勇者(仮)に手紙が届く
朝――。
鳥のさえずりと共に、俺は気持ちよく目を覚ました。
「うわっ、まぶしっ……!」
窓を開けた瞬間、眩しすぎる朝日が目に飛び込んでくる。ベッドから出て、大きく伸びをする。
昨日、俺はやっと病院から退院できた! いや〜、まさか五日間も入院することになるとは思わなかった。
部屋を出ると、廊下では正晴(自称・神)が立ったまま寝ていた。
「こいつすげーな。立って寝てるやつ、初めて見たぞ……」
正晴を二度見しながら階段を下り、リビングの前を通りかかる。
「おっ、誰もいない。俺が一番乗りか。日曜日とはいえ、みんなのんびりしてんな〜」
まずは朝刊を取りに玄関へ向かう。時計を見ると、まだ朝の6時前。……まあ、早すぎたか。
ドアを開けてポストから朝刊を抜き取り、リビングに戻る。これがいつもの俺の日課だ。
ポストを確認すると、新聞の間に何かが挟まっていた。
「手紙? 誰からだ?」
差出人不明の手紙を確認しながら、リビングへ向かう。
テーブルの上に新聞を置き、コーヒーを淹れるためにキッチンへ立った。その時、玄関が開く音がした。
「あら、もう起きたのね」
「あぁ」
「五日間も入院したくせに元気ね……私に水ちょうだい」
「はいよ」
栞が洗面所へ向かうのを見届けて、栞のコップに水を入れる。戻ってきた栞が、テーブルの上にある手紙を手に取った。
「なにこれ?」
「さぁな。ポストに入ってたんだ」
「開けていい?」
「いいぞ〜」
栞は手紙の封を切り、中身を広げる。
「……え?」
「どうした?」
「え!? いや……ちょっと待って」
(何が書いてあるんだ?)
俺は淹れたてのコーヒーと水のコップ二つ持ってテーブルに行く。
栞の前にカップを置いて自分の席に座り、新聞を広げる。
(へぇ〜、『魔物の紋章の正体がついに判明』か……なになに……犯人は魔王幹部コーラル……。あれ? 確か……俺が倒したのって、コーラルだったような……)
自分が倒した敵が魔物に紋章を付けていた犯人だったことに驚いていると、栞が手紙を差し出してきた。
「はい、朝日。あんた宛てよ、ほら」
「俺に?」
栞が頷く。手紙を受け取り、広げて読んでみる。
『拝啓 朝日殿
この度、貴殿を王都へ招集いたします。魔王幹部コーラルを討伐した際の詳細について、ご報告をいただきたく存じます。
招集に応じていただけるか否かを、以下の返答フォームよりご連絡ください。』
文面の下を見ると、「YES」と「NO」の文字が浮かび上がっていた。
「どうすればいいと思う?」
「さぁ? 好きにすれば。私が行くわけじゃないんだから」
「そうだな……よし、YESにしとくか」
俺が「YES」の文字を指で押すと、手紙の余白に続きの文字が現れた。
『招集に応じていただき、ありがとうございます。当日はこちらからお迎えに参じます。パーティーの皆様もぜひご一緒にどうぞ!
お迎え日時:20XX年X月X日10時30分』
「……だってさ。『パーティーの皆様もご一緒にどうぞ』だってお前」
「え〜めんどくさい……」
「いいじゃん、行こうぜ。王都」
栞はコップの水を一気に飲んで、
「はぁ、もう好きにすれば。……私、シャワー浴びてくる」
「あぁ、わかった」
(王都かぁ……まだ行ったことないから、楽しみだな!)




