勇者(仮)飯を作る
俺は今、一緒に住んでいる奴らに俺の手料理を振る舞うため、キッチンで料理を作っている。まぁ、今日の夜ご飯と朝ご飯を作るのは俺。1人2食作る感じ。
え?正晴はどうなったかって?
正晴はな――あの後、気絶してたかと思ったら急に起き上がって俺に殴りかかってきた。だからぶん殴ったら、えらく怒ってな。
数時間前に遡る――
「テメェ! よくもやりやがったな! まさかこんなきついパンチ喰らうとは……」
それを言うと黙りこくったので、
「喰らうとは?」
と聞くと、
「……テメェ、生き返らせてもらった恩はないのか!!」
「ないかな……」
俺がそう言った瞬間、正晴は部屋の端に置いてあった木刀を手に取った。
「し、栞! じゅ、重力魔法! 急げ!」
「そうはさせるか!!」
こいつ、先を読んで詠唱を止めようと栞に向かって突っ込んでいく。
普通なら栞は詠唱なしでいけるんだが、今回は家の中で範囲が狭いから失敗しないように詠唱するつもりなのだろう。
くそ、栞は詠唱中だから動けない。なら俺が――
俺も走り出すが、正晴の方が速い。もう少しで栞に届く……!
もっと速くなりたい!!
そう願った瞬間、気づけば俺は栞の前に立っていた。
目の前には木刀を振りかぶった正晴。
……どういうことだ?
考えるのは一旦やめて、正晴を迎え撃つ。
正晴はジャンプして俺をぶっ叩こうとしているが――
しかし! 空中戦は俺のお箱だ!
木刀を避けるために一歩後ろへ下がり、不発に終わった瞬間――
振り下ろされた木刀を勢いよく押して正晴の体を縦回転させて、蹴ってぶん投げる。
「オッケーよ、朝日!」
「よし、撃て!!」
「グラヴィティサークル!」
正晴は俺たちに突っ込もうとした勢いのまま、何かにつまずいたみたいにすっ転んで、そのまま地面にへばりついた。
しばらく落ち着くのを待って、落ち着いたから魔法を解きリビングに連れてってリビングの椅子に座らせた。
「……ふぅ。やっと落ち着いたか」
「もう……木刀持って走って来た時本当に怖かったんだから」
夕方の光が差し込むリビングには、どこかくたびれた空気が漂っていた。
正晴はというと、さっきまで暴れまわっていた反動か、今はテーブルに突っ伏している。
「お前な、こっちもなだめるの苦労するんだよ」
「……だって……痛かったんだもん……」
「痛かったじゃねぇよ。……というかお前、俺が殴ったところ回復してるよな。結構強めに殴ったから、腫れたりしてもおかしくないのに。なんで?」
「……教えない……」
栞が半分呆れ顔で肩をすくめる。
「ほんと、神様って面倒くさい生き物ね。ほんとに神なの?」
「俺もそう思うぞ」
俺と栞の意見が珍しく一致したところで、ようやく正晴が顔を上げた。
「……うぅ、もういい……許す……」
「なにその許し方」
「いや、俺が悪かった。許すから……何かうまいもんでも食わせてくれ……」
「……は?」
「うまいもの……心の傷を癒すには食事しかない……」
「いや、何か知らんが被害者面すんなよ……」
でもまあ、ここまでこじれた空気を戻すには、飯が一番なのも事実だ。
「なら正晴、手伝え」
「ええええ……」
「お前が一番文句言ってたんだから働け」
「くっ……理不尽……」
そして、今に至る。
「おい正晴」
「ん?」
「お前、酢飯作っとけ」
「……あぁ? 酢飯? 寿司でも作るのか? 寿司なら俺が握ってやるよ」
「本当に知ってるのか? 普通なら頼みたいところだけど、お前だと不安だな」
「失礼だな。神をなんだと思ってんだ。俺はな、有名な高級寿司屋に弟子入りして美味い寿司の作り方を学んだんだぞ」
こいつドヤ顔して来やがる。
「へぇ〜、まあ寿司で間違えることはないか」
「ん? お前俺のこと信用してるのか?」
「…………」
「おい、なんか言えや」
「よし、じゃあ、米炊こっか」
そう言って胸ぐらを掴もうとする正晴をあしらって、えーと、確か……親父が言うには酢飯には少し硬い米がいいらしいから、水を少し減らして炊くんだったな。
「少し水が少ないんじゃないのか?」
「ん? いや、これでいいんだ。酢飯は少し硬い方がいいらしいから」
「あぁ〜、そういえばそんなこと大将言ってたような気がするぞ」
「ん、じゃ炊飯器スタート」
ピー
「じゃあ正晴は、酢飯の元となる合わせ酢を作ってくれ」
「り」
「り? なんだそれ? どういう意味?」
「知らないのか? 最近の若者は了解を“り”と言うらしいぞ。知らないの〜? おじさんだなー」
なんだこいつ。ドヤ顔までしやがって、
「ばーか、それはメッセージを送る時に使うんだよ。日常会話で使うわけないだろ」
「知るか、そんなこと!」
ふてくされてる。
「なぁ、朝日」
「どうした?」
「合わせ酢ってどうやって作るんだっけ」
「はぁ? あんなにドヤ顔だったのに? わからない? 弟子入りしたのにわからない? 嘘だろ」
「うるさいな、早く作り方教えろよ」
「はいはい、いいか? 今回は米二合で作るから、米酢:大さじ4、砂糖:大さじ1.5~2、塩:小さじ1/2~1をこの容器に入れて、砂糖と塩が完全に溶けるまでよく混ぜといて」
「りょうかーい」
じゃあ、俺は味噌汁を作るか。まず、材料は
•水:800ml
•顆粒だし:小さじ1.5〜2(またはだしパック1個でオッケー)
•絹ごし豆腐:1丁(300g程度)
•乾燥わかめ:大さじ2
•長ねぎ:1/2本
•味噌:大さじ3〜4(お好みの濃さで調整)
具材を切る:豆腐は1.5cm角に切る。乾燥わかめは少量の水(分量外)で戻しておく。長ねぎは小口切りにする。
だしをとる:鍋に水と顆粒だし(またはだしパック)を入れて火にかける。だしパックを使う場合は、沸騰したら指定の時間煮出して取り出す。
具材を煮る:だし汁が沸騰したら、豆腐と水で戻したわかめを加え、豆腐が温まるまで煮る。
味噌を溶く:火を止めるか、ごく弱火にし、お玉に味噌を取り、だし汁で溶いてから鍋に戻し入れる。
仕上げ:味噌を溶き入れたら長ねぎを加え、沸騰直前で火を止める。器に盛り付けて完成。
なんか料理番組みたい。でもまだ、器に盛り付けはしない。当たり前だけど……で、お味見ターイム♪
「どれどれ〜、うーん、もう少し塩味が欲しいな。もう少し味噌足すか」
俺は味噌汁に少し味噌を足して、味見をすると、
「うん、上出来!」
「おーい、こっち出来たぞ。この後どうすればいい?」
「はいはい」
「じゃあ次は、おにぎり作るから、その具ツナマヨ作って欲しい」
「材料は?」
「材料は、ツナ缶:1缶、マヨネーズ:大さじ2〜3、塩:少々、こしょう:少々。今言ったの準備して」
「オッケー」
「準備ができたら、ツナ缶の余分な水分を抜いて、この容器に入れてマヨネーズを混ぜて、塩とかこしょうを入れて完成。わかったか?」
「まぁ、だいたいは」
「んじゃ、俺はスーパーで買った魚を捌いていくとするか」
なんかスーパーでマグロのミニ版の魚が安売りしてたからそれを買った。それとサーモン。まぁ、当たり前だけど養殖のサーモンだね。もしかしたらこの世界にもアニサキスがいるかもしれんからな。アニサキスってちょっと怖いからな。
まずはマグロを捌いて、頭・骨・尾・ひれなどのアラを取り除いて、取り除いたやつは明日の朝の味噌汁の出汁に使うとしよう。
「よし、マグロ捌くの終わり、次にサーモン」
「おーい、ツナマヨ完成したぞ」
「おっ早いな。ちょっと待っとけ」
ピロピロピロピロ
俺が喋ってる時に鳴りやがった。
「おーい朝日〜ご飯炊けたぞ〜」
「あぁ、ちょっと待っとけ」
俺はサーモンを捌くのを後にして炊飯器に向かった。
「よし、開けるぞ」
「いいぞ」
炊飯器を開けると、
「「「おぉ〜〜」」」
「美味しそうだな」
「だな」
「だね」
「ん? なんでここに栞がいるんだ?」
「あんたたちを見張りに来たのよ」
「見張り?なんで?」
「あんたたちが作ったら、『よし、みんなにんにく増し増し料理一丁上がり。ほら、みんなこれいっぱい食ってスタミナつけろ!』とか言ってきそうだから、見張りに来たのよ」
「あぁ?そんなわけないだろ」
「あるわよ」
「あるな」
「いや、ないだろ。なんで正晴もうなづいてるんだよ」
「私は事実を言ってるだけよ」
ドヤ顔でうるさいなぁ。
「ほら、料理の邪魔だから出てけ」
「邪魔って」
「料理してる俺たちの邪魔になってる。現に今もそうじゃん」
「邪魔、邪魔」
俺に続いて正晴も言ってきた。
「ほら、出てけ、出てけ、出てけ」
「「出てけ、出てけ、出てけ」」
俺と正晴が出てけコールをしていたら、栞がキッチンから出ていった。
よし、俺は決めた。
「よし!邪魔者がいなくなったな!さぁ正晴、料理の続きをしよう!」
俺がそう言うと、正晴も察したのか
「そうだな!さぁ続けよう!」
俺たちがそう言って笑っていると、栞がキッチンに入ってきて、
ドカ!バコ!パーン!バキ!パン!パン!
「あんたたち!調子乗りすぎなのよ!」
俺たちは顔や体中に青あざやたんこぶを作った。
「「すみませんでちた」」
やばい、呂律が回らないぞ。さっきアッパーされたからかな?
「声が小さい!もう一回!」
「「ひっ」」
「何?」
「「にゃんでもありまへん」」
「もっと大きな声でもう一回!」
「「す、すみませんでした!」」
やばいぞ。めっちゃ怒ってる。
「もう一回!もっと大きな声で!!」
「「すみませんでした!!!」」
「よし、じゃあ夜ご飯楽しみにしてるから。よろしくね?」
「「お、お任せください!」」
栞がキッチンから出ていくのを見届けて、俺は自分の再生能力でさっきの怪我を治していって、正晴を見るとなんもなかったみたいに綺麗になっていた。
「何したら、一瞬で戻るの?」
「ふっ、俺は修復魔法を持っているからな」
「ちょっと俺にもやってくれ」
「はいはい」
俺の顔がみるみるうちに治っていく。すごいなこれ。
「修復魔法は回復魔法的なやつなのか?」
「まぁそうだ。この世界の回復魔法は擦り傷を治すぐらいしかできないから、上位互換的なやつかな」
なるほどな。こいつパーティに入れて正解だったかも。
「それは部位欠損はどうなるんだ?」
「治るよ。でも人を生き返らせることはできないよ」
「おっと、料理の続きをしよう」
「そ、そうだな。あんな目には会いたくないし……」
俺たちは改めて炊飯器を見た。
「美味しそうだな」
「だな」
「じゃあ、二合と三合に分けて、そのうちの二合をさっきの合わせ酢と一緒に混ぜて」
「オッケー。残りの三合はどうする?」
「残りの三合はおにぎりにする」
「りょうかーい」
「ご飯を大きめの容器に移して。合わせ酢をこのしゃもじに伝わせるようにして、ご飯全体に均等に回しかけろ。そしたら、しゃもじを大きく動かして、ご飯粒を潰さないように“切る”ように混ぜる。底からひっくり返すように混ぜるとムラなく混ざるから。それでよろしく。全体に混ざったら、うちわであおいで冷まして人肌くらいの温度になるまで冷やす。余分な水分が飛んでツヤが出るからな」
「……分かった」
「不安だな」
「あぁん? 俺を誰だと思ってんだ。神様だぞ」
「それが一番不安だわ」
「むっ」
「まぁ、頼んだぞ」
「任せとけって」
正晴が寿司飯を混ぜてる間、俺は残りの白米をおにぎりにする準備をする。ツナマヨもできてるし、昨日栞が作った時に余ったサラダにツナマヨ入れるか。
「おーい、朝日」
「ん?」
「これでいいか?」
正晴が見せてきた酢飯は、ツヤがあってちゃんとほぐれていた。
「お、上手いじゃん」
「だろ?」
「たまにはやるな」
「ふん、当然だ。そしてたまにではない」
ちょっとだけドヤ顔なのがむかつくけど、ここは褒めておく。
「じゃあ、その酢飯はボウルごと置いておいて。あとで寿司にするから」
「んで、俺は?」
「次は寿司を握ってくれ。お前の本領発揮のお時間だ」
「ふふ……この俺に寿司を握らせるとは、目が高いな」
「いいからさっさと握れ」
「はいはい」
正晴が寿司を握り始めたので、俺もおにぎりに取りかかる。
「なぁ」
「ん?」
「さっき言ってたお前の“瞬間移動みたいなやつ”、あれ、ちゃんと使いこなせるようになっとけよ」
「ああ」
「お前、無意識に発動してたけど、あの一瞬だけめちゃくちゃ速かったぞ」
「……わかってる」
思い出すと、あの時、願った瞬間に体が勝手に動いた。あれが本当に意図的にできるなら、戦い方が変わる。
「修行するしかないか」
「まぁ、あれだ。やるなら外でやれよ? 室内でやったら家壊れるぞ」
「わかってる」
「んじゃ、俺はこれから寿司マスターの時間に入るから話しかけるなよ」
「どうぞ」
正晴は真剣な顔でネタを切り、シャリを握り、淡々と寿司を作っていく。
神様のくせに、こういうとこだけ妙に器用だ。
「……よし、おにぎりも全部握れた」
「おー、俺も寿司完成したぞ」
「お疲れ」
「おう」
「じゃあ味噌汁温め直して、皿に盛り付けるぞ」
俺は味噌汁を温め直して、煮えばながたったから火を止めた。
「りょうかーい」
二人でテーブルに料理を並べていく。
おにぎり、ツナマヨサラダ、味噌汁、マグロとサーモンの握り寿司。
こうして見ると、思ったより豪華だな。
「これ、ちょっとパーティ飯みたいだな」
「だな」
「お疲れ様」
「お疲れ」
「……グータッチしないか?」
「するか」
二人で手を上げて、パチンとグータッチした。
なんかいい感じ!
こんちは!モヒです!
いや〜今回、結構長くなりましたね。なんか書きたいことがどんどん増えていって、気づいたらこんな分量になっていました。僕はいつもエピソードをなろうにあげる時、一度読んで変なところがないか確認するんですけど……さすがに長すぎて、ちょっと自分でも嫌になってしまいました(笑)。
今回は「飯を作る回」ということで、僕なりに色々と勉強しました。どうでしたでしょうか?もし分量を間違えているところがあったら、「ここ分量間違ってるよ!」とか「こんなに入れたら人死ぬよ!!」みたいにコメントで教えてください。
いや〜ほんと最近暑いですね。(2025年7月前半時点)
もうエアコンなしでは無理!っていう感じで、今からでも電気代が少し不安です。あんまり高くならないといいんだけどな……。
夜とか、ご飯を食べる前に家を出て、たまに運動するんですけど、自分的には結構ハードで、家の近くの公園を何周か走って、5kmくらい走るんですよ。これがまあキツくて(笑)。
「じゃあやめろよ」って思われる方もいるかもしれないんですけど、僕、運動不足で体重がどんどん増えてきちゃって。「これはさすがにヤバいな」と思い、仕方なく5km走っています……。自分で言ってて、なんかちょっと悲しいな……。
話変えますね……
この前、友達と会ったとき、僕が「暑いね〜」って言ったら、その友達が「ほんとそれな!俺、背中にエアコン欲しいわ!!」って言ってきたんですよ。でもエアコンって室外機もセットじゃないとダメなんですよね。
僕は心の中で、「お前、あの重たい室外機を背負って歩きたいのか?」って思ったのと、室外機って熱い空気を出してるから、たとえ涼しい風に当たったとしても、背中から熱風出てたら多分涼しくないだろ……って。さすがに本人には言いませんでしたけどね(笑)。
最近ほんと暑い日が続いています。
熱中症に気をつけて、水分補給をこまめにする!!これが一番大事ですから、忘れないでくださいね。
めっちゃ暑いですし、「意地でもエアコン付けない!」っていうのはやめたほうがいいです。それで熱中症になって、後遺症が残ったら大変ですから。意地を張ってエアコンを我慢するのは絶対にダメです。
確かに「環境に悪いかな」とか考える方もいると思います。でも、命には代えられません。熱中症にだけは、絶対にならないでください!これだけは覚えて帰ってください!
では、皆さん!元気で毎日を過ごしてください!
これは僕の一番の願いです。
少しでも体調が悪いと思ったら、水分補給!
それからミネラルをしっかり取る!
ミネラルウォーターでもいいので、ちゃんと飲むことが大事ですからね。
……って言ってる僕も気をつけないといけないので、皆さんも一緒に頑張って夏を乗り切りましょう!!
あと最後に――
祝!エピソード35!!
皆さん、お元気で!
モヒでした!!




