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勇者(仮)の俺の話  作者: モヒチャン


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38/69

みんなとご飯食べた時の勇者(仮)の俺の話3

魔導剣士となった俺は、この日“食事当番”。

同居する仲間たちのために、腕によりをかけた手料理をふるまうことに――なるはずだった。


だが、準備に取りかかる前に事件は起きた。

正晴が、大暴れ。


「おまえ、罰として料理手伝え!!」


怒った俺は、正晴を強制的に料理を手伝わせることになった。


俺がみそ汁・おにぎり・寿司の仕込みを担当する一方で、

正晴はツナマヨの具づくり、合わせ酢の調合、そして寿司の握り担当に――!


ふざけながらも、なぜか途中から「寿司職人モード」に突入する正晴。

神?のような手さばき(※本人談)で寿司を握るその姿に、不安と笑いが入り混じる。


そんな中、ついに料理が完成!


・ツナマヨおにぎり

・味噌汁

・マグロ&サーモン寿司


という、当番とは思えない豪華メニューがテーブルに並び、全部食い終わった後のお話!!

食後――


あたたかいお茶を飲みながら、みんながまったりしていたそのとき。


「さてと。じゃあ、デザート食べない?」


栞が立ち上がると、みんなの目がキラリと光った。


「デザート!? 今日、そんなのまであるのか!?」


「ふふっ、今日は特別にね。私が作ったの」


「うわ、栞さんありがとう〜!」


「なんだ?プリン?ケーキ?……まさか芋系か?」


「正晴、静かに。邪魔しないの」


「はーい……」


そして、テーブルに運ばれてきたのは――


チョコフォンデュセットだった。


小鍋にトロトロに溶かされたチョコが湯気を立てていて、

そのまわりには串に刺されたイチゴ、バナナ、マシュマロたちがずらりと並んでいる。


「うわ~~~!!」


「なにこれ最高!!」


「こっ、これは……甘くて……美味しいやつだ……!!」


「でしょ? みんなで食べてね」


栞が笑顔で差し出す。


その瞬間、あきとの目がギラリと光った。


「よーしっ!!俺、イチゴで一番乗り!!」


あきとはイチゴの串をひったくるように取ると――

勢いよくチョコに突っ込もうとする。


だが、そのとき――


「ちょっと待ったぁあああ!!」


ののかの声が響いた。


「……」


手がピタリと止まり、あきとの顔に冷や汗が伝う。


「……なにその手? なんで……イチゴの先っちょに手があるの? あんた、どさくさに紛れて指も入れようとしてたでしょ?」


「えっ……イチゴ……持ちたいから……」


「持ちたいから? じゃないでしょ!? 串を持ちながら使って!」


「え、なんでわかったの……」


「誰だってわかるわよ!」


ののかはピシッと指をさして言った。


「私にね、最愛の弟を殴らせないで。いい? わかる?」


「ううっ……ひゃ、はいぃ……」


あきとは震えながら、おとなしく串を持ち直した。

それでも、“隙があれば手でいこう”という野生の本能は消えきっていないようで、目だけはチョコに釘付けだ。

ののかはそんな弟を、横目でじっと警戒していた。


……と、そのとき。


「……何してるの?」


――ののかの声が、また低く響いた。


「ひっ!」


全員が声の方を見ると、正晴が、こっそりチョコ鍋に自分の指をディップしようとしていた。


「す、すいませんでしたっっ!!」


すぐに両手を挙げて正座する正晴。


「……果物とかあるでしょ?」


「あります……」


「はぁ、ほんと、もー!!」


ののかはため息をつきつつ、栞から追加で配られたおしぼりで、あきとと正晴をふたたび“消毒タイム”へと追いやった。


そして、ようやく。


「今度こそ、ちゃんと食べよ? ね?」


「「はーい……」」


みんながそれぞれ串を手に取り、チョコにくぐらせて、ぱくり。


「あっま~~!!」

「うま!!」

「これ、天才のやつだ!」


「マシュマロとチョコ、やば……!」

「イチゴ最高!」


「俺はバナナが一番だな……うん、うまいなバナナ」


「ぷッ……猿」


「はぁ?」


「あら?何かしら?お猿さん?」


「……お前さ、いっつもそうだよな。いちいち刺してくるっていうか」


「刺してるのはそっちでしょ。いつも言い返してきて……ほんと、子ども」


「子ども!? それは――」


「――はいはい、ストップ!」


ののかが割って入る。


「今、せっかく甘いチョコ食べてるんですから、口まで苦くしないでください」


「……まあ、確かに」


「ほら、2人とも謝ってください」


「……悪かったな、ちょっと言い過ぎた」


「……私も。ごめん」


俺たちは謝った後、思わず笑った。


「それじゃ、ちゃんと食べようか」


甘いチョコと、温かい笑い声が、リビングを満たしていく。

とろけるような団欒。甘くて、あたたかい時間。


そんなひとときが、少しだけ特別に感じられた。

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