保証期間:永遠)




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