勇者(仮)授業参観に行く
「じゃあ、頼みますね……!本当に助かります!」
ののかちゃんが頭を下げ、俺は苦笑いしながら手を振った。
「気にしないで。まあ、授業参観くらい、どうってことないだろ」
午前10時。
あきとの通う小学校に到着した。
校門をくぐると、すでにたくさんの親たちが集まっていた。
「うわ……親御さん、多いな」
「保護者の方は、こちらで受付してくださーい」
俺は受付の場所に行く。なんだか緊張する。
「おはようございます。手荷物検査をさせていただきます。刀は、こちらでお預かりします」
「わかりました」
俺は受付の人に刀を渡し、身に着けて来た斜め掛けバッグも渡す。こんなに厳しいものなのか?
「はい、確認できました。どうぞお入りください」
俺は指さされた方向へ進み、階段を登り、下駄箱に着いた。
「えーと、三年一組は3階の端っこだったな」
3階まで登り、三年一組にたどり着いた。入り口前にあった机の上の名簿に名前を書き、教室に入ると、友達と話しているあきとを見つけた。
「ちゃんと静かにしてろよ、あきと」
するとあきとがこっちに気づいて、近づいて来た。
「頼むぞ、あきと」
「わかってるって。今日は真面目にやるよ!」
「……その“今日は”ってどういう意味だ?」
そうこうしているうちにチャイムが鳴り、あきとは席に戻ってしまった。
教卓の前に担任の先生が立っていた。気づかなかった……何者だ?しかも魔力が使えない……なぜ…………
「皆さんこんにちは〜三年一組の担任松本です。では、三時間目を始めます。号令!」
「起立!気をつけ!お願いします!」
あの子、このクラスの級長かな。
教室の中はすでに参観モード。
子どもたちは少しそわそわしつつも、先生の声に耳を傾けている。
そして、あきとはというと――
「なんか今日はあきと、静かだな」
「ふん!仕方ないだろ!うるさくすると姉ちゃんがうるせえんだよ」
「へえー、あのお前が」
「あのってなんだよ」
すでに問題児の片鱗を見せていた。
授業が始まってしばらく。
先生が言う。
「じゃあ次、発表する人〜?」
あきとが立ち上がった。
「はい!俺の姉ちゃんは色々とうるさいです!」
「お、おぉ……今日そのお姉ちゃんは来ているのかな?」
「来ていないです!」
「それは……今日、誰が来ているの?」
「同居人の朝日です!」
と言って、俺の事を指差してきた。
「今俺の名前出すところか!?」
教室中がクスクス笑いに包まれる。
あきと、お前……帰ったら覚えてろ。
「えーと、確か冒険者の朝日さんですよね?」
「え?そうですけど……なんで知っているんですか?」
「冒険者の中で有名ですよ。若手のホープって。私は元冒険者で、そういう話も聞くんですよ」
「そうなんですか……お恥ずかしいです」
みんな笑ってる……まあいいか。
バン!
急にドアが開き、ぶっしょうひげを生やした男が入って来た。口元がニヤッとしている。何者だ?
「どうも、ふひひひ。若手のホープとやら……」
「なんだ?アンタは」
ピーンポンパンポーン
「あーあーテステス。え〜今、この学校を〜占拠しました!!」
「っ!?」
俺は刀を構えようとしたが、構えられない。さっき預けたんだった。
「くっそ」
「何者ですか、あなたは?」
と先生が前に出た。
「ちょ、あんた危ないぞ!」
「ご安心を、私は元冒険者です」
先生は男に手の平を向けた。
「ほう?俺たちに歯向かうのか?」
「だったら何?」
「いいぜ?ほら来いよ」
「ファイアボール!」
何も起こらない。
「なんで!?なぜ撃てないの?」
「ふ、だっさ」
「なぜ?何をした!」
「こういう学校には、ある装置が設置されている。魔力を封じる装置だ。それは生徒が魔法など使わないようにするための安全装置。そして、この学校の先生たちは魔力を使える。だがしかし、今その装置は我々の手の中にある。そして、今この学校の先生達は魔力を使えなくて戸惑っているだろうな。まあつまり、魔力を使えないお前らは無力だ!!」
男は笑い出し、危険を察したのか先生が後ろに下がった。
「くっ」
俺は後ろに下がった先生に近づき、こっそりと尋ねる。
「先生、預かっている武器とかはどこにあるんだ?」
俺は魔力が使えなく、ほぼ無力な上に刀が無ければ無力に近い。
「多分、予定では職員室に置いてあるはずよ」
「了解。それより、これからどうする?」
「そうね…………」
「くくく、どうした?作戦会議か?お前らじゃ無理だ」
「ふん」
「うっせ」
「ふっ、ほら、来いよ」
男はほらほらと招き猫みたいに手を招いている。
俺達は一気に距離を詰める。
「へえー、なかなかやるじゃねーか」
男は俺のパンチを避け、蹴りを入れて来た。地面に叩きつけられた。手でガードしたが、魔力がないから結構痛いな…………でも、今わかったことがある。
「先生!作戦決行!!」
「了解!」
「さくせんー?そんなんで俺を倒せるのか?」
先生がやつに飛びかかった。俺が男の足を蹴って倒し、腕と足を抑えて取り押さえた。
「先生!こいつの腰にナイフがあった」
俺は先生にナイフを投げ、他にないか探す。
「さて、君たちの目的はなんだい?」
「ふっ、これで勝ったと思うなら大間違いだぞ」
「ん?」
男の体が光り出した。
「なんだ?」
「はっ、逃げろ!朝日君!」
その瞬間、男が小規模な爆発をした。みんな爆風で壁に叩きつけられた。
「うわぁーーん。おかあーさん!うわぁーーん」
子供達が泣き出した。クラスの中がパニック状態だ。まずいな。
「直ぐに決着を付けないと」
周りを確認するが、煙で見えない。
「誰か!窓を開けろ!!」
俺がそう言うと誰かが窓を開け、だんだん煙が薄くなっていく…………まずい!やつが先生にナイフを刺そうとしてる。先生、気付け!!
「先生!危ない!!」
俺は先生を突き飛ばし、ナイフで刺された。
「グハッ」
「ん?あれ?先生を刺そうとしたんだけどな」
「グッ」
まずい。意識が薄れていく。
「心臓を刺した。もうすぐ死ぬだろう………おい!てめぇらもこいつみたいになりたくなかったら黙って俺に付いて来るんだな!」
倒れた朝日を見た先生は、
「すまない。仇はとるよ」
そう言い、みんなと犯人について行った……
どうも皆さん、こんにちは!
しばらく時間が空いてしまい、申し訳ありません。最近、私事で忙しく、なかなか書く時間が取れませんでした。読んでくださる方が離れてしまっていないか心配で、夜も眠れません。
皆さん!少しお待たせしてしまいましたが、どうか興味を失わずに、この続きを読んでいただけると嬉しいです。今日はここまで!では、皆さん!さようなら!




