勇者(仮)ネタ魔法を覚える
朝――
鳥のさえずりと共に、俺は気持ちよく目を覚ました。
部屋の隅では、あの騒がしい自称・神が豪快ないびきをかいている……が、それは見なかったことにしておこう。
そして、ふと思い出す。
「……よし、今日は魔法を覚えに行くぞ」
今日はギルドで《電気魔法》を習得して、レア職かユニーク職を引き当て、最終的には《雷魔法》へと進化させる。そのための第一歩だ。
階段を下りて、まずは朝刊を取りに玄関へ。
「うわっ、まぶしっ……!」
ドアを開けた瞬間、元気すぎる朝日が目に飛び込んでくる。
新しい拠点で迎える初めての朝だ。太陽がやたら張り切ってる。
朝刊を手に取り、リビングへ。
「おっ、誰もいない。俺が一番乗りか。みんなのんびりしてんな」
時計を見ると、まだ6時ちょっと前。まぁ早すぎたか。
とりあえず椅子に座って新聞でも――と思った、その時。
「うわっ!?」
ズデン、と見事に尻もち。
「いって……なんだ今の……?」
起き上がって椅子を見ると、小さな男の子がニヤニヤしながら椅子を抱えていた。
「やーい、引っかかった~!」
……なんだこのガキ。誰だよ、つまみ出してやる。
「おい、椅子返せ。ついでに自分の家に帰って寝ろ」
俺が玄関のドアに手をかけた瞬間――
「朝日さん!!」
「ん? ののかちゃん?」
「ごめんなさい、うちの弟が……迷惑かけてすみません!」
「えっ、この子……ののかちゃんの妹?」
「弟です」
ああ、よく見たら確かに似てる。言われてみれば、納得の姉弟感。
「あ、そうだったのか。ごめんごめん、勘違いしてた」
「いえ、謝るのは私たちの方です。……弟、何かしました? 朝日さんちょっと怒ってる感じが……」
「いや、怒ってるっていうかさ……俺が椅子に座ろうとしたら、この子が椅子引いたんだよ。見事に尻もち」
「……あああ、ほんとにごめんなさい! ほら、アンタも謝りなさい!」
「はーい、ごめんなさ〜い」
「まあ、別にいいよ。もう怒ってないし」
「ほんっとにすみません。ちゃんと言い聞かせておきます!」
そんな小騒動のあと、再びリビングに戻ると――
「終わったの?」
「ん? 何が?」
「弟くんのこと、玄関に引きずってたでしょ」
「ああ、もう解決した。……なぁ、コーヒー淹れるなら俺の分も頼むわ」
「はいはい、100sね」
「金取るのかよ!? ぼったくりか? ていうかコーヒーセット一式、俺が買ったんだぞ?」
「太っ腹〜♪」
ちなみに、この世界の通貨単位は三つ。
小額通貨の【s】、中額の【m】、高額の【l】。
感覚的には、
•100s ≒ 日本円で約100円
•1m ≒ 1,000円程度
•1l ≒ 10,000円程度
だと思っておけばいい。つまり今のコーヒー代は、ざっくり言えば“100円”ってとこだな。
……わかったか? テストには出ないけど、社会には出るぞ?
* * *
1時間後――
「ごちそうさまっと……よし、そろそろ出るか」
ののかに見送られながら、俺はギルドへ向かった。
天気は快晴。魔法日和――ってやつだろうか。(そんなのあるのか?)
道すがら、草の匂いと商人たちの呼び声、行き交う冒険者たちの活気が、まさに異世界という感じで、ちょっとテンションが上がる。
……が、今日の目的は観光じゃない。《電気魔法》だ。《雷魔法》への進化を目指す、その第一歩!
「よっしゃ、気合い入れていこう!」
ギルドの木扉を開けると、いつも通りの賑わい。
酒臭いオッサンと、笑顔の受付嬢たち――そして、
「……あれ、朝日くん?」
「あっ、リディアさん」
声をかけてきたのは、顔なじみの受付嬢・リディアさん。
20代前半、ちょっと世話焼き系の優しい人だ。
「珍しいね、朝から。何か依頼でも?」
「いや、今日は魔法を覚えに来たんだ」
「へぇ、どの系統?」
「……電気魔法」
「………………え?」
……空気が一瞬、固まった。
「えっ……ま、まさか本気で?」
「うん、本気。雷魔法に進化させたいから、まずは電気魔法からってわけ」
「……そっかぁ……」
なんで哀れみの目なんだよ。
「朝日くん。電気魔法って正式名称“微電気操作”で、初期スキルが“指先で静電気を起こす”なの、知ってる?」
「知ってる」
「で、レア職以上じゃないと雷魔法に進化しないことも?」
「知ってる」
「……それでも?」
「やるって決めたからな」
「……その覚悟、いいわね」
リディアさんは軽く笑い、青い革装丁の教本を取り出した。
金文字で『スパーク・トリック初級』と書かれている。
「このブースで覚えてきて。終わったら、ステータスで職業が変わってるか確認してみて。冒険者カードの方は反映がちょっと遅いから、気にしないように」
「はい、ありがとう」
* * *
小部屋に入り、教本を開く。
内容は意外とシンプルだった。魔素の流れを感じて、指先に集中。
感覚重視の“なんちゃって科学実験”みたいなノリだ。
「……集中、集中……」
俺は静かに目を閉じ、指先に神経を集中させる。
「……!」
パチッ!
人差し指と中指の間に、かすかな火花。
「……よっしゃ、やった!」
すぐにステータスを開いて確認。
職業欄が変化していた。
【職業:魔剣使い(レア)】
「おぉ……かっこいい……!」
剣技+電気魔法のハイブリッド職。
ただし、雷魔法には――
「……進化してない……?」
表示されているのは“電気魔法の使い手”。雷魔法の表記はどこにもない。
「……マジか……」
俺は肩を落としながら小部屋を出た。
「朝日くん、どうだった? 冒険者カードも見てみてね?」
無言でカードを渡す。
「……ッ!」
気まずい空気が流れる。
「はい、これ。これから頑張って。元気出して? レア職なんだし、大丈夫よ?」
「……はい、ありがとうございます」
* * *
拠点に戻り、ドアを開けると――
「おかえり〜。どうだった?」
「おっ、帰ったか? 朝日!」
「……正晴、お前いつ起きたんだよ。俺が出る時まだ寝てたよな?」
「俺はついさっき起きたとこだぞ」
時計を見ると12時半。どんだけ寝てんだコイツ。
俺は玄関を上がりながら、冒険者カードを栞に渡す。
「「ッ!?」」
無言で顔を見合わせていた。
洗面所で手を洗い、リビングに戻って椅子に座る。
「はぁ〜……」
「どうしたんですか? 朝日さん」
「ん? ああ……雷魔法、進化しなかった」
「え!? ウソ……でしょ?」
「ウソじゃないよ。……よし、今日は深酒だ。なぁ栞、今日ちょっと付き合ってくれない?」
「……あんたの奢りなら、付き合ってあげてもいいわよ」
「はい、ありがと」
俺は栞から冒険者カードを受け取り、それをポケットにしまい、自分の部屋へ向かった。
……なんでだよ。普通、こういう展開なら雷魔法覚えられるだろ。
なんだよこの世界。理不尽すぎないか?
皆さん、お久しぶりです!モッチャンことモヒです!
いや〜、もう暑くてたまりませんね。(※2025年6月末現在)
ちょっと外を歩いただけで汗びっしょり。肌着はもちろん、パンツまで濡れて、椅子に座るたびに気分がどんより……。
今度、速乾性で通気性の良いインナーをいろいろ試してみようと思ってます!おすすめがあったら教えてください!(笑)
さてさて……
めでたい!めでたい!!
エピソード31、ついに来ました!!
実はエピソード30で「めでたい!」って言おうとしてて、すっかり忘れてたんですよね(笑)
なので今回はちゃんと叫んでおきます。「めでたい〜〜!!」
ここまで読んでくれている皆さん、本当にありがとうございます!
さて、電気魔法を手に入れた朝日がこれからどうなっていくのか――
進化できなかったネタ魔法(?)と、どう向き合っていくのか――
ぜひ続きを楽しみにしていてください!!
それから最後に、大事なことをもう一度。
暑さに無理して耐える必要はありません。でも、暑さに負けない気持ちは大切です!
「暑さなんてへっちゃらだ!」って気合で言ってみましょう!(※もちろん水分補給と休憩は忘れずにね)
熱中症になったらダメ! 絶対ダメ!! ここ、テストに出ますよ〜?(笑)
もし万が一なっても、モヒのせいにしないでくださいね? 責任はとれません!(笑)
みんなが元気で笑顔で、毎日を過ごせるのが一番!
「笑う門には福来る」って言いますから、たくさん笑って、たくさん遊んで、人生を楽しみましょう!!
それでは、今後の展開もお楽しみに!
これからもこの作品を、どうぞよろしくお願いします!
モヒでした〜!!




