ラッキーラッキーアンラッキー
何故こうなった……?
いやほんと、マジで何がどうしてこうなった?
俺は今どこにいるかと言うと──**刑務所。**それも異世界の。
何が一番やばいかと言うと、みんなが見てなかっただけで、このクソドS看守によっていろんなとこ叩かれてた。もう、いろんなとこを。
ほんと最悪。こいつ、質問するたびに鞭で叩いてくる。
いや尋問ってよりも完全に趣味でやってるだろコレ。
ちょっと時間を巻き戻して、1日ほど前に戻ろう……。
⸻
「何故あんなとこにいた?」
「知りませんよ! 俺も気づいたら、あそこにいたんですってば!!」
バチン、バチン、バチン──3回叩いてきた。
即三連打。テンポ良すぎだろ!打楽器かよ!
「きゃははは、そんな訳ないだろ!!」
また叩かれた。
……え、笑ってる!? この女、やっぱ頭おかしい。
いや、おかしいを通り越して怖い。もう無理。
もうね、何発叩かれたか分からないレベルで鞭の嵐。この質問もこれで50回目くらいなんだけど、普通さ、もう意味ないと思って別の質問に変えるよね?
何こいつ、馬鹿なの? 頭スライム?
頭のレベル低すぎんだろこいつ。
……いや、それとも。
それとも、こいつ、ドSなのか?
そんなこと考えてたら。
「痛っ!? もうやめて!! やめてください!!」
なんかすごい怒ってる。どうしよう。
「いたっ!? なんで叩いたんですか? なんで!?」
「うーん、うるさかったから? ……ていうか君さ、私が何発も叩いてるのになんで跡がないんだ。再生能力か。ふ〜ん、面白い。これは楽しめそうだ」
まさか、俺はその可能性を忘れてた。
コイツ、ドSじゃなくてサイコなのでは?
「楽しめそう」とか言ってるし──いや、もう無理!!
「助けて!! 殺される!!」
「うっさいっつってんだろうがぁ!!」
そう言って鞭を5発叩いてきた。もうやばすぎるって。あなたの声の方がうるさいって。
「うるさくすると他の看守が来るんだ!! また私は減給になりかねん。第一、**“拷問迷惑”**言われると大変なんだわ。だから黙れ!!」
また何発も叩かれた。瞬きする間に五発くらい。
もう無理、もうえらいこっちゃ。
こいつ前も減給されたって言ってたな。
あと“拷問迷惑”ってなんだよ。近所迷惑的なやつか?
無理だ、限界だ……でももうヤケだ! 叫んでやる!!
「誰か!! 助けて!! 看守に殺される!! もう無理!! 誰かぁぁあ!!」
⸻
すると、ダッダッダッと人の走る音が聞こえて──
バン!!
「どうした!! 何があった。……また、貴様かゴウトウ!!」
「ひぃっ、お願いします!! 減給だけはどうかお許しをぉぉ!!」
綺麗な土下座だ。
誰なんだこの人。そんなにヤバい人なのか?
確かに強そうだし、がたいもいい、筋肉もあるし、タバコも吸ってる。
今で言うイケおじだ。将来あんな風になりたいな。かっこいいからな。
「後藤さん、許してください!!」
「え、まさか日本人ですか?」
「ん? 君はまさか日本人かい? ほぉ……嬉しいな。同郷に会えるなんて。……どれどれ、君は何を犯したんだ?」
「その〜ですね……」
俺の罪状を見て、後藤という人はピタッと止まった。
くわえてたタバコをポロリと落とした。やばい。
「運ないね、君。……あれだろ、転生ランダムでこんなとこに飛ばされたんだろ。
男としては羨ましいよ。女子風呂なんてな」
「………クソが。転生してそうそうこれはないだろ。
確かにちょっと嬉しかったけど、すぐに逃げましたよ俺。
出たと思ったら露天風呂で、屋内よりも人が多くて……中に魔法を使える人がいて逃げられなかったんです。それに、さすが異世界ですね…………」
「そうだな。良かったな〜、男の夢を叶えられて。羨ましいな〜」
……ダメだこの人。まったく話聞いてない。
それでいて、この人が“看守長”らしい。
さすがにすぐには釈放は出来ないらしいが、
例の鞭女は、もう俺を**“見張るだけ”**になったらしい。
──ラッキー。
そういえば、この女なんか言ってたな。「再生能力」だっけ。
あれ、俺ほんとに持ってるのか?
えーと、確か異世界ものって、ステータス確認できるんだよな。
「ステータス表示!!」
どうもモヒです。エピソード4どうでしたか?僕はこのエピソードを書いてる時血の涙を流しながら書きました。白いスマホケースが真っ赤になってしまいました笑。自分で書いてるのにね……
エピソード5も近日中に載せたいと思っています。良かったら、見てみてください。おっと時間が、
それでは次のエピソードで。