表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/121

第52話 悩みはゴミですわ


おはようございます。

天動説ニュースの時間です。(中継映像:マッスルTV本社ビルの重厚な真鍮の門。おじさんが、今日のコンビニで買ったポテチの油で汚れた指先で、門をこじ開けようとしている。背景には「悩みはゴミですわ」という巨大なマダムの看板が揺れている)ニュースキャスター(震える声)

「……。観測。……。聖域の門が汚されています。……。ゲートキーパー、お迎えに上がりなさい。……。彼らに『安心』を与え、すべてを回収するのです」ビルの影から、無機質な足音と共に**「MUSCLEシャーク警備員」**たちが現れた。

かつては「半額弁当による腹痛」や「将来の不安」を抱えながら生きていたはずの人々。だが今は、マダムのサービスによりそれらすべてを「回収」され、虚ろな笑顔を張り付かせた狂信者と化している。MUSCLEシャーク警備員(合唱)

「ホー……ッ、ホッホッホ……! 悩みはゴミ! 現実もゴミ! ……。おじさん、あなたも回収して差し上げますわ! ホー……ッ、ホッホッホ……!!」彼らが、マダムへの忠誠を誓うように扇子を振りかざし、おじさんに襲いかかる。おじさん

「……。ヤラセだろ。……。みんな、本当は『仕事のストレス』や『体重計の裏切り』に、泣きながら向き合ってたはずじゃないか! ……。それをゴミだなんて、愛ちゃんとの時間をゴミだなんて、僕は絶対に認めない!!」愛ちゃん

「おじさん!! そいつらの耳元で叫べ! コンビニのポテチ代みたいな泥臭い現実の音を聞かせたれ!!」おじさんは、襲い来る警備員の耳元で、ポケットの「今日のコンビニで買ったポテチの袋」をガサガサと鳴らした。

その安っぽい、けれど確かなビニールの音が、洗脳された彼らの脳内に「かつての日常の小さな悩み」をフラッシュバックさせる。警備員A

「……。あ……。俺、昨日の夜……半額弁当が売り切れて……絶望してた……。……。あ……あ、アバババ!!」警備員B

「……。私……将来が不安で……エナジードリンク飲んで無理してた……。……。回収……されたはずなのに、胸が、痛い……っ!?」「悩み」という名の人間性を取り戻し、のたうち回る警備員たち。

その隙を突き、おじさんは美少女フィルターでキラキラと輝きながら(実体は必死な顔で)、本社のロビーを猛然と駆け抜ける。マダム・シャーク(モニタリングルームで、モニターを扇子で指差しながら)

「アババババ! ……。わたくしが、わたくし自ら回収して差し上げたはずの悩み(ゴミ)が、なぜ逆流していますの!? ……。おのれ、コンビニのポテチの油……! あの脂ぎった指で、わたくしの聖域を、これ以上汚させませんわ!!」おじさんはついに、最上階へと続く黄金のエレベーターに飛び込んだ。

手元に残ったのは、汗と油でまみれた、コンビニのポテチ袋だけ。

それが、最強の武器になると信じて。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ