勇者(仮)授業参加に行く4
主人公の朝日(俺)は、学校占拠事件に巻き込まれた際、ナイフで心臓を刺されたが、【不老不死】の能力で死を免れ、現在は裏で単独行動をとっている。
彼は敵の戦力を分散させるため、わざと騒ぎを起こして敵を誘い出す作戦を開始する。
しかし、立ち入り禁止の教室で見つけた大量のインコに驚いて倒れた音で、敵に居場所が知られてしまう。朝日は強敵に追われながらも職員室へ逃げ込むが、そこで待っていたのは、倒して気絶させていたはずの敵五人だった。
目覚めていた敵に囲まれ、朝日の作戦は失敗に終わり、絶体絶命の窮地に陥る。
「マジかよ……」
倒して寝かせていたはずの敵五人が、俺の目の前に立っていた。壁際に積まれていた彼らが、まるで幽霊のようにそこにいる。
「終わった〜〜」
俺は地面に倒れたまま、思わずそう呟いた。作戦は完璧なはずだったのに、まさか起きるのがこんなに早いとは。まあ、作戦なんて失敗がつきものだからな。
ダダダダッ
「あーも〜最悪!」
八人なんて相手にできないよ……
「ん?あれ、お前らここじゃないだろ?」
階段を降りて歩いて近づいてきた。それを見ながら、俺はゆっくりと立ち上がる。
「そいつを追って来たんだよ。ていうか、ボスから連絡来てないの?」
「来てない」
「え?」
……ま、いいや、と言って彼らは俺の前で立ち止まった。
「ん?」
俺は刀に手を置き、すぐに対応できる体勢をとった。
「そんな警戒すんなって」
「お前が大人しくしてくれれば、何もせずに済むんだよ」
「ていうか、確かお前若手のなんとかだろ?」
「あー、こいつか」
「ほんと?」
こいつら、少し油断してるな……
でも、この人数はきついな。どうしよっかな。
「んじゃまあ、職員室に入ってゆっくり話そうぜ」
「そうだな……」
職員室に入ろうとした瞬間、俺はドアの枠の部分を掴んで体を上に上げた。そして、前にいたやつの背中を蹴り、その上に立った。刀を鞘から抜き、片手で持ち刃を下に向けて、かっこいい感じで立つ。
一人でも倒れれば、どれだけ近くにいるやつも警戒して動けなくなる。
「おいコラ!どけ!テメェ!」
「うるさいな」
しゃがんで、首チョップで気絶させる。
どうする?どうする?なんか流れで刀抜いちゃったけど、俺、人を切りたくないんだけど……どうしよう……ここにいる全員気絶させようかな。
そんなことを考えていたら、七人が警棒やナイフを構え、俺をゆっくりと取り囲む。
まずはこいつらの武器を抑えよう。警棒は真っ二つに切って、ナイフはできるだけ使えないように二回ぐらい切る。
まず一人目。刀と警棒がぶつかり、警棒を真っ二つに切れたものの……警棒って意外に硬いな……
警棒を切られて驚いている隙に、後ろに回り込み首チョップ。
次に二人。上に刀を投げ、目線が刀にいっている間に二人を首チョップ。
四人目。落ちて来た刀を取って、ナイフを横から右、左と二回切って使えないようにする。こいつ対応力高いな……パンチして来た。
「背負い投げ!」
パンチして来た腕を掴んで背負い投げ。そのあと首チョップして気絶させる。
前後からパンチしてきやがった。こんなもん、しゃがんじまえばいいだけじゃん。しゃがむと、殴りかかってきた奴らが自滅していった。
「残り二人」
どこだ?
「………上か!」
刀でナイフの攻撃を受け止めた。
「ちっ」
「あぶねぇ〜」
もう一人は、真下から警棒で頭を狙って来た。上のやつを投げ飛ばして、体を反って避ける。
二人と距離を取る。
構えて、
「刹那一閃!」
一瞬で背後に回った。
「「っ!?」」
刀を鞘に納める。
カチン
その瞬間、二人の胸から血が出た。
「安心しろ。致命傷は避けた。じっとしとけば大丈夫だ」
今切った奴に近づいて、
「なあ、人質ってどこにいるんだ?」
「体育……館……だ」
「サンキュー」
予想通り! さて、後は敵を呼び寄せて戦う量を減らそう。
「おい、お前、援軍とか呼ばないのか?」
「言われなくてももうしてるよ」
「あそ。ならいいや」
切った二人に首チョップして気絶させた。
「このまま体育館に行くか」
今、複数の気配を感じたけど、もうすぐ着きそうだな。今は戦って体力を無くしたくないからな。すぐに窓から出て、ついているベランダから出るか。
「うわ!」
また腰を抜かしかけた。なんだこの植木鉢の量は。ベランダから体育館に向かうことはできなさそうだな。
「あ、まずい。窓閉めないと」
ちょっとずつ植木鉢をどかしながら移動するか。
バン!
勢いよくドアが開く音がした。
「おい!大丈夫か?」
「うぅ」
「気絶してるだけか」
「なぁ、こんなことする必要あるか?」
「言っただろ。必要なことだと」
「だけどよ!」
「おい、それ以上喋るな。殺すぞ」
すごい殺気だった声だ。恐ろしい。なんなんだこいつらは。
「逃げたやつを追え。三人ここに残って、こいつらを解放して帰れ」
ドタドタドタ!
指示と共に、新たな敵の足音が遠ざかっていく。残った三人の敵は、職員室に入り、倒れた仲間を確認し始めた。
(助かった!)
俺は植木鉢の山をどかしながら移動する。
やっと植木鉢の山から抜け出せた! 後は体育館に向かうだけだな。
少し時間が経って….…
「着いた……」
ゆっくりドアを開けて中を確認すると、壇上にあの時会ったネズミ野郎がいる。あいつは俺が小遣い稼ぎで受けた依頼『町の外にある村で、畑を荒らす動物を退治してほしい』で、畑を荒らした奴がネズミの姿をしたこいつだったんだ。畑に現れてどうして荒らしたのかはまだわからない。
ガラガラ
ゆっくりドアを開ける。
「あれ?来たの?朝日くんだったっけ?」
そう言いながら、こっちに近づいて来る。前会った時は大人しそうだったけど、今回はなんか違うな。危険な感じ。
「よぉ、ネズミ野郎。朝日だ」
「朝日!!」
あきとの声がして後ろを見ると、あきとのクラスのみんなが縛られている。
「待ってろよ!俺が助けてやる!」




