表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋愛

作者: コジの字
掲載日:2025/09/29

初デートを題材にした掌編1

「行ってきます!」

2月の第1土曜日、私は予定よりも早く家を後にした。

晩冬のヒヤッとした肌寒い空気が頬を打つ。

それでも体は羽の様に軽い。

今日は念願の、彼との初デートなのだ。

道路沿いの並木道。街路樹は葉も付けず淋しげだが、私の心はすっかり春模様。

毎日の様に歩いている通学路も、今日はどこか違って見える。


私はルンルン気分で学校を横切った。

花に誘われるミツバチのように、軽快な足取りで駅前広場へ向かう。


道中、何度も彼の笑顔が脳裏に蘇る。

早く会いたい。

顔のニヤつきを押さえ込もうとしているうちに、駅前広場の梅の木が見えてきた。


そこで私は、はっとして足を止めた。

薄紅色の蕾をたくさんつけた梅の木。

その元には、すでに彼の姿があったのだ。

白い息を吐き、両手を温めている。


私は急に恥ずかしくなり、物陰に隠れてしまった。

まさか彼がもう待ち合わせ場所にいるなんて。

興奮と戸惑いが、カッと顔を熱くさせる。


私は慌ててスマホを取り出した。

スマホの画面を鏡にして、身だしなみをチェックすると、せっかくカールさせた前髪が、無惨にも汗で額にくっついていた。


慌てて乱れた前髪に櫛を通して、いちごフレーバーのリップを引き直す。

そして勇気をだして、何気なく彼に近づき、いつもみたいに声を掛けた。


「おはよう、早いね。もしかして待ってたの?」

「待ってねーよ」


子供の様な無邪気な笑顔。

いつもの学生服とは違う、男の子の服。


「ほら、行くぞ」

「あ、うん!」


私の手を引く、骨張った手。

とっても冷たく、とっても温かい手。


「うふふっうふふふふ」

「なに笑ってんだよ」

「なんでもない〜」


彼の手を両手で包み込む。

私は、彼が大好きだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ