あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!
一月一日。 窓から差し込む光で、俺はぼんやりと目を覚ました。外は刺すように冷え込んでいるんだろうが、風がないのか、驚くほど静かだ。今日はどこもかしこも休み。外には冒険者たちの姿もなく、騒がしい声も聞こえない。街全体が深い眠りについているみたいだった。
「今日の予定? ないね、そんなの」
俺はこたつの中に入って、芋虫みたいに丸まった。勇者だかなんだか知らねえけど、今日くらいはいいだろ。俺はここで、一生寝て過ごすんだ。誰に何を言われようと一歩も動かねえ。
こたつの上には、食べかけのみかんと煎餅の空き袋が散乱している。指先が黄色くなるまでみかんを食って、眠くなったら寝る。これこそが正しい正月の過ごし方だ。
「……幸せだわ」
畳の匂いを嗅ぎながら、俺は再びこたつの奥底へと沈んでいこうとした。
だが、その平和な静寂は、あまりにも理不尽な衝撃音によってぶち壊された。
バァァァン!!
「よう、朝日! さあ、酒でも飲んでパーッとやろうぜ!」
ドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきたのは、防寒着を雑に着崩し、片手に巨大な一升瓶を掲げた男――俺の師匠、後藤さんだった。
「うわぁっ!? ……びっくりした、心臓止まるかと思った……」
俺は跳ね起き、バクバクいう心臓を押さえながら後藤さんを睨みつける。なんだってこの人は、正月早々、人の家に勝手に入ってくるんだ。せっかくの「一生寝て過ごす計画」が台無しだ。
「……少しは遠慮ってものを覚えてくださいよ、後藤さん」
俺の呆れ顔なんてどこ吹く風で、後藤さんはガハハと笑っている。
「ハハッ、正月なのに湿気た顔してんじゃねえぞ」
後藤さんは俺の文句を綺麗に聞き流すと、洗面所で手を洗い、流れるような動作で俺の城であるこたつへと潜り込んできた。しかも、どこから出したのか湯呑みに、持参した酒をなみなみと注ぎ始める。
「ほら、お前の分だ。飲め。いらねえなら俺が飲むぞ?」 「……飲まないなんて言ってませんけど。いただきますよ」
結局、俺は抗うのを諦めて、こたつの反対側に座り直した。後藤さんが懐から出したのは、石みたいに硬い干し肉。それと、俺がさっきまで食っていたみかん。最近は金がなくて、大したものは買えないんだ。
「おい朝日、この小屋ちゃんと掃除してんのか? 隅に埃が溜まってんぞ」 「うるさいなあ、正月くらい掃除のことは忘れたいんですよ」 「それよりお前……『不老不死』だかなんだか知らねえが、お年玉はもらう歳か? それともあげる歳か?」
酒が回っているのか、後藤さんの質問は相変わらず脈絡がない。
「……自分でもわかんねえよ、そんなの。後藤さんがくれるなら、喜んでもらいますけど」 「ガハハ! 俺がやるわけねえだろ、バーカ! むしろ俺に寄こせ!」
そんな答えにくい世間話に閉口しながらも、勧められた酒を一口啜る。 ……驚いた。うまい……うまいぞ! 気づけば体の中からポカポカと温まってきて、俺の機嫌も少しずつ解れていった。
それからしばらく経ち、家の中は酒の匂いと、少し顔を赤くした俺たちの取り留めのない会話で満たされていた。 一升瓶が空きかけたその時、後藤さんがガバッと勢いよく立ち上がった。
「よし、飲み直すぞ! 次は俺の家にある秘蔵の酒だ。ついてこい!」 「行きませんよ! ゆっくり寝かせてくださいよ、この酔っ払い!」
俺は全力で拒否して床にしがみつこうとしたが、後藤さんの剛腕が俺の首根っこを無造作に掴み上げる。抵抗なんて、最初から無意味だった。
「苦しい、首が締まってる! 死ぬ死ぬ、ちょっと緩めて!」 「問答無用だ! 行くぞ!」 「ああっ、ちょっ、首が! 毛布が! 外、寒いんだってば!」
結局、俺はズルズルと冬の冷たい外気の中へと引きずり出された。
「……ったく。静かな正月はどこに行ったんだよ」
寒さに身を震わせながら、俺は重たい溜息をついた。けど、目の前を歩く後藤さんの大きな背中を見ていたら、独りきりの静寂よりも、こっちの方がずっとマシな気がしたんだ。
「――っ、ぶぇっくしゅん!!」
盛大なくしゃみ。 俺の鼻声が、雲一つない正月の空に、間抜けに響き渡った。
みなさん、あけましておめでとうございます!モヒです! いや〜、2025年もあっという間でしたね(笑)。去年は色々と忙しくて大変だったので、今年は心穏やかな一年にしたいと思っています。僕も今はこたつに入ってゆっくり過ごしています!
そういえば、甥っ子からこんなことを言われました。 「もうこたつは古いよ!今はエアコンがあるんだから必要ないじゃん!」 そう言いながら、自分もこたつに入っていく姿がすごく可愛かったです(笑)。
最近の子はあまりこたつに入らないんでしょうか? 僕は一人暮らしですが、部屋がそこまで広くないのでこたつを愛用しています。一応エアコンもつけているんですが……正直、電気代の請求書は見たくないですね。
え?「なんで両方使うんだ」って? それは「風情」があるからですよ! たまに無性にこたつが恋しくなる、あの感覚。説明しても甥っ子には理解してもらえず、ちょっと悲しかったです。
さて、年が明けました。みなさんもゆっくり正月を過ごして、(作中の)朝日みたいに自堕落な人間にならないように、あと太らないように気をつけてくださいね!(僕は去年の正月で2キロ太りました……)。 あ!あと「お餅」! 喉に詰まらせないように十分気をつけて!
それでは、みなさんにとって良い一年になりますように。 これからもよろしくお願いします。モヒでした〜!




