【閑話:アミュア身長伸びた?2】
※文末にシリーズ共通の地図を入れました。ご参考までに。
ハンターオフィス内2階にあるマルタス執務室。
時間は深夜になる。
本来は所長室なのだが、マルタスが所長の表示だけ塗りつぶしている。
そこにはミルディス公国から戻ったユアとアミュア。戻った直後に引きずられてここへ連行されたのだ。
「で・・・・なんでアミュアこんなに育っちゃってんの?」
仁王立ちで二人を見下ろすマルタス。腕組みまでして厳しい顔つきだ。
あーこれ怒られる時のヤツだ。
すみやかに察知した二人が直立不動。
いまや二人に身長差はない。
「えと…せ、成長期?です?」
冷や汗を一筋流すアミュアが答えた。
答えてるのか、質問してるか判らない回答。
「なんで疑問形なんだ…そもそもいくら成長期でもこうはならん。」
納得しないマルタス。
アミュアの身長は半月前より頭一つ伸びている。
「アミュア最近よく食べてたから…栄養がよかった?」
「よく食べてるのはユアの方です」
腕組みから右手をこめかみに運び、目を閉じるマルタス。
「もういい、わかんねんだな?二人とも?。それとも説明したくないか?」
二人並んで下を向きしょんぼり。
「・・・わかった。もういい。」
ちょっと乱暴に言い切り、振り返りゴソゴソ書類やペンをいじるマルタス。
振り返ると一枚の紙。
依頼書だ。
「これもって1年ほど出かけてこい。できるだけ誰にも見られるなよアミュア」
受け取るアミュア。
目線の位置になれずに少し落ち着かない。
「なになにー、ふむふむ?」
アミュアの手元に近付き、依頼書を読むユア。
「えと・・かんぜんしゅうじゅ?…これなんてよむのアミュ?」
「…もぅ。今夜から書き取りに加えて朗読いれますよユア。これは完全習熟、【ちゃんと覚える】の意味です」
いまや視線は同じたかさ、なんとなくおねーさんぶりたくなるアミュアが続きを読む。
「簡単に言うと、ハンターの技能・常識を学び次のランクに相応しい能力を身に着けなさい。そのために一年間の研修旅行を…」
そこまで読んでやっとアミュアも意味に気付く。
「マルタスさん…」
窓の近くまで進み、ブラインド越しに外を見るマルタス。
「さすがにソレは俺でも隠し切れん。今夜いたやつは俺が口止めとしておくから。」
振り返らず外をみたままのマルタス。
「ん?どゆこと?」
まったく言外の意味を解せず、腕組みしコテンコテンと左右に頭を振るユア。
「とんずらこいて、ほとぼりがさめるまでかえるなってことです…ありがとうマルタスさん」
後半はマルタスの背中に向けたアミュア。
少し涙ぐんでいる。
振り向かず右手だけ横に出してプラプラするマルタス。
「いいから早くいけ。しっかり勉強もするんだぞ、戻ったらCランクハンターだ」
ハンター協会の民間ゆえの自由さ、ランクの更新はB以下は支部で判断可能だった。
そしてランクアップの条件には技能・知識の習熟も含まれており、研修は必須ではあった。
一般的には旅行は含まない。
だまって頭を下げるアミュアをみて、あわてて一緒に頭を下げるユア。
「行ってまいります」「行ってまいるみたい?」
最後まで振り返らずぷらぷら手ですましたマルタスだった。
背を向けユア達にみせない顔には、確かな慈しみと喜びがあったのだ。
成長したな、と。




