勇者(仮)授業参観に行く5
「待ってろよ!俺が助けてやる!」
俺はそう叫び、体育館の中へ踏み込んだ。
壇上のネズミ野郎は、近づいてくる俺を見て、ニヤリと笑みを浮かべた。
「助けてやる、ねぇ。まさか、君一人でここに来たのかい?あの時の女の子はどうしたんだい?」
ネズミ野郎は肩をすくめてみせる。やれやれというポーズをしてきた。
「てめぇ……何が目的だ!」
「さあ、どうだろうね。それを聞いて意味ある?まあ、いずれ知れるだろうから、後の楽しみにしな」
「はぁ?どういう意味だよ」
ネズミ野郎の周囲には、いつの間にか警棒やナイフを持った十数人の敵が、静かにフロアを囲むように並んでいた。俺が職員室で倒した人数を遥かに上回る数だ。
「さっきの廊下で戦った人数じゃ、まだ足りなかったか。お前、どんだけ手駒抱えてんだよ」
「僕の計画には万全の準備が必要でね。それに、君は**『若手のなんとか』**だそうじゃないか。これぐらいすぐ片付けられるでしょ?向こうで待ってるよー」
「おい!待て!ネズミ野郎!」
俺は一瞬で懐に飛び込み、ネズミ野郎に刀を抜き、切り付けようとした。しかし、何人もの敵が目の前に現れて、警棒やらなんやらで俺の刀を受け止めた。
キンッ!
火花が散る。しかし、こいつらは何人で俺の刀を受け止めているんだよ。
「まったく、君……僕と戦えるのはそいつらを倒した後だよ」
ネズミ野郎は壇上から悠然と指示を飛ばす。
「君たちはその刀とやらを折る必要はない。ただ、動けなくしろ。そして捕獲だ!」
一斉に敵が襲いかかってきた。警棒が頭上から、横から、下からと、まるで雨のように降り注ぐ。
「ちっ!」
俺は刀の腹を使って警棒を弾き、足元のナイフを避ける。人数が多すぎて、一人ずつ気絶させていく時間がない。
刹那一閃は強力だが、こんなに多いとまともに使えないし、刀が止められる可能性がある。この人数相手に連発すれば、すぐ体力がなくなる。
(どうする、斬らずに全員を抑え込むには――どうすれば)
「朝日!後ろの部屋! 木刀あるよ!」
後ろの部屋?
俺は、一瞬だけ目線をあきとに向け、すぐに戦闘に戻る。そして、迫りくる敵の警棒をあえて受け流し、その勢いを利用して一気に後方へ跳躍した。
跳躍した場所のすぐ後ろには、体育倉庫のドアがある。
「倉庫か……!」
俺はドアを勢いよく開け、倉庫の中へ飛び込み、すぐにドアを閉める。
バン!
何か使えるものはないのか。
「何のつもりだ、朝日くん。そんな所で籠城できるとでも?」 ネズミ野郎が嘲笑う声が聞こえてくる。
「うるせぇなあいつ」
俺は刀を一度下げ、深く息を吸った。
「なんか使える物ないのかな……あきと、木刀があるって言ってたのに……ん?これは使えそうだな」
その瞬間、勢いよく倉庫のドアが開く音がした。
「来いよ、ネズミ野郎の部下ども」
襲いかかってきた敵全員を、俺はさっき見つけた縄を持ち、一箇所にまとめて縛りあげた。
「よし、終わり」
俺はネズミ野郎にニヤリとしてやった。手数は多いが、無力化すれば、ただの多人数だ。俺には効かないぜ!
倉庫を出て、
「なあ、あきと!木刀なんて……」
俺の勘が今すぐ避けろと叫んでいる。体を逸らすと、いた場所に拳が飛んできた。
「あれ?やれたと思ったのに……残念」
「あっぶねぇーなー!」
着地したところを狙って、蹴りを入れる。
「全力の君と戦いたいから、移動しよっか」
気づいたら、下に魔法陣が展開されていて、気づいたらよくわからん場所に居た……




