拝啓 お父さん、お母さん
拝啓 偉大(?)なお父さん
俺はあなたたちの住む世界とは違う世界で、楽しく暮らしています。この世界には魔王がいるようで、そいつを倒す勇者になるために日々頑張っています。
後藤さんという方から、剣技や鍛え方など色々なことを教えてもらっています。後藤さんはかつて剣技や魔法を使って魔王と戦い、負けて左足を無くし、今は看守長をやっています。
俺はどことは言えませんが、ランダム転生でとある場所に飛ばされ、捕まり、後藤さんに助けてもらい、弟子にしてもらって、今は日々鍛えられています。
後藤さんの修行は、あまり過酷ではありません。
ただ、後藤さんは色々な技を見せてくれるんですが、やり方を教えてくれません。見てても早すぎて、全然わかりません。剣技を教えて貰えなく、見てろと言われます。
後藤さんの口癖があります。
それは、「技は見て盗めって、ラーメン屋の店主がよく言うだろ?」です。毎日言われます。お父さんがバイトでラーメン屋さんで働いてたって、酒を飲むとよく話してくれましたね。バイトしてたときに、店主から「店の所有権をやる」って言われたそうですね。すごいですね。なぜもらったのか分かりません。どんな弱みを握ったんだですか?話を戻しますと、23歳のときにもらったって言ってたのが懐かしいです。でも、その所有権の紙を破ってやったってドヤ顔で言ってたの、いまだに理解できません。
なぜ破ったんですか? なぜ? なぜ?
破らなきゃ、毎日好きなだけラーメン食べられたのに、なぜ?
理解できません。ドヤ顔したのも理解できません。
今も、どっちも理解できません。
そのクソなお父さんに質問です。
ラーメンに技術は必要ですか?
それと、さっきの僕の疑問、ちゃんと答えてくださいね。
多分、愛してるよ親父。多分な。
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拝啓 偉大(?)なお母さん
僕は今、異世界で大変な思いをしながら暮らしています。
でも、この世界で日本人に出会い、その人に技術を教えてもらうために弟子入りしました。
修行では、毎回師匠の技を見るたびに死にかけています。
たとえば、ある雨の日。
「大技を見せてやる」と師匠が言うので、外に出て刀を構えました。
あ、僕はもちろん遠くから見てたんですけど、師匠の刀が黄色く光ったと思ったら――一振りで周囲が眩しく輝き、感電死しかけました。
どうやら空中の雨を伝って、遠くの敵にも攻撃できる技らしいです。直撃を受けたら、上位の実力者でも一発で倒れるそうです。かっこいい技なんですけど、仲間もまとめて殺しかねない技なので、パーティーの皆さんは大変だったでしょうね…。
さて、今日はお母さんに、お父さんの秘密を2つほど教えて差し上げます。
ひとつめ。
お父さん、浮気してます。
この前一緒に飲んだときに、「俺の愛人」とか言って、見せてきました。
不思議ですよね、俺が言わないと思ってるんです。
メールのやりとりも見せてもらいました。
「大好き」とか「今度いつする?」とか、まぁ色々とありました。
すぐに携帯を奪って証拠を押さえたので、慰謝料請求したらどうですか?
ふたつめ。
お父さん、キャバクラに行ってます。
支払いは、お母さんのカードです。
「へへっ」って自慢されました。お父さんの財布、見てみてください。
以上、お父さんの黒い真実でした。
愛してるよ母さん。
アサヒより
よし、書いて見たけどこの手紙どうしよう。捨てる?一応取っておこう。
「おーい朝日早く修行を始めるぞ!!」
「はーい今行きま〜す」
俺は手紙を置いて、後藤さんから借りてる小屋を出た。俺は今後藤さんから借りてる小屋を家にしてる。
「よし行くぞ。見とけよ」
今日は晴れなのだが後藤さんが刀を振り上げた時、黒い雲が来て、雨が降り始めた。そして、また師匠の刀が光ったら、雷が沢山落ちてきた。それはもう大量にそして、何故か後藤さんの家は無事だったのに俺の家(小屋)は燃えに燃えまくっていた……
俺の大切な手紙が……