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勇者(仮)の俺の話  作者: モヒチャン


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53/69

俺{勇者(仮)}って街救ったんだよね?

隕石事件から数日後、俺はギルドに呼ばれ、街へ向かっていた。街はすっかり元の活気を取り戻している。そして今、俺の名前は「この街で知らない者はいない」というくらいに広まってしまっていた。

「見て、あの人が隕石を斬ったっていう……」

「へぇ、あんな普通そうなのに……」

「子どもたちを助けてくれた妹さんもいたんだってな」

市場を歩いているだけで、ちらちらと視線が集まる。俺――朝日は気恥ずかしくて仕方がなかった。

「……なぁ栞、なんか見られてる気がするんだけど。それに俺、妹なんかいないんだけど。一人っ子なんだけど……」「気のせいじゃないんじゃなーい? 知らなーい」

今回の隕石の被害は“ゼロに近い”。そう、ゼロではないのだ。二次被害によって被害が出てしまった。

どういうものかというと――俺と後藤さんが隕石を斬りまくった結果、その隕石は全部街の外に落ちた。ここまでは良かった。だが、その衝撃で地面が揺れ、揺れに耐えられなかった建物があちこちで倒壊したのだ。

壊れたのは家の倉庫や犬小屋など。街のあちこちから悲鳴が上がった。

「あ゙ぁぁぁあ!俺の貯めてたへそくりが!風で飛ばされる!くそ冒険者め!!覚えてろよ!!」

「うちの犬小屋建てるのにどれだけかかったと思ってる!!!」

街を歩いていると、犬にまで親の仇のような目で吠えられる。

「わん! わんわんわん! わん!(おい!俺の家を壊しやがってどうしてくれるんだ!くそ野郎!)」

俺には犬の言葉は分からないが、何か酷いことを言っている気がしてならなかった。……悲しすぎる。犬小屋なんてそんな金かからねぇだろ! 街を守ったんだよ俺!? それでこの仕打ち!? 酷すぎない!?

そんなことを思いながらギルドに到着し、ドアを開ける。

「皆さん! 朝日さんが来ましたよ!」

受付嬢の声に、人がどんどん集まってきた――が、大半がおっさん。こういうときは美女に囲まれるハーレム展開がよかった……。

「WOW、朝日……おじさん達に人気ね。まるで“おじさん垂らし”」

「やめてくれ! なんだそのおじさん垂らしって!」

「ちょっと道を開けてくれ」

人々が退くと、ひときわ存在感のあるおっさんが前に出てきた。

「はじめまして朝日さん。あっし、ディッケルと申します。以後お見知り置きを」

「はじめまして、朝日です」

ディッケルという人が手を出して来たので握手をした。

「今回、朝日さんにはこの街を救っていただいた御礼を渡したくて……」

「御礼ですか……」

「はい、こちらになります」

そう言ってディッケルさんは刀を差し出してきた。

「これは……?」

「はい、あっしらにはこんなものしか渡せませんが……朝日さんが斬ったでかい隕石から取った隕鉄を使って鍛えた刀でして」

「こんなの、俺みたいな奴が持っていい代物じゃありませんよ……」

「いえいえ、ぜひ受け取ってください! 街を救ってくださったのですから。それに、朝日さんが腰に差している“いかにも安物”な刀で魔物を倒せると思いますか? いいえ! すぐに折れます! ですがこの刀は違う! さあ、受け取ってください!」

そう言って刀を胸に押し付けてくると、ディッケルさんはそのまま去ってしまった。

「……良かったじゃない。タダで刀もらえて」

「……そうだな。まあ、いっか。――帰る前に依頼を見てくれ」

俺と栞は依頼掲示板へと向かい、こなせそうな依頼を探すのだった。新しいこの刀を試せそうな依頼ないかなー

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