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第4話 全員集合


もうまともに飛べない。


翼を動かすたび、風に押し戻されそうになる。

まるで、空そのものが、

俺を拒んでいるみたいだ。


「……チッ……」


腹の奥が、鈍く軋む。


視界の先、屋上に立つナツの姿が見えた。


「ユウ!!」


着地の瞬間、バランスを崩しかける。

翼を強引にたたみ、なんとか踏みとどまった。


「ナツ掴まれ…、下に降りるぞ…、急げ……」


「無茶言うなよ……」


文句を言いながらも、ナツは即座に俺に掴まる。

その手には、はっきりと力がこもっていた。


俺は歩道へと滑り降りる。


着地と同時。


ガクッ


「……っ……」


鈍い音を立てて、

膝が、地面に落ちた。


「ユウ!?」


「おい、大丈夫かよ!」


視界が揺れる。

耳鳴りが、遅れてやってきた。


「……平気……ちょっと……休めば……」


全然平気じゃないのは、

自分が一番分かっている。


俺は息を整えながら、顔を上げた。


「…サイとミツルは無事だ……」


「え?」


「この先……二件隣のコンビニ……。

あそこに、隠れてる…」


「マジか!」


「周囲に……魔物の反応は…ねぇ……」


必要最低限だけを、短く伝える。


「……ジュンは?」


「わいが背負う」


アキラが即答し、ジュンを背中に担いだ。


「ナツ、マサキ……悪いが肩貸してくれ…」


「ナツ、そっち支えろ」


マサキが声を張る。


「無茶しすぎなんだって…」


俺は、ふらつく足で立ち上がる。


……まだだ。

あと少し。


コンビニは、静まり返っていた。


割れたガラスもなく、

奇妙なほど“無事”なままだ。


「安全……なんだよな?」


「あぁ……この一帯は……」


自動ドアを押し開ける。


「二人ともおるかー?」


棚の影から声。


「……みんな?!、無事だった……、ユウ!!」


俺の怪我を見て、

駆け寄って来たのはミツルだった。


「ジュンもか……」


「大丈夫や、こいつは気絶してるだけや」


腕を組み、壁にもたれているのがサイだ。

冷めた視線が、俺の腹に向けられる。


「……死にたいの?」


「久しぶりの挨拶がそれかよ……」


俺が苦笑した、その時……。


ドンッ!!


床が、跳ねた。


「地震!?」


次の瞬間、

天井が、嫌な音を立てて軋む。


「伏せ…」


言い切る前に、崩壊が始まった。


「……チッ……!」


考えるより早く、

俺は翼を広げていた。


限界まで、

六人を包み込むように。


ガガガガガ――ッ!!


瓦礫が、翼を叩く。


衝撃が、背中を貫く。


「……ッ……」


歯を食いしばる。


やがて崩壊が止まり、

埃が、ゆっくりと落ちる。


「……全員……無事か……」


誰かが、息を呑んだ。


「……ユウ……」


俺は、もう限界だった。


「……浮遊城へ…行く……」


掠れた声で告げる。


「もう……長く…持たねぇ……」


最後の力を、引きずり出す。


《……準備はいいか》


「あぁ……やるぞ……」


……竜化(強)。


身体が黒い球体に包まれた。


球体は、脈打つように膨張していく。


黒い球体は瓦礫を押しのけ、

空が顔を出した。


「うーわ、もうなんでもありだな」


ビシビシ、ビシッ


みんなが驚く中、ビルほどの大きさになった球体にヒビが入った。


バリンッ、パラパラパラ


ドドォォン!!


球体が砕け姿を現したのは、

巨大な黒竜。


『成功だな……』


「……でっか……」


ミツルの間抜けな声。


俺は、慎重に掌を差し出す。


『……乗れ………』


動揺しながらも、

みんなは俺を信じ、掌に乗ってくれた。


親友たちを乗せ…、

巨大な竜翼を広げ…。


俺達は空へ……。






……そして。


「……何?、あれ……」


「……竜…?」


「…もう終わりだ……」


無数のスマホの画面に映る、

〝黒竜〟。


これまでとは比べ物にならない速度で、

情報は世界を駆け巡る。


……黒竜は、

もはや隠しきれない存在となった。

16話までストックがあり。

毎週更新します。

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