第10話 力の解放
浮遊城・ダイニング
俺達は家から、
必要なものを持ってきた。
テレビや充電器、
手当たり次第に使えそうなものを。
「ナツ、やっぱりお前の料理うまいなぁ」
俺は感動の声を上げた。
「城の食料庫に食い物あるとはいえ、
素材のままじゃ味気ないしな〜」
ナツは料理をテーブルに並べる。
和やかにみんなで朝食を食べていると。
朝のニュース。
〔……網走刑務所における暴動は制圧され……〕
画面には、
ぼかされた瓦礫、
黒く塗り潰された人影。
「……制圧、ね」
マサキが鼻で笑った。
「どう見ても、隠してるだろ」
ジュンは黙って、画面を見ている。
指先が、僅かに震えていた。
〔……覚醒者は現在、
管理・登録の対象となり……〕
「管理、ねぇ」
ミツルが呟いた。
「都合のいい言葉だ…」
一瞬の沈黙。
ガタッ…
俺は立ち上がり、みんなを見回し、
口を開いた。
「もう少しこうしててもいいと、
思ってたんだけどな……」
《まあ、お前がずっと守れるわけじゃないだろうからな》
ナツは疑問を俺に投げかける。
「どうしたんだ?」
「……お前らにも力をつけてもらいたい……」
「ええで」
アキラが即答した。
「いつまでもお前に頼ってられんしなぁ」
「お、お前ちょっとは考え……」
「考えてないのはユウの方だろ」
ナツが俺の言葉を遮った。
「俺達がずっとお前頼りでいるとでも?、
たとえリスクがあったとしてもやるよ、
お前の親友であり続けるために」
俺がみんなを見ると決心はついてるようだった。
《すげーなお前ら……、
覚悟は見せてもらったよ》
《じゃ、行くか》
「ちょ、まっ…」
シュゥゥゥ、ブンッ……
俺は暁闇の言葉に反応するも、
遅かった……。
精神世界
ブンッ……
石畳が敷かれた広い空間。
天井は見えない。
中心に七人。
「こ、ここは……」
ドドォォン!!
暁闇が姿を表した。
《ようこそ……、ドラゴニック・レギオンへ……》
俺は睨みつけながら叫ぶ。
「おい!!、まだ説明してねぇって!!」
《見せた方が早いだろ?》
「だからってお前……」
《お前ら周りを見てみろ》
周囲に、六体の竜の石像。
台座にはそれぞれの属性が刻まれ、
闇の台座は空白になっている。
「これが俺達の……、相棒か……」
ナツが呟く。
「いきなり連れて来られて、
言いたいことはいろいろあるけど……、
俺達はなにをすればいい?」
マサキが聞く。
《とりあえず魔力操作に慣れてもらう、
ここなら竜の力がなくても、
いろいろ出来るからな》
「俺の身体強化も武器具現化も、
暁闇の力で上乗せはされてるけど、
あれは魔力操作だ」
「なるほどな……」
サイがそう呟くと。
スゥゥゥ……
ガシャッ……
「出来た……」
「おま、それ……」
アキラが興奮と共に声を上げた。
「ガンブレードやないかぁ!!」
「いいだろ」
「わいらの想像力次第ちゅうことか……、
まるで漫画やなぁ」
スゥゥゥ……
みんなは各々の武器を想像した。
アキラは弓、
マサキは大剣、
ミツルは大盾、
ジュンの双剣だけ、異様に軽そうだった。
マサキが呟く。
「……本当に出たな」
しかし……。
ナツだけは、違った。
ナツの剣だけ、輪郭が揺れていた。
魔力が、散る。
「……くそ」
《ナツ、魔力操作が雑だぞ》
「俺は昔っから不器用なんだよ……」
《うーん、これは…、
あいつらに手伝わせるか……》
「あいつらって俺らの?」
《そうだ、ナツ、マサキ、ジュンは、
素直に協力してくれるだろうからな》
暁闇の言葉にミツルが反応する。
「えーっと……、ということは……、
その他は戦闘確定……?」
《確定とまでは言わないが……、
少なくともサイは覚悟したほうがいいな……》
「わかった……」
……静寂。
「そうと分かれば、行こうぜナツ」
「お、おい引っ張るなって」
俺はナツを連れて、風竜の石像前に立った。
「風?、風なの俺?」
「あぁ、魔力の流れを感じるとわかるんだ、
多分あいつらも自分の属性感じてるんじゃないかな?」
「これ…、どうすればいいんだ?」
《石像に触れればいい》
ナツが石像に触れた。
ゴゴゴゴゴゴ、ピシッピシッ
石像に走る亀裂、
その隙間から斬り裂くような突風が溢れ出した。
ガラガラガラ、ビュゥゥゥウ
《……僕を、……呼んだのは…誰?》
《よう久しぶりだな春嵐、
元気にしてたか?》
春嵐は暁闇を見て一瞬止まった。
《えっ??、暁闇さん?、
無事だったんですね!!、
突然いなくなったから心配してたんですよ?》
《いやちょっと遊びに行くくらいの気持ちだったんだが、
戻れなくなっちまってな》
《でも本当によかったですよ、ん?》
静寂。
春嵐は冷静になって、
今自分の置かれた状況を把握し始めた。
《暁闇さんが口下手なのは重々承知してますが、
片道切符の場所に仲間呼びませんよね……》
《まあオレが呼んだ訳じゃないしなぁ、
お前を呼んだのはそこにいる人間だぜ?》
暁闇はナツを指刺した。
《この人が僕を?》
「ナツって言います、
春嵐さんオレに力貸してくれませんか?」
《あっどうも、
力を貸するのは構わないんだけど……、
いろいろ説明お願いしてもいい……?》
春嵐に説明中………。
《大体状況は把握したけど……、
暁闇さん?、
なんであなたはいつもちゃんと説明してくれないんですか!!〉
《だってめんどくさ……、
春嵐なら分かってくれると思って?》
《本音ダダ漏れじゃないっすか!!!》
その光景はいつもの自分達を見ているようで、
俺とナツはすごく安心出来た。
このあと見慣れた光景が続いた。
《はぁ、とりあえずわかりました、
ナツこれからよろしく》
「う、うん」
「ん?、どうした?、嬉しくねぇのかよ」
「こんなあっさり話が進んで、
都合良すぎるなぁって……」
《でも俺言ったぜ?、
春嵐なら力貸してくれるって?》
「そうなんだけどさぁ……」
ナツは考え込んだ。
一瞬の静寂。
「はぁ……、まあいっか、
異世界の俺だもんな……」
ナツは春嵐に拳を突き出した。
「俺は仲間を守る為に力をつけたい……、
力を貸してくれ、相棒!」
《……相棒か…、ちょっと照れるけど……、》
春嵐は拳を合わせた。
《あの2人もいいコンビになりそうだな》
「あぁ、あとは任して良いだろう、
あいつらも待ってるし……って?!」
俺は親友たちを舐めていたらしい……。




