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【第52話:あたらしい町にて後編】

挿絵を追加いたしました。(挿絵をまたw手直ししました)






 一通りハンターオフィスの用事が終わり、ホテルに戻った3人。

久しぶりのお宿だと、奮発して結構な高級ホテルにいい部屋を取った。

「うん!かわいい!いいねいいね!」

とはアミュアの髪を編み、アップにまとめたユア。

きめ細やかな銀糸の三つ編みがくるくると纏められている。

今日の帰りに3人で服屋で物色した、カジュアルなワンピース姿だ。

アミュアはうすい水色のケープが下地の白を透かしてくる、ふんわりしたシルエットとともに可愛らしさを残す。

最近のアミュアは口を開かなければ、ちいさなレディで通るのだ。

アップにすると小顔が協調され、美人度アップだなとユアもうっとり。

ちょこちょこ気になるのかアミュアの髪を仕上げるのは、こちらも白系統の柔らかなシルエットのドレス。大きめの丸い襟に差し色のレモンイエローが映える。

そこに、奥の化粧台からでてくるカーニャ。

「うん、とても可愛いわアミュア。ユアもばっちりね」

 ひさしぶりのしっかり化粧をした、カーニャに二人は目を見張る。

カーニャは昔からのキャラ付けもあって、大人っぽい化粧をするので大体年齢より上に見える。

まとったドレスもカットが少し大人びた桜色のグラデーション、強調される胸元に真紅のつやめくストール。

二十歳前には見えない妖艶さがあふれる。

「カーニャってほんとに美人です」

ぽーっと言うアミュア。

ユアは見惚れて言葉も少ない。

「うん…」

何度か見ていたが、カーニャの正装はカジュアル寄りでも破壊力が高かった。

姿勢も美しい。

「な、なによ。そんなにじっと見ないでよ、恥ずかしくなるわ」

ぱちぱちと長いまつ毛が揺れ、ちょっとだけ頬を赤くする。

小さなピンクのハンドバックに隠れ、顔をそむけるカーニャであった。

ツンの力は見当たらず、デレだけがそこに残ったのだ。




「ね、ねえおかしくないあたし?なんだか落ちつかないよ」

とは店に入ってからうつむき加減のユア。

「ぜんぜん、とても美人になったわよ」

とはカーニャのにやにや顔。

 部屋でからかわれた仕返しにと、ユアにバッチリメイクを入れたカーニャは満足そう。

途中から当初の目的など忘れて、丁寧に仕上げた。

赤系のアイシャドーとオレンジの口紅がきらりとグロスを照り返す。

「じっとしていたらユアもまるで美人さんみたいです」

すんっとしたアミュアは褒めているのか、貶しているのか微妙であった。


 折角の大人びた姿も、楽しい食事にながされすっかり調子を戻す3人。

少しだけ賑やかすぎたが、後ろに控えたウェイターに注意されるほどではなかった。

そういったコントロールも淑女のたしなみ、と言わんばかりにカーニャが上手く抑えるのだ。


 静かな店内にしっとりとウッドベースとピアノの音がやさしく響く。

カチカチと銀のスプーンで、残っているデザートを丁寧に救い出そうとしているのはアミュア。

透明な肌に少し赤みが差し、ランプの暖かな灯とともに健やかさを助長する。

ちらっとアミュアを見ながらも、すっと綺麗に紅茶をたしなむカーニャ。

長年仕込まれた礼儀作法は、何気ない所作にも表れている。

ユアもちゃんとしようとすれば、それなりの動きなのだが、見る人が見ればわかるものだ。

外から見ると仲の良い姉妹に見え、微笑ましい空間をテーブル一つに描いていた。

 そうしてアミュアが目をこすりだし、二人を微笑ませてくれるまでゆっくりする。

楽しい食事とおしゃべりに久しぶりの文明を添え、贅沢に時間を使った3人であった。

挿絵(By みてみん)








「二人共おきてください、もうごはんのじかんです」

 広い日当たりのいい部屋に大きめの二つのベッド。

窓に近い方に寝巻に着替えたアミュアを寝かしつけて、どっちが仮設ベッドに寝るか談議でしばらく話していた二人は、そのまま同じベッドに寝てしまったのであった。

 朝を迎え二人の距離はさらに近づいたようだ。

その二人の足元に座り両手でそれぞれをゆするアミュア。

「ぅん…」

「む、うんぐ…」

なかなか起きない二人に、アミュアはベッドに上がり、膝で間に進み押し押しをパワーアップ。

「おなかがすいています!起きてくださいふたりとも!」

「なになになに!」

「ふみゃあ~!」

ぱっと起き上がり状況確認するカーニャと、頑張って寝続けようとするユア。

ユアは明らかに起きているのにがんばる。

それを見てプクっと頬を膨らませ、アミュアがダイブ。

ぴょーんどす、というくらい飛んでいた。

「ぐっはああ」

「おきましたか!ユア」

「あははっ」

カーニャも笑顔が零れて、今日も一日が始まったのだった。



 昨夜の展望ラウンジでバイキングモーニング。

大きな窓から朝の光を取り込むレストランはまったく別の店にも見えた。

プレート常の食器に上品によそってきたカーニャの向かいで、これでもかとよそってきたユアが座る。

アミュアもそれなりに大盛になったトレーをユアの隣に置く。

ちょいちょいとフォークを操るカーニャは、にこにこと眺めている。

「今日はお化粧ないから食べやすいでしょ?ユア」

とは綺麗にメイクしているカーニャ。

「本当だよ!なんだか昨日はお腹いっぱいになっちゃって食べれなかった」

もぐもぐの合間に答えるユア。

アミュアはマイペースにフォークを運ぶ、少しカーニャに似た動きだが、スピードがより速い。

「そういえば、昨日ウエイターさんから仕入れた情報あったわ」

口いっぱいにほおばり、うなずきで返す二人。

「なんでも最近共同墓地のほうで騒ぎがあったって」

がんばって咀嚼しながら考える二人に、カーニャがにこり。

「チェックアウトしたら行ってみない?ルイム城に行く前に」

食事の終わっていたカーニャは小さなカップでエスプレッソをたしなむのだった。

ユアのダイナミックな咀嚼と、飲み込む端からほうりこまれるアミュアの早業を見ながら。


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