10連覇中の相手に勝てるの?
よっしゃ!! 行くか!!
俺は意気揚々と闘技場に向かっていた――そのとき、多分クラウスの付き人だろうか?って感じの奴が、突然俺に突っ込んできた。
なんで付き人だってわかったかって?クラウスと同じ服を着てたからだ。ベアルックってやつだっけ?……な、なんだ?
「アンタ、クラウスの対戦相手でしょ? 早めに棄権しときな。聞いたことあるだろ? 一撃食らってあばら骨が6本折れたって話」
なんだこいつ……クラウスに無駄な体力を使わせないように言ってんのか?
確かに、前回の試合で最終決戦は互角の戦いで、ギリギリでクラウスが勝ったって話は聞いた。
今日もそいつ出るらしいし、今度はクラウスが負けるかもって噂もあるみたいだ。
そんなすごい戦いなら、俺も見たかったな。
「アンタは怪我しないでくれ。これ以上、苦しんでる人を見たくないんだよ」
え?……善意だったらしい。
だけど、俺は――
「棄権なんかしないよ。俺、勝つから」
「そう。楽しみにしてるわ。くっふふふ」
そう言って、手を振ってどこかに消えていった。
……まぁ、やれるだけやるか。
俺が闘技場に上がった時には、既にクラウスがいた。
審判の人が現れ、言った。
「両者、礼」
俺とクラウスは礼を交わす。
すると審判が続けた。
「一応お伝えしますが、このトレーニング室では死んでも生き返ることができます。ですので、思う存分戦ってください。
では――ファイト!!」