【閑話:健やかでいてほしい】
ちょっと色々見直して手直ししました。中身はあまり変わっていないと思います。
少しだけ落ち着いた暖炉の火が、壁や天井にゆらゆらと影を揺らしていた。
アミュアと二人で毛布に包まり、ソファにしずんだユア。
いつも胸元にしまっている大事な封筒を出す。
ユアがそっと一枚の紙を抜き出し開く。
もう何度読んだか覚えていないくらい読み返した、母の手紙。
読んでは仕舞った手紙は、すこしずつ端が痛んできた。
あちこちにユアの涙が染みていた。
まだアミュアにすら見せたことはない母の言葉。
ゆっくり最後まで読んだユアは、丁寧に手紙をたたみ封筒に戻す。
そっと微笑み胸元に封書を戻した。
今日暖炉の前でアイギスから父の言葉を聞き、また泣いてしまった。
ちゃんと愛されていたのだと初めて実感できたのだ。
会ったこともない父親の愛を。
最近の自分は泣いてばかりだ。
こんなんじゃ健やかなんて言えないなと、少し反省した。
右側にあたたかな熱。
アミュアだ。良く寝ている。
話し終わったアイギスは、別の部屋で寝ると言い去っていた。
そっと起こさないように気を付けて、アミュアのおでこに自分の頬を押し当てる。
(いつかアミュアにみせたいなおかあさんの手紙)
暖炉よりもずっと暖かく感じるアミュアの存在。
その温もりが速やかに悲しい気持ちをぬぐってくれた。
(いつもありがとうアミュア)
薄い背中にも手を回し入れ、感謝を込めそっと抱きしめる。
とてもやさしい匂いがする。
(なんだかおかあさんみたいな匂いだな)
ユアは微笑みながらも胸の奥にちくりと来る。
せっかく収まっていた寂しさが湧き出しそうになる。
アミュアの暖かさがそっと、その悲しみをほどいてくれる。
こうしてアミュアに支えられているのだ。
改めてユアは思ったのだった。
眠りに落ちる意識の片隅で。
ユアへ
時間がないので大事なことだけ書く
村は盗賊に襲撃された
村は全滅した、わたしが最後だ
最後まであなたをささえられない母をゆるして
あいしていますユア わたし達のたからもの
どうか健やかでいてほしい
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ラウマの心のうつわが、だんだん いっぱいに なっていって、
とうとう、どんなに がんばっても、すこしずつしか力が つかえなくなりました。
すると、
人びとは こう言いました。
「ラウマは もう、なんにも してくれない。」
「ちっとも たすけてくれない!」
その中には、おこった人もいました。
ラウマに、つよい つよい「にくしみ」を なげつけたのです。
ラウマは その気もちを うけとってしまいました。
それは、ほかのどんな悲しみよりも、つらいものでした。
そのとき、ラウマの心は、こわれそうに なってしまって
——そして、
ラウマは しずかに 目をとじ、
だれにも きづかれないように、そっと すがたを かくしてしまいました。
第3章完結です。ここまでお付き合いいただいた方、本当にありがとうございます。
まだまだストーリーは続きますが、一旦の結末です。
今後もペース落とさず頑張りたいと思います。
よろしくお願いいたします!




